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葵ちゃんと神野優花里
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「あの写真に写っていたのは正真正銘私のお姉ちゃんです。名前は神野優花里で、私とは2つ離れてました。小さい頃から私の面倒をみてくれて、いつも一緒に遊んでくれたり、勉強を教えてくれたり、時には私がお姉ちゃんに嫉妬して酷いことをいってしまうこともありました。でもお姉ちゃんはいつも私に笑顔をくれて、元気付けてくれました。でもある日、私がお姉ちゃんと散歩をしていると、お姉ちゃんがいきなり血を吐いたんです。私は何をしていいかわかりませんでしたが、苦しんでいるお姉ちゃんをみて、助けたいと思って、救急車を呼びました。それからお姉ちゃんは入院生活を送ることになりました。私がお見舞いに行くと、いつも笑顔で振舞ってくれて、もうすぐ、柚奈とも一緒に遊べるからねと、いって私を元気付けてくれました。しかし、現実が甘くなく、私は夜中にトイレに行こうとしたら、リビングで父と母が……」
柚奈は耐えきれず、また涙がポロポロと溢れ出てきてしまった。ハンカチで涙を拭う柚奈に対して怜は、背中をさすり、優しく接した。
「大丈夫だ。柚奈ちゃんなら大丈夫。きっと過去に向き合えるはず」
「すみません。もう大丈夫です。父が優花里の病気はいつ治るんだといい、母は頭を抱え、なんであの子がこんな苦しい思いをするんだといっていました。そこに居合わせた私は、リビングに入り、怒鳴ってしまいました。なんでお姉ちゃんの病気は治らないの!? なんでお姉ちゃんは苦しんでいるの!? 私にはもうすぐで遊べるって。泣き叫ぶ私に父と母は何もいってくれませんでした。その翌日、父は私たちを連れ、車のスピードをあげ、病院に向かいました。ですが、もう私のお姉ちゃんは……」
柚奈は耐えきれず、涙が溢れた。無理もない。大好きなお姉ちゃんが自分の口で亡くなったことを説明するのは誰だって苦しいはずだ。
怜は涙を堪え、震えながら柚奈に質問した。
「ありがとう柚奈。でも、その病気はなんだったんだ。持病? がん?」
「いいえ。その病気はまだ解明されていません。実はお姉ちゃん以外にも似たような病気にかかった患者さんはたくさんいたそうです。でも、もうその人たちはいませんが。噂で私は悪霊も関わってくる可能性があると耳にしました。色々調べ、そしてついにある日私は師匠と出会いました。そこから私は守護霊使いになろうと思いました」
「そうか。よく今まで我慢してきたな。ありがとう」
次はこれ得られず怜が涙を滝のようにこぼした。
泣く怜に対し、柚奈は赤くなった顔で、ニコッと微笑み、声をかけた。
「先輩。これじゃ逆じゃないですか。先輩が私を慰めてくれるっていってたじゃないですか。これ使ってください」
柚奈は自分のポケットからハンカチを取り出し、怜に渡した。
怜は受け取り、滝のようにこぼれ落ちる涙を拭き取った。
その後柚奈は苦しい過去に囚われていた足枷から解放され、怜にスマホに残っている姉との思い出を話してくれた。
柚奈はスマホの写真からいろんなものを見せてくれた。
「これが私の中学の入学式なんです。お姉ちゃんが撮ろう撮ろうって、強引に誘ってきたんですよ。自分は何も関係ないのに。あとこれはお姉ちゃんがバドミントンしている写真です。お姉ちゃん高校1年生からレギュラーで、全国大会に出てたんですよ」
柚奈ははしゃぐ子供のようにお姉ちゃんとの思い出を語ってくれた。
怜はこんなにも嬉しそうに話す柚奈を見れて嬉しかったのだ。笑顔で頷き、柚奈の思い出を真剣に聞いた。
