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真亭 甘

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SECOND STAGE 華凰

洛陽城 1

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洛陽城に近づくにつれて屋台や旅芸人のテントが増えていくと同時に各国の野営と合流してくる。城内に入れるのもある程度国力のある国主のみ。それ以外は家臣でも入れず従者を2名程度。たとえ城内に入城できても何層もの城壁に囲まれ、祭事の会場は第三層の館。12神獣の建代などは個席を儲けられるが、外に追いやられると、役人と同じ集団の客席になる。それでも参上せねば家が取り潰しとなり、生き残れないのが現実。辛くても出なけれならない。大軍の建代も当日まで近くに野営地を設けた。最初の堅牢な城門を越えると兵似に話しかけられる。

「貴様ら、傭兵にはこれか仕事をやる。

第一層内は主に歓楽街。露天や武器など平時の市、商いを行う場所。
第二層は、貴賓館。元々の貴族や役人の街とそれを持て成す旅館・料亭の場。
会場となる第三層は、宮殿。政治や王の謁見など。そしてそのさらに奥に後宮。ここは元より関係の無い場、説明は良かろう。

本題はここから、会場となる第三層までに侵入し、主人「建代様」の護衛及びチャンスあらば百渡並びに文圍の暗殺を命ずる」
兵似から聞かされた依頼に、ジットは難しく答える。

「それは第一の任には、了承を得るが追加の依頼には答えかねがねるがな。ことの次第によっては。俺たちに晒し首になれと言うことだ。そちらとの関係性も然程ないお前らは無縁を通せるしな」

「ならばこそのチャンスあらばだ。チャンスを見つけ百渡討て」
興味無さにしていた綾が口を開いた。

「そのチャンスが、お前の主人を死に追いやってもか。兵似」

「何を」

「あんたの話では、百渡は文圍の傀儡。ってことは他にも裏で息が掛かっている連中やおいらのように雇われた者もいる」

「そうね。そんな人形を一生懸命襲っても逆に建代をやる餌にもなっているのかも」

「我が主人を見くびらんでもらおか」
ルナの発言に、異を唱えるように剣幕を立てて言い返す。それに口が閉じると言われた事は遣れと言うかのように立ち去る。

「何を偉そうに」
ルナが態度にイラついていると、ジットが切り替え様に取り敢えず潜入策を練り出す。

「とりあえず祭事は夜だ、夕方になると場外で待機している各国の城主などがやってくるそれらに合わせ第二層、第三層へと・・・」
すると、ジットがある異変に気づく。

「もう一人のランってのは、何処へ行った?」

「さぁ多分、お店が多いからもの珍しくどっかに行ったんじゃない」
ルナが慣れたように言い、綾も追随するかのようにその場を離れ出した。

「おい貴様」

「あいつはもしかしたらお別れかもしれないが、要は第三層までに行けば良いのだろう」

「そうね、じゃあ第三層でおち合いましょ」
ランの消失をキッカケに、綾やルナが自由行動始めた。


その頃、建代は第二層の奥の館へと移っていた。
そこでは、上級貴族に洛陽の宰相「左紹」がいた。祭事の前への挨拶にへと参上したのだ。

「宰相「左紹」に拝謁つかまります。東南の尊の国が国主建代が参上致しました。」

「うむ、征政権の12神獣の地位にあるお主が華凰の祭事に出席せねばならぬとは、難儀なことよ」
椅子にずっしりともたれ掛かる左紹とそれに対して片座を着けて頭を下げながら挨拶を交わす建代。実際の権力や力の差は歴然と真逆の立ち位置なのだが、華凰の立場上この姿になる。それにより左紹は横柄な態度を寅の足などの家臣団は不服を抱いておるものも多い。

「南岸など海へと多い其方らの領土、交易により国が潤っておるではないか」

「いいえ、そう思う輩が多分族に手を焼いておりまする。ましてや海からの嵐も頻繁に訪れ災害により穀物の生産を賄っているまで」

「何を申すか、そんな世迷言ではせっかくの12神獣としての位が、泣くぞ。そうなってはワシら華凰にも恥を欠かすのか。武人と恥を知らんのか。ただ暴力で他者を攻め脅しすだけの脳筋どものが、どんぶり勘定しかないのだろう」

「大変申し訳ございません。その様なつもりでおっしゃってはおりませぬ」

「ならば、さらなる献上を期待しておるぞ。我が華凰、幾千年の歴史があるのだ12神獣であるお主や文圍にはこれからも頑張ってもらいたいのだ。名声は保たれ其方らが支え、他の国々を助けて貰うぞ」
一方的な要求を突きつけることに、耐えて謁見を済ませて退席する建代。それに対して終始険悪感しかない左紹。

「12神獣の称号を持ってるからって、生意気な。体動かして刀振り回して人殺して、危ない。まさしく獣や。」
と言っていると下手人が他の人たちと違い高級感漂う赤紫色のスーツズボンに革靴を履いた客人がきた。
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