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真亭 甘

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SECOND STAGE 華凰

税の主

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突如現れた老将と先程まで残虐な戦いを見せた青年「“リョウ”」の関係に、村の人や俺は困惑している。しかし、困惑や戸惑いの顔をしているのは俺だけで、村人たちはすぐに安堵の表情に変わった。自分の村がどの国に所属しているか?そして、その国の兵士の甲冑や将校たちの名を知っているのが安堵の理由だが、賊に荒らされ連行されたり、もうすでに手が入った人達もいる。その人らを思ってか一部が怒りをぶつけていく。八つ当たりにも近い行いだが、この兵似(へいじ)という人は顔色一つ変えずにただ黙っていた。そんなのをよそに、リョウは俺に近づいてきた。

「やぁおまえ面白いな!意識でできたのか?」
近寄ってはいきなり話してきたことは、先ほどの縄から解放したことを聞いてきた。しかし、どのようにやったのかわからい・・・。あたふたした素振りにリョウが、話しかけようとした瞬間に、兵似将軍が近寄って村人たちのためにも、城への移動をするゆえに同行していくことになった。
遊女との戯れを終えた御仁は、豪華な羽織を身に纏い二つほど扉を超えると和服の成人男性とランが前まで来ていたような破れ服を着た少年が椅子に座っていた。

「相変わらず、性が出ますね」

「ふん、性は出るではなく、出すものよ!商いと同じ所業、故に。抱かぬのか?」

「そうですね・・・こう言う各人との接待には、そういう付き合いや場が設けられますから・・・うんざりになりますよ。目の前でやられたり、一緒にとか・・・」

「ははははは!結構、結構。なら今度ご一緒に」

「文圍(ぶんい)殿、ご冗談を」
大笑いしながら席に座り誘うも、和服の人は小さく首を振る。またも御仁は大笑いする。突然少年も大笑いにはしゃぎ出す。

「サルが、ウッキキキ。」

文圍。12神獣の「申」を授かる者。
征政権。ゲームでも絶大な権力を持つ組織。変異後もその立場を保ち世界を管理している。国管理協会。その中の4機関の一つに、12神獣がある。
12神獣。「十二支」と表現する人もいる。征政権から公認を得た特別な12人を表す。この選ばれた12人は、権力を持つ者としてあらゆる許可を許され、その行いは征政権の代行と言われる。この称号は征政権の地、コルマト島の島民以外が唯一なれる征政権の職である。別名「出世頭の頂」とも呼ばれる。
そんな最高職をけなされ、さっきまでの大笑いの顔が物凄く冷め切っていた。

「桜花よ。なんだね?この品の無い少年は」

「申し訳ありません。こちらはラエル。コアの新しい結合者です。が、まだ学習途中のため、発達途中ですので、少々欠落が・・・」

和服の男性、桜花の話を聞いた文圍は、すぐに笑みを浮かべ顎ひげを撫でた。

「国商売のにおいがするの~。そう言えば、この前加わった、雅竹という傷物。尊(そん)の近隣にて我が品の同盟国「税 ぜい」にへと、送ったら。すぐさま利益を得たわ。賊使っての国取り。税を使って、尊をもいただく。そうすると、より沢山買えるぞ!」

「えええ」

税の国。尊の西側に位置する小国。安徽省「あんき」辺りに位置する小国。文圍の12神獣加入前は、湖北省・湖南省・安徽省・江西省を合わせて湖と言う大国に統一してたが、品との戦争「品湖の戦い」に敗れ、いくつかの国に分解した。品との友好な関係の領主は品と統合や同盟、品反対派は独立して敵対関係に。この功績から、12神獣となる。文圍の輝かしい功績の地を桜花への投資から併合が楽になる。そして、同じ12神獣の建岱(けんだい)と落籍となる。文圍のこの上ない利益投資先。そして税より南に位置する江西省・武功山の周辺の険しい山に湯月城という雅竹の隠れ屋敷がある。天然の要害。それを囲むかのように、大群に囲まれていた。
熱泉水を分留などして、熱水近くまで薄めた浴槽に雅竹真司は浸かっていた。薄めたとはいえ、その場から離れた覗き場でも40℃近い暑さがあった。そこから華やかな着物女性が叫んだ。