「あとこれはですね。海に行ったんですよ。お姉ちゃんは美人なので、いろんな男性から声をかけられてたんですよ。しかも水着可愛いですし」
「本当だ! 優花里さん胸でか!」
「先輩。今どこ見てました?」
「あぁ悪い悪い。いきなり俺の目に飛び込んできたからさ」
怜は水着の話題になると由香里のEカップに目が離せなかった。これは仕方がない。なぜなら怜は今高校2年生の思春期だからである。
それから柚奈は自分の誕生日の話やクリスマスパーティの話など、飽きるくらい怜に聞かせた。
怜もはしゃぐ柚奈を優しい目で、ニコッと笑顔で見つめた。
話が終わると柚奈は立ち上がり、星に手が届くように背伸びをした。
怜も立ち上がり、月を掴むように背伸びをした。
それから2人は学校を後にし、翔子の家に向かった。
夜空に星や月が輝く中、光は2人を照らし、他愛もない会話を楽しみながら夜道を歩いた。
街中までやってくると、前から人影が見えた。
「こんな時間っていうか、ここあまり人通らないのに珍しいな」
「そうなんですか」
生まれ育ったこの街に詳しい怜は、普段人が通らない学校への道で、人影を見つけるなり、1人呟いた。
怜が呟くと、柚奈は人影の気配を集中して感じ取った。柚奈は嫌な予感がした。
怜に近付き、耳元で話した。
「先輩、前から近付いてくる人ですが、少し嫌な予感がします。私の勘違いかもしれませんが、もっと近くに来たら判断できると思います。私が手を上にあげたら、警戒。手を横に出したら問題なしとみなしてください」
「おっけ。了解。だが、もしもの時は俺は葵ちゃんがいないから、柚奈ちゃん頼んだぜ」
だんだん近付いてくる人影は電柱の光を浴び、その姿が判明した。
パーカーのフードを被っている少女だった。
怜は目を凝らし、よく見るが、少女という情報しかわからなかった。しかし、雰囲気は柚奈に少し似ていた。
少女が近付いてくると、柚奈は立ち止まった。合図の時だ。
怜は柚奈が上か横かどちらに手を上げるのか緊張した。張り詰めた空気の中柚奈は手を上に上げた。つまり相手は警戒する必要があるらしい。
怜はマジかよと思い、真剣に少女の顔を覚えようと目の凝らした。
すると少女の顔がはっきり見えたのか、怜は顔を青ざめ、固まった。
怜の異変に気付いた柚奈は耳元で声をかけた。
「どうしましたか? 先輩。いきなり立ち止まって」
しかし、怜は口を開けることができず、ずっと黙っていた。
だが次の瞬間。怜の青ざめた顔の理由がわかった。
柚奈は耐えきれず、また涙がポロポロと溢れ出てきてしまった。ハンカチで涙を拭う柚奈に対して怜は、背中をさすり、優しく接した。
「大丈夫だ。柚奈ちゃんなら大丈夫。きっと過去に向き合えるはず」
「すみません。もう大丈夫です。父が優花里の病気はいつ治るんだといい、母は頭を抱え、なんであの子がこんな苦しい思いをするんだといっていました。そこに居合わせた私は、リビングに入り、怒鳴ってしまいました。なんでお姉ちゃんの病気は治らないの!? なんでお姉ちゃんは苦しんでいるの!? 私にはもうすぐで遊べるって。泣き叫ぶ私に父と母は何もいってくれませんでした。その翌日、父は私たちを連れ、車のスピードをあげ、病院に向かいました。ですが、もう私のお姉ちゃんは……」
柚奈は耐えきれず、涙が溢れた。無理もない。大好きなお姉ちゃんが自分の口で亡くなったことを説明するのは誰だって苦しいはずだ。
怜は涙を堪え、震えながら柚奈に質問した。
「ありがとう柚奈。でも、その病気はなんだったんだ。持病? がん?」
「いいえ。その病気はまだ解明されていません。実はお姉ちゃん以外にも似たような病気にかかった患者さんはたくさんいたそうです。でも、もうその人たちはいませんが。噂で私は悪霊も関わってくる可能性があると耳にしました。色々調べ、そしてついにある日私は師匠と出会いました。そこから私は守護霊使いになろうと思いました」
