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真亭 甘

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SECOND STAGE 華凰

洛陽城 2

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華凰の大都市の洛陽城でも建代が治世を担う明故城とは大違いなほどに格差に荒れていた。少しでも金を持つもの力があるものは身なりを整え通りを我が者のように歩く。それ以外は道脇に蹲るか脇の影から金品の狙うスキを窺うか。国を違えどどこも変わらないってこと。それでも綾は歩き甘味店に入ろうとする。店前で屯する族の集団がいた。店の中には入らずに商店の前で徒党を組んでいる。見向きも触れずに綾は店の中に入ろうする。脚を上げて入り込む嫌がらせの様に族はそこに脚を絡みにいく。触れた瞬間に絡み綾を倒れこませようとするが、綾は難なく店に入り席に着く。

「すいません。注文、胡麻団子を一つ」
綾がカウンター席の奥から見える厨房にいる男性に向かって、注文する。少し遅れて接客スタッフの女の子が水を持ってきてくれた。しかし彼女が立ち去ってからすぐに、入り口で脚を掛けにきた若者たちが泥の過塊をテーブルの前に2、3個おいた。

「はい泥団子お待ち。田舎ものに十分な食卓だろ。そいつでも食って帰んな。
 
 おいおい、せっかく祭りのために上京してきたのに、それは無いぜ。」

綾のテーブルを囲みながら、笑う若者たち。しかし奥の席から高価な銀銭が飛んできた。その方を見ると金髪のモヒカンがそこに座っていた。若者たちはそれ見るや笑った。

「隆長(たかなが)くん、優し過ぎます」

馬鹿笑いした様な顔した隆長。脚を掛けていたテーブルに投げ込まれていた銀銭が飛んできた。

「お気遣いどうも。

 しかし、別にいいよ。まだ胡麻団子来てないんで」
族の若者たちが綾のテーブルをふっ飛ばして、綾の胸ぐらを掴んだ。

「隆長くんの優しさを捨てるとはてめえ、いい度胸しているな」

「そっちの方から噛み付いてきて、ぎゃぎゃと喚くなや。

 そんなに、相手して欲しいならしてやってもいいけど。」

胸ぐらを掴まれた腕を握り返して、手を離させた。後退りするのと逆にもう一人が殴りにかかる。テーブルが踵落として砕けた瞬間、隆長は大笑いし一同注目した。

「ふー、悪いなにいちゃん。それは邪魔をした。おい、ズラかるぞ。」

若者たちは舐められては、引けないく隆長に反発するが、隆長は睨み返した。睨まれた若者たちはすぐさま謝り隆長の後を追うように店を後にした。

倒されたテーブルを立て直したりコップを直していると、水を持って来てくれた接客スタッフの女の子が駆けつけてきた。雑巾やほうきを持ってきて族によって汚された床やテーブルを拭った。

「騒ぎにしてしまってすまないな。」

「それを食ったら、裏口から行きな」

スタッフの女の子じゃなくて、厨房で料理をしていた男性が胡麻団子を持って来て言った。

「奴らは今、湖の国が滅んだ後に勢いをつけた族「莫耶」。
 湖の中枢を失った地方の都市を老人や子供女諸々と蹂躙していった集団。そして大国の尊にまで手を出すほどの荒くれ者たち。その頭はこの実権支配している百渡の後ろ盾「雅竹の部下」4人の一人だ。」

「4人」

「さっきの隆長の他に、久保山って大男。あと姿を見たものはいないがハジメという側近と、もう一人いる」

さっきの族の親玉の隆長に大男の久保山、側近のハジメ。謎の一人を語りながら男性は向かいの席に座った。

「もう一人っていうのは、誰なんだよ」

「それが分かっていたら話しているが、誰も名前や姿を見たものはいない。さっきの族の隆長や久保山ほどに人様の前で姿を表さない。側近のハジメですら、誰も姿やその行動後を見たものはいない。名前は民鬼が口を滑らせただけなんだ。もう一人は要人が匿われてた施設のもろとも、惨殺されてたって噂だ。」

最後の一個を口に入れて綾は席を立った。

「ふーん、まぁおっさんありがとう」

「おい、そっちじゃない。裏手から出て行くんだ」

「いいや、別におれもそっちに用があるんで」

男性の声を無視しながら、外に出ようする。綾の脳内では4人の残りの二人はおそらくあの二人、ラエルと桜花だ。施設惨殺することはどちらでも恐らくかのだが、ハジメの方を当てはめるなら、ラエルにそんな器用なマネはできねえ。ってことは、ハジメが桜花で、もう一人がラエルだ。となれば隆長をトッチあげて、吐かせやいいってもんだ。

綾がお店を出た瞬間、路地には緊張感が漂っていた。黒の長襦袢に紫の長着を身に纏い、鋭い眼差しを持つ彼は、愛用の打刀を腰に携えていた。路地の暗がりから大柄な男とその部下たちが姿を現し、彼を取り囲んだ。その男は厚めの唇と左眉に切り傷を持つ、いかにも強面な人物だった。隆長、その名は盗賊団の族長として恐れられていた。


「やっとお出ましか」

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