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シンスとカデン

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カンター王国という国は、ほのぼのした国だった。
前国王が、平和になるように努力したからこそ、今の国がある。

今の国王と王妃は、前国王と王妃が、素晴らしかった分、目立たなくなっていた。
自分は、しなくていい。お飾りでいいと思ってしまったようで、正直、無能。

子供であるシンス王太子は、素晴らしい祖父を見て憧れて、父を見て、心配した。

王太子は、幼い頃から祖父に習っていたので、優秀だった。
学業も剣もどこに出しても恥ずかくない王太子だった。

元国王もシンス王太子なら大丈夫だと安心はしていた。


国王と王妃は、
バックラー伯爵夫妻となぜか?仲良かった。学生時代の友人らしい。

バックラー伯爵令嬢のカデンとは、必然的に遊ぶことになった。

王太子は、幼い頃からずっと一緒に、過ごして居たから、女の子とは、カデンみたいな子なんだと思い込んでいた。

カデンは、見た目は、可愛くて、女の子と言う感じだ。ふわふわしている。

ドレスや宝石を好み。キラキラするものを気に入って居た。

幼い頃から、私のことを褒めてくれる。
「シンスは、いつもカッコよくて、頼もしいわ。ずっと一緒に居てね。」
と可愛く言ってくる。

夜会に行っても、よく似た子がいる。
みんな私に駆け寄って、媚びて来る。

だから、女の子=カデンのようと認識あった。

シンスは、女の子と遊ぶより、学業をしたいし、剣の練習をしたい。
職務もしっかりしたい。

だけど、カデンは
「カデンをほったらかしにしないでね。なるべく一緒にいて、、、」
という。

めんどくさいな。と思いつつ、国王からも、
「カデンは可愛い女の子だから、シンスが守らないといけない。王妃を守るのは国王の仕事だからな。」と言われていた。
だから、カデンの言うことを優先にしないといけなかった。


国王が、数年前に、婚約者は、カデンと決めた。
幼なじみだから、婚約者になる確率は高いと思ってはいた。
別に、好きになる女の子もいなかったし、政略結婚とはそんなものだと、、、


婚約者ができたから、正式に王太子として、日々、職務をするようになった。
それは、僕にとって嬉しいことだった。
外交にも行けるから、いろんな国を見ることができた。楽しかった。 


もちろん、仮王太子妃としてカデンも職務をしないといけなくなったが、職務が全くできないことが判明した。

女の子だから?こんなものなのか?って思っていたが、正式王太子妃となった時、問題ではないのか?

マナー、知識、王太子妃にふさわしくないのでは?

祖母は、各国に、外交をして、祖父と一緒にいつも一緒にいた。
そんな2人に憧れていたシンスは、正直、職務までカデンと一緒にいたいとは思わなかった。

外交に連れて行くわけにはいかない。

一緒に幼い頃から、家庭教師に教えてもらっていたが、カデンは、嫌なことから逃げていた。
勉強してる姿をあまり見た覚えがない。

このまま、本当に大丈夫か?心配だけど、国王も王妃もカデンのことを気に入ってる。
カデンを王妃にしたらいいと言っている。

国王も王妃も前国王達に比べると無能。
その無能な人が、気に入ってる基準はなんなんだ?

正直、国王になったら、全て俺が負担しないといけないのか?と不安を覚える。


その事をカリー文官長に愚痴った。
「カリー文官長。このままカデンは、何もしなくても良いのか?
普通王妃は、公務をするはずなのに、なぜカデンはしなくていいと国王は、認めているのかわからない。」

「そうですよね。普通の王妃はきちんとします。ここだけの話にしてもらえますか?」

「ああ。」

「今、カデン様の仕事は文官が、2名で補っています。
王妃になれば、もっと忙しくなると思います。
また、文官を増やし、カデン様には、サインをしてもらうだけになると思います。
そのサインの数もかなり多いので、今の状態では、サインさえも心配です。
マナーも伯爵令嬢なのに、男爵令嬢並みです。これでは、外交に連れて行くとシンス様が恥をかくと思いますよ。」

「そうだよな。明らかだな。でも、国王がなぜカデンを王妃にというのか?がわからない。」

「私にもそれはわかりかねます。」

「私からも何度か言ったんだが、
カデンは可愛いから、王妃で良いという。国王たちも職務をしていないよな。国王の公務を私が、負担しているよな?」

「はい。今の状態は、お飾りですよ。外交は、全て宰相にまかせております。
宰相も、国王が出てきてほしい部分があるという事はおっしゃっていました。」

「そうだよな。なんとかしないと。」

「一度、私から国王に提案してみますね。
サルウエスト公爵令嬢の次女、シリアル様は、とても有能です。
今の令嬢のなかでは、ダントツに優秀だと私は考えています。正妃にしたら、シンス様も助かりますし、国にもいい方向に行くと思います。」

「ああ。頼む。」


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