「真司「しんじ」さま。城のまわり敵が囲っています」

「尊がここに来るには、まだ早い。すると差し詰め百渡「ひゃくと」の政敵民鬼「みんき」くらいのものだ。ここはかの大戦にて、治政もままらない状態だからな。さすがの尊でもここには来ない。さすがのお猿さんも税へ密書をおくってくるからな」

「一「はじめ」ちゃん、出すの遅かった」

「いや十分だ」

熱水から上がり身支度を揃えると、女性が持っていた刀を受け取り。帯に刺した。

「俺様が直々に相手をしてやる。彗「すい」!終わったら、おまえのいただく」

「はい」

告げた雅竹に、顔を赤めながら見送る彗。

「青宇将軍、左右の陣形が整いました」

肌黒く角張った顔が特徴ともいえる男に、伝令兵が状況を報告した。
青宇将軍、税の国の将軍。政務執行の重役の大臣を務める民鬼傘下筆頭将軍である。分裂する前の湖の国からの将軍でもあり、民鬼とは湖の時代から長い関係を持っていた。
湖の時代、正太守として湖畔王と8人の子供たちがいたが、国益の競争から品の戦争へと発展し、没落を歩んだ。その時に、そのうちの王子を助けて税を建国し、豊かな国造りを理想として二人は助け合ってきた。しかし、それを外部からの人間に荒らされようとしている。

「今我々の税の国は、品というエイリアンから卵を産み付けられ、受肉体へと化している。我々軍隊は、外部からの敵から防衛だけではない。内部からの腐敗や侵入者からの抗体でもあるのだ!今この瞬間にも、国は侵されている。軍隊の力で害虫を駆除しようではないか!」

「おーーーーーー!」

「突撃開始!」

青宇将軍の号令に沿って、湯月城を包囲していた軍が突撃を開始した。騎馬隊や歩兵などの大群が一気に攻め寄せてきた。城門櫓ので見ていた雅竹には、焦りもない様子で待ち構えていた。

「青宇将軍。品湖の戦いでも参陣した将軍。ってだけの武勇のパロメーターが平均よりも上のところ。知識に乏しく政務官の民鬼と関係から動く、特に策なし。迎撃してもいいが、矢弾がもったいないし」

雅竹は櫓から飛び降り、攻め寄せて来る騎馬に向かって走り抜けた。持ち合わせていた刀ですれ違う騎馬の兵士を撥ね、馬を奪いそこから青宇将軍へ向けて走らせた。
雅竹が単騎で向かって来ることを報告に受けた青宇将軍は、すぐさま近隣の部族長に討伐を命じ、さらに雅竹を討って戦を終わらせる号令をかけた。聞きつけかけよる部族長などが名乗り上げるが、名乗っている最中に切られたり、一騎打ちや挟撃を仕掛けるもすべてを粉砕し、青宇将軍の前へと顔を出した。
雅竹の華麗な羽織は、赤色の素材で出来たのかと思わせるほどに、数多の兵士の返り血で染め上がっていた。恐ろしく笑みを浮かべて向かって来る姿にも関わらず、青宇将軍はひかず弓部隊に馬を狙い、雅竹を落馬させた。「いまだ!かかれぇ」士気を取り戻し、歩兵師団に当たらせるも、炎が一瞬で辺りを包み込み歩兵師団を焼き払う。

「いい夢は、見れたか。青宇将軍殿?」


「野蛮人が!!うぅおおおおおお!炎で焼き払われようと、払わずと騎乗は有利なり!」

騎乗状態から剣を振り下ろすが、風を切る音と同時に青宇将軍は倒れた。

「あとは百渡が他を黙らせれば、完全掌握だな」

視界が霞んで見えない部屋の中で、女性の白く綺麗な肌がうねうねと微動ださせながら、高い声を鳴らす。

「あ・・・熱い、熱い・・・はぁ、はぁ・・・もうダメ・・・焼け死ぬ。呼吸もできない」

「・・・ならなぜそうしない。初めからイってればいいのを・・・」

男性の細身の白肌ながらもはっきりとさせる二の腕や胸筋が腹筋が下半身が、女性の体を抑えつけている。逃れられない女性の抵抗は足を上下に振らすだけ。

「彗・・・なぜおまえは・・・」

男は激しく怒鳴り、彗の豊満な胸を一気に掴み取った。
「ぎゃああああああ!」
その叫び声が響く中、男の手はあまりにも強く胸を握りしめ、まるでリンゴを砕くかのような音を立てた。しかし、胸から漏れるのは違う音だ。それはまるで焼き石の上に乗せられたステーキ肉が焼かれるときのような、じりじりとした音が、耳をつんざく。

