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おかしい

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シリアルは、寝る時に、密着して離さなかった。
いつもより密着してる。
どちらかと言うといつも、わたしがシリアルを抱く感じなんだけど。
最近、シリアルが、わたしにくっつく感じだ。

最近は、忙しくて寝るのが、遅くなるけど、寝ずに待っていた。

「シリ。私が遅い時は先に眠ってていいよ。」

「大丈夫だよ。本を読んでまってる。」

それはよくあることだけど、
実際、本は読んでるけど、その本は、いつも同じだった。
シリは、本を読むスピードが速かったから、同じ本を持ってることがおかしい。
読んでいない?読むふりをしている?

おかしい、、、

次の日、ルイカを呼んだ。

「シリアルがおかしい。何かあったか?」

「シリアル様はなんて?」

「言わない。隠してる。まさか、公爵か?」

「はい。一度帰ってこいと言ってきました。」

「なぜ?」

「理由がわからないのですが、シリアル様が、拒否しています。」

「メイカ調べられるか?」

「はい。」


その日は、早く帰ったけど、シリは引っ付いて離れなかった。

「シリ。どうした?何かあったか?」

「不安なの」
悲しそうな顔、、いや今まで見たことがない顔。

「何が?」

「あの、、、父が一度家に帰ってこいというの。今まで一度もなかったのに、
もしかすると、正妃の立場を姉と変われというのかもしれない。」

「なぜ?」

「最近姉が、王宮にきたの。
その時に、、、
シリアル。そのうち立場が変わるわよ。
あなたの大事なもの奪ってあげるって」

「?大事なもの?」

「私が大事なのは、あなた。シンス。だから、私は正妃を降ろされるかもしれない」


「もうすぐ、国王就任パーティーだぞ。」

「何かをしてくるのかもしれない。」

「結婚届には、ちゃんとシリアルの名前だし、公爵の名前もある。」

「でも、あの姉が、あんなにはっきりと言うから。」

「わかった。ちゃんと調べるから。
いま、ルイカに頼んでるし、カイも動くから」

「公爵には、帰らなくていい。帰る時は必ず私と帰ること、いや、王宮で、私がいる時に、会うことにしなさい。どんなことがあってもすぐ呼びなさい。一人であってはだめだよ。」

「シンス、、、私、一緒にずっといたらだめ?」

シリアルは基本的に頼み事もわがままも言わない。それが一緒にずっと居たい、って可愛い。
でもそれだけ不安なんだろう。

「いいよ。ずっと一緒にいよう。
会議も一緒に出たらいいし、離れないよ。シリアルも俺のそばから離れなくていい。」

「ありがとう。」

「シリアル。何があっても俺と離れることだけは考えないで。
もうシリアルなしでは、俺はやってけないよ。
死ぬまで一緒だからね。いや。死んでも一緒にいたい。来世も。」

シリアルは安心し、眠った。


嫌な時間はすぐやってきた。

会議の時に初めて父から声をかけられた。
「シリアル。家に帰ってきなさい。みんなが会いたがってる。」

冷たい目で言ってきた。何もかも言うことを聞けという目で、あの冷たい目が嫌いだった。

「いえ。私はいま、公務に集中したいので。
公爵も、公務をしっかりとやりなさいとおっしゃりましたよね?」

拒否をした。もしかしたら、初めての拒否かもしれない。

「ああ。それでも、全然、会ってないだろ?家族に、」

一緒に住んでた時も別に私のこと気にしていないのに、全然会っていないから問い理由って、、、ため息が出る。


「今は、国王就任のことで忙しいので、また落ち着いたら、殿下と一緒に挨拶に参りますわ。」

「いや。パーティー前に、1人で来てほしい。話したいことがある。」

とうとうと本性が出てきた。話したいこと、、、って。

「公爵、ここで話をしてもらって構わない。正妃のことは、私は全て知っておかないといけない。もうすぐパーティーがあるしな。」

「、、、、」

「話が終わったならいいか。
まだ、執務があり、忙しいから。」

シンスは、怒っていた。

執務室にいったら、
鍵を閉め、抱きしめられ、キスをされた。
執務室では、絶対にしないのに、、、
でもそのキスが安心できた。


「シリアル。大丈夫か?今日は早く帰ろ。」

「はい。」

職務に専念した。シンスは、めっちゃ速いスピードだった

シンスのオーラが怒りだった。


「カイ。今日の夕食は、シリアルが好きなオムライスにしておいてくれ。
部屋で食べるから2人分。
ケーキとシャンパン。
そして、かえったら、湯浴みをするから、用意を頼む。」

カイにこそっと頼んだ。

「シンスさま?」

「大丈夫だよ。シリアル。早く終わらせよ。」

執務が終わると、メイカに連れられて、湯浴みをすることになった。
ローズの香りの湯に浸かった

「シリアル様。公爵が見えたそうですね、、」

「そうよ。一度公爵邸に一人で来なさい。家族に会ってないだろ?って。」
ため息をつく。

「そうですか、、、。シンス様は?」

「怒ってるわ。オーラがピリピリしてた。
国王のことも公爵なのに何も知らないみたい。
お姉様の婚約者が遊び人みたいで、お姉様も浮気をしてるみたい。」

「そうなのですね。シオリーナ様はあまり職務はお得意じゃありませんよね?」

「そうね。泣きついてばかりいたから、逃れたもの。きちんと終わったのかしら?
私は逃げれなかったから、必死でやるしかなかったから。そのおかげで今があるから、そこは感謝しないといけないわね。」


「シンス様が守ってくださいますよ。信じましょう」

「ありがとう。ルイカ。」


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