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1通の手紙

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「シンスへ」

両親からの最初で最後の手紙だった。

あなたが生まれた時は、とても嬉しかった。
この子のために頑張ろうと思えた。

でも、日が経つにつれて、できない自分と世間の目に耐えられなくなった。

そして、俺はラクな道に逃げた。

お前が、シリアルと知り合えて、本当に良かった。

「妻だけを一生愛して続けなさい。」

父親としてお前に教えれることは、これだけしかない。
私は妻を愛している。それは、ずっと変わらない。


シンス、ごめんなさい。
私はあなたに洗脳をかけていたの。
「カデンを大事にしなさい」と
カデンを見るように、、、
誰も近寄らないように。

この手紙は、本当に最後だった。
毒を二人は飲み、亡くなった。

それは、私たちの子供が生まれて3ヶ月後の事だった。

父には、手紙を送った。
「シリアルが、懐妊しました。」
だから、生まれるまで、待ってもらった。

そう。私は自分勝手だ。本当は、国王就任の後だった。自分が我慢できなくて、シリアルを妊娠させたのに、
両親の死でさえ、都合良い日にしてもらってる。
両親への愛がないわけではないが、シリアルへの愛のが大きい。
あまり愛されていたとは感じなかったから、私も愛が欲しかったんだろうな。
その反動がシリアルにいってるな、、、

洗脳って、、シリアルに初めて会った時、何も感じなかったわけだ。
納得。

「カイは知ってんだ?」
「ん?」
「洗脳のこと、、母上からの手紙に書いてあった」

「そうですか。。」

「私も少しかかっていたみたいです。メイカが気がついて、私の洗脳を解いてくれました。それで、あの王妃様からの贈り物の置物を偽物に変え、解けるように誘導しましたからシンス様は、洗脳が解けました。」


「シリアルは知ってるんだな?」

「そこまでは聞いていません。」


夜、シリアルが眠っている姿を見るためにベットに座った。

「シンスさまっ。」
目覚めたシリアル。
「起こしてしまったね。眠って、、湯浴みをしてくる。」

そうね。両親が亡くなったのだから、、


「シンス様。私もいいですか?」

「眠っていたのではないのか?疲れてない?」

「大丈夫です。」

シリアルは湯浴みはもう済んでいるのに、心配できてくれたんだな。

「おいで。」

シンスは、シリアルを抱きしめた。

「ごめんな。シリアル。知ってたんだな。王妃の手紙に書いてあった。」

「そうなんですね。」

「シリアル。俺が未熟で、、、」
強く抱きしめた。

「どうしたの?」

「俺が未熟だったから、洗脳されたんだ。これから精進していくから、、」

「未熟だからじゃないよ。シンスは、母の愛が欲しくて、王妃様のことを受け入れた。
それは当然のことよね。母の愛は、私も欲しかったもの。
子供なら尚更、、、。」


「確かに母の愛は欲しかった。」

「私と一緒ね。」

「お互い両親からあまり愛されていなかったな。」

「そうね。私は、子供たちを愛したい、そして、あなたもね。」

「ああ。それは俺も一緒だ。」

「シンス。あなたは洗脳は、もうかからないわよ。私との愛は本物よね?」

「ああ。洗脳じゃない。。心から、シリアルを愛している。どんなに愛し合っても満足できない。
もっと欲しくなる。
抱き潰すのはダメだってわかってるのに、止まらない。
だけど、シリアルといると安心するし、癒される。」

シンスは、私を求めてくれてる。嬉しい。
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