「なぜだ、言え。言わなければ、このままお前は女として生きていけぬ地獄のような日々を送ることになる。」
男はさらに力を込めて、胸を押し付ける。だが、その時、彗は必死に男の顔を掴み、静かな声で告げる。
「し・・・んじ・・・様、申し訳ございません。ですが、私はあのようにはなりたくありません。私は、真司様に殺されるつもりはありません。」

その言葉が響く中、周囲では炎が踊る。複数の台の上に、奇妙な動物――細長い腕や足を持つ、猿に似た存在が焼かれている。
その光景に目を凝らすと、炎の中で焼かれる女性の姿が見えた。

「確かに、あの女たちもこんな形で火葬されることを望んではいなかっただろう。だが、彗、お前が招いた事だ。それに、最初に俺に抱かれ、食べられていれば、あの者たちも・・・」
男の手が再び振り上げられ、その瞬間、台座の炎がさらに強く燃え上がった。

「私の命は、真司様のもの。あの時、私は女として命を失いかけました。それでも、私は真司様と共に生きたいのです。そして、あなた様の熱い炎が私の中で燃え続ける限り。」
「・・・ふん、彗。お前が選んだ道も、死を願うような生き地獄かもしれんな。」
「それでも、私は、あなた様との幸せな道を選びます。」
彗はその言葉を口にし、真司の体を両腕で強く引き寄せた。

そして、宮殿と離れ小屋を繋ぐ長い桟橋を歩く彗。その足取りはよろけながらも、真司は後ろから叫ぶ。
「彗を部屋へ、そして医師による治療を手配しろ!」
その声が響く中、真司は離れ小屋へと戻る。そして、突如として炎が一気に燃え上がり、小屋を包み込んだ。



別時刻別の場所で、ランたちは兵似将軍との同行により尊の前国主が建岱「けんだい」の明故城「めいこじょう」にへと入城した。北側を大河の自然の防衛に守られ、城内の最大の宮殿を、南西からなぞりながら北東へと流れる小川で守られた。自然の要塞城となっている。
明胡城の城内に入った瞬間に馬車のカーテンが開き、一人づつ降り始めた。高い城壁内に囲まれた城下町。奥の広場には無数のテントが拡がり、たくさんの市が開き食べ物の微かな匂いが食べていないこの野生の腹を抑えが効かず、腰を下ろし一気に飛び上がろうとする。一気に町を見下ろす高さまで風景が変わるのに、腰を下ろしたまま上がらなかった。後ろを振り返るとリョウが肩に手を当てて、体が上がらないよう押さえつけられていた。

「勝手にうろうろするな。まだ入城申請が終わってない」

村人なら自動的に村長などが名簿を兵士に渡して終わりだが、村人ではない者は兵士に名前や所持品などが記録される。侵入者や違法操業、密輸、犯罪などの取り締まりを目的としてる。

「名前と滞在目的、所持品を出せ」

「リョウ、傭兵として山賊討伐報酬として将軍らと同行、所持品はこの刀のみ。この少年は」

「小僧、名前は」

「ラン」

「目的は」

「…」

「この者ら二人はワシと宮中へと行く。責任はワシが請け負う。取り締まる必要はない。」

「将軍、わかりました」

将軍によって入城をできたが、これでいいのかもわからない。ランの素性を何一つわかっていないし、俺の目的としてこいつは必要ではないが、なぜかこいつとはこれっきりとして別れるのは何か惜しいと思った。そうだ。定食屋でもそうだ。いつもなら関わらずに、記憶されずにすぎるのに、なぜか引き留めた。こいつをほっとけないのか?・・・確かに、あの頃も俺は、自由に動くあいつらの後を歩いていた。そして、あいつともいつも戦ってたな。ほれ・・・隣でランが、飛び去ってしまった。3度の鐘で宮殿に向かうよう将軍に言われたのに・・・。俺は意外と面倒を見たいのかな(笑)。

「俺も少しくぅ・・・・!!!!」

リョウの少し後ろを、破れ布を纏いロン毛の白髪・・・頬に赤い紋様!の姿を感じとったリョウは、過去の出来事が走馬灯のように一瞬で脳内を巡った。そして思考を通り過ぎ、腰に収めた刀に手をやり振り返りざまに、刀を抜く。




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