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執事

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私は、ラインスズ前侯爵に救われたことがあった。
私は、三男坊だったので、継ぐことはできなかった。

毎日、どうするべきか悩んでいた時に、執事をやってみるのはどう?とラインスズ前侯爵に進めてもらった。

そして、
学校を主席で卒業することができたので、ラインスズ侯爵の執事を決めた。


でも、ラインスズ前侯爵には、反対はされた。
主席で卒業出来るなら、王族の仕事ができるからと言われたけど、私は、あまり興味がなかった。


信頼できる人を支えたい。

何度も説得し、やっと受け入れてくれて、ラインスズ侯爵の執事になれた。
あの時は本当に嬉しかった。


「私の息子は、無能である。正直あまり賢くない。サボりたがる。もし孫が生まれた時、そのまま支えてやってほしい。」と仕事をする時に言われたことだった。
孫を支える?どうゆうことだろう?とその時は、軽く考えていた。



それから、しばらくするとリサ様が生まれ、3年後、マリ様が生まれた。


「マリが生まれてから、リサは、あまり可愛いがられていないように感じる。
後継は、長女であるリサになる。
その時に、冷遇されるなら、なんとかしてやってほしい。

リサは優秀だけど、優しい。
だから、余計に両親にいいようにされやすい。守ってあげてほしい。
リサが幸せになれるように。
ラインスズ侯爵より、リサの幸せが優先だ。」

「承知しました。必ず。」

私はラインスズ前侯爵と約束した。



前侯爵は、生きている間に、リサ様に、楽しく当主の仕事を教えていた。

遊びの延長として、領地に一緒によく連れていった。

マリ様を優先するリサ様を少しでも楽しめるようにという配慮もあった。

「マリ。大丈夫?」

「?お爺さま。いつもありがとうございます。」

作り笑顔をしていた。

その作り笑顔ではなく、本当にこの子は笑えるのだろうか?そーゆう相手に巡り会えることを願った。


前侯爵は、リサ様を次期当主だと任命して、この世を去られた。

その時、10歳であった。当主教育が、正式に始まり、リサ様は、毎日忙しかった。 


私は、忙しくなるのはわかっていたけど、想像以上だった。

旦那様は、正直有能とは言えなかった。リサ様の方が、有能だった。
だから、どんどんと仕事が多くなってきた。
でも、毎日、全ての執務をこなしていた。

15歳の頃には、当主教育は全て終え、侯爵家の運営は、全てリサ様が行い、旦那様の仕事は、ハンコを押すだけになった。
何故かというと、旦那様が、仕事を溜めるので、回らなくなり、リサ様が処理をするようになったのである。

その頃、侯爵は、裕福になっていた。
前侯爵の新しい事業が、安定してきたからである。
もちろんそれは、リサ様の力であった。
前侯爵は、それを期待して始められた事業だったけど、天国で喜んでいるに違い無い。


奥様のカリアンヌ様と妹のマリ様は、ドレスにアクセサリーを買いまくり、茶会や夜会に行き、みんなに褒めてもらうことを楽しんでいた。

日に日にゴテゴテになってきた。
だから、ドレス代も高くなる一方だった。


私は、前侯爵に相談し、

「リサ様がもたらした利益は、全てリサ様のモノである」
と言う契約書をその時に結んでもらうことを提案した。

前侯爵が、賛成してくれて、
契約書を交わすことにした。

前侯爵と旦那様、リサ様の正式なサインをして、控えをそれぞれに渡した。


旦那様も子供のリサ様に利益なんて出るわけないと思い、気楽に契約を結んでくれた。


そして、食費も衣装代などは、きちんと四等分した。それも旦那様に了承済みだった。もちろん契約書を作成してある。


毎月、一定金額が、支払わられた。

みんなが同じ金額を振り込まれているので、旦那様も何も疑問に思うことがなかった。

食事代や衣装代を使わないなら、その分は貯蓄に回し、投資するなりしたらいいとリサ様に考えさせた。


案の定、跡継ぎが決まって、前侯爵が亡くなられて、しばらくすると
旦那様、奥様が、リサ様と話をしないようになった。
業務連絡のみ。話し方も冷たかった。

何故こんなにも差が出るのか?疑問に思い、少し探ってみると、

「リサは、執務さえさせておけばいい。俺も楽だ。」

「リサよりマリのが可愛いわ。」

「そうだな。マリのいうことを聞いてあげたくなるな。」

「リサは、何でもできる。俺が惨めになる。」

「そんなことないわ。あなたはとても素敵よ。私は大好きよ。リサが悪いのよ。子供のくせに。」

「嬉しいよ。カリアンヌだけだよ。私の味方は、結婚できて良かったよ。」

「マリもあなたのこと大好きよ。」

「俺は幸せだな。」

と言っているのを聞いた。




マリの方も探り入れると

「お姉様がいなかったら、私がここを継ぐことができるのに、、、ロバート様もかっこいいし、」

執事は、これは、リサ様が泣くことになる。
毎日あんなに頑張ってるリサ様を家族は、、、、

執事として、リサ様を絶対守ってみせると誓ったのであった。
もちろんバレないようにうまくやっていた。

ブラックリー公爵にリサの力になって欲しい。仕事を教えてほしい。と手紙にかいた。

返信が来て、
「リサを公爵に連れておいで。」
だった。
あの公爵が受け入れてくれそうだった。あとはリサ次第だ。。
さっそく、リサを公爵に行かせた。
何も知らせずに、



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