「そうか。よく今まで我慢してきたな。ありがとう」
次はこれ得られず怜が涙を滝のようにこぼした。
泣く怜に対し、柚奈は赤くなった顔で、ニコッと微笑み、声をかけた。
「先輩。これじゃ逆じゃないですか。先輩が私を慰めてくれるっていってたじゃないですか。これ使ってください」
柚奈は自分のポケットからハンカチを取り出し、怜に渡した。
怜は受け取り、滝のようにこぼれ落ちる涙を拭き取った。
その後柚奈は苦しい過去に囚われていた足枷から解放され、怜にスマホに残っている姉との思い出を話してくれた。
柚奈はスマホの写真からいろんなものを見せてくれた。
「これが私の中学の入学式なんです。お姉ちゃんが撮ろう撮ろうって、強引に誘ってきたんですよ。自分は何も関係ないのに。あとこれはお姉ちゃんがバドミントンしている写真です。お姉ちゃん高校1年生からレギュラーで、全国大会に出てたんですよ」
柚奈ははしゃぐ子供のようにお姉ちゃんとの思い出を語ってくれた。
怜はこんなにも嬉しそうに話す柚奈を見れて嬉しかったのだ。笑顔で頷き、柚奈の思い出を真剣に聞いた。
「あとこれはですね。海に行ったんですよ。お姉ちゃんは美人なので、いろんな男性から声をかけられてたんですよ。しかも水着可愛いですし」
「本当だ! 優花里さん胸でか!」
「先輩。今どこ見てました?」
「あぁ悪い悪い。いきなり俺の目に飛び込んできたからさ」
怜は水着の話題になると由香里のEカップに目が離せなかった。これは仕方がない。なぜなら怜は今高校2年生の思春期だからである。
それから柚奈は自分の誕生日の話やクリスマスパーティの話など、飽きるくらい怜に聞かせた。
怜もはしゃぐ柚奈を優しい目で、ニコッと笑顔で見つめた。
話が終わると柚奈は立ち上がり、星に手が届くように背伸びをした。
怜も立ち上がり、月を掴むように背伸びをした。
それから2人は学校を後にし、翔子の家に向かった。
夜空に星や月が輝く中、光は2人を照らし、他愛もない会話を楽しみながら夜道を歩いた。
街中までやってくると、前から人影が見えた。
「こんな時間っていうか、ここあまり人通らないのに珍しいな」
「そうなんですか」
生まれ育ったこの街に詳しい怜は、普段人が通らない学校への道で、人影を見つけるなり、1人呟いた。
怜が呟くと、柚奈は人影の気配を集中して感じ取った。柚奈は嫌な予感がした。
怜に近付き、耳元で話した。
「先輩、前から近付いてくる人ですが、少し嫌な予感がします。私の勘違いかもしれませんが、もっと近くに来たら判断できると思います。私が手を上にあげたら、警戒。手を横に出したら問題なしとみなしてください」
「おっけ。了解。だが、もしもの時は俺は葵ちゃんがいないから、柚奈ちゃん頼んだぜ」
だんだん近付いてくる人影は電柱の光を浴び、その姿が判明した。
パーカーのフードを被っている少女だった。
怜は目を凝らし、よく見るが、少女という情報しかわからなかった。しかし、雰囲気は柚奈に少し似ていた。
少女が近付いてくると、柚奈は立ち止まった。合図の時だ。
怜は柚奈が上か横かどちらに手を上げるのか緊張した。張り詰めた空気の中柚奈は手を上に上げた。つまり相手は警戒する必要があるらしい。
怜はマジかよと思い、真剣に少女の顔を覚えようと目の凝らした。
すると少女の顔がはっきり見えたのか、怜は顔を青ざめ、固まった。
怜の異変に気付いた柚奈は耳元で声をかけた。
「どうしましたか? 先輩。いきなり立ち止まって」
しかし、怜は口を開けることができず、ずっと黙っていた。
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