上 下
15 / 29

15帰国

しおりを挟む
ルーセントとマリーンