守護霊になった葵ちゃんと一緒に悪霊退治を始めることになった

メロンジャム

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葵ちゃんお菓子を選ぶ

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 スーパーの中は戦場だった。あまり行き慣れてない怜にとっては毎回100のシャトルランだった。ヘトヘトになりながらも柚奈の後をおった。その柚奈は買う食材を光の速さで選び、怜のカートに入れていった。その頃葵はお菓子売り場で、宝の山を見るようなキラキラした目でお菓子を選んでいた。怜はこの戦いが早く終わるよう願うだけだった。怜は息を切らしながら質問した。

「はぁ……はぁ……柚奈ちゃん。後何を買えば終わりなの?」

 怜は死んだ魚の眼が飛び出そうな眼力で柚奈に聞いた。柚奈はスマートにメモを見返しながら、食品を確認した。それはまるでもう家事をこなす母親のようだった。

「そうですね。あとは卵を買って終わりですね。きっと葵ちゃんがお菓子を持ってくるので、1つだけと釘を刺しといてください。私は卵を探してきますね」
「ふー。了解した。俺は葵ちゃんのとこに行ってくるね」

 やっとこの戦場から離れられると喜びながら怜は葵がいると思われるお菓子売り場に向かった。柚奈は卵を探しにいき、順調だった。だがしかし、そんなことを知らずに葵はお菓子売り場で戦っていた。

(ウヒョー。こんなにお菓子があるなんて、私は選べないわ。全部欲しいけど、柚奈や怜がダメっていうのは目に見えてるしなぁ。どうしよう。チョコレートもいいし、このグミってのも食べてみたいわ。一体どんな食べ物なんだろう~。あぁやっぱりペロペロキャンディーもすてたがいわ。え! 何これポテトトップス? こっちはポップコーン? 美味しそう~。もう私には君たちを選べないわ)

 葵の脳内ではこのお菓子の中から誰を選ぶか面接が始まっていた。お菓子たちは一人一人自己PRをし始めた。

『ではチョコレート君お願いします。君のことをぜひ教えてくれ』

 黒いスーツ姿の板チョコが椅子から立ち上がり、男性のような太い声で話し始めた。

『こんにちわ板チョコです。今日は私を選んでくれることを期待しています。まず私は甘いもの代表としてやってきました。チョコレートと言うものはいろんなものに使われてきました。そう私には応用力があるのです。そのまま召し上がってもちょっぴりビターなカカオを感じれる甘い味ですが、いろんな料理に使うことで、甘さを引き立てたり、隠し味にもなります。どうか今日は私をお選びください」
『ふむふむよーくわかったぞ。確かに下に転がすと甘い味が口いっぱいに広がり、私をチョコレートの国に連れていってくれます。いいですね~。ごほん、では次にグミさんお願いします』

 学校の女性用の制服を着たオレンジ味の丸いグミが立ち上がり、高い声で話し始めた。

『こんにちわ葵様。私はグミ私立グミを食べよう高校から来たオレンジです。今日は私を買ってくれると信じております。グミと言うものはいろんな感触があります。硬く噛みごたえがあるものや柔らかく舌触りがいいもの私はその真ん中の噛みごたえがあり、オレンジの甘い味が口いっぱいに広がります。ぜひご賞味ください』
『ほほぉー。グミと言うものはそんなにあるのか。ではグミの中でも一つ一つ違うと言うのだな。かぁー、全部食べたい。では次ペロペロキャンディー君お願いします』

 王様のような神々しい衣服に身を包み、髭を生やしたイチゴ味のペロペロキャンディーが立ち上がり、ダンディーな声で話し始めた。

『吾輩はペロペロキャンディーである。キャンディー王国から来たものだ。葵様は絶対このペロペロキャンディーを選んでくれる自身がある。まぁ他の奴らにトドメを刺すように我の良さを話していこう』

 堂々とした立ち振る舞いに他のお菓子たちもやばいと思い始めたが、ペロペロキャンディーが話している途中葵が口を挟んだ。

『すまないペロペロキャンディー。私昨日も食べたから、やっぱ今日はいいや』

 その一言でペロペロキャンディーは脱落した。他のお菓子たちはしめしめと思い、自分が選ばれると期待を膨らました。葵がペロペロキャンディーを戻すと、面接は続いた。

『では気を取り直して次はポテトチップス君お願いします』

 ヒーローのような赤いマントで全身は黄色で覆われたポテトチップの袋が立ち上がり、大きな声で話し始めた。

『やぁやぁどうも葵様。僕の名前はポテトチップのコンソメさ。僕のいいところはみんなを虜にするこの忘れられない味コンソメのしょっぱさだ。一度食べれば止まらないこの味と食感。みんなで食べれば美味しさも倍になるんだ。しかもジャガイモは野菜だから太らないよ』

 平気で嘘をつくポンコツなポテトチップだった。しかし、そんなことを知らずに葵は味が気になり迷っていた。次の面接が最後だ。

『では最後になります。ポップコーンさんよろしくお願いします』

 全身金色でお金持ちのおぼっちゃま風のキャラメルポップコーンが立ち上がり、男児の声で話し始めた。

『へいへい葵様。僕の名前はキャラメルポップコーンだぜ。だいたい弾けてるやつは僕の友達だぜーい。映画館では僕を買う人でいっぱいさ~。口の中でサクサクし、その甘さが君を虜にするよー。僕しか選ばないよね?』
『うーん……ポップコーン。恐るべしね。映画館ではそんな人が並ぶのね。ぜひ食べてみたいわ。それにしても決まらないわ。どうしましょう。みんなで私を取り合わないで~』

 葵は妄想を膨らませ、どれにするか全然決まらなかった。葵の中で時間の解釈はなく、ただただ時間は進んでいった。そんな妄想を壊すように怜が葵の元に走ってきた。怜は葵を焦せらせるように話しかけた。

「葵ちゃん決まったか? 早く行くぞ。もうすぐでお昼だ」
「う、うるさい! もうすぐだからちょっと待ってて。うーんどれにしよう」

 葵の中でもお菓子たちが焦せらせてきた。葵は中々決められず、お菓子を眺めるだけだった。じれったい怜は葵の手を引っ張り、怜が適当にお菓子をとった。嫌がる葵だが抵抗できずそのままレジに並んでいる柚奈と合流した。

「ねぇちょっと。何選んだのよ! 私が頑張ってどれにするか考えてたのに」

 怜は適当に選んだお菓子を葵に見せた。なんとそれは10円ガムだった。それを見た葵は怒りがこみ上げ、文句を言った。

「何よそれ! 全然パッとしないじゃない。しかも小さいし、私違うやつが良かったー」
「は!? お前が選ぶのが遅すぎたから俺が選んであげたんだよ。文句言うな。一体何分以上迷ってたんだ? 30分以上はあそこにいただろう」

 レジの順番が来てしまい、渋々葵はその10円ガムを買うのであった。しかし、葵はガムが選ばれたことが許せず、一生引きずるのであった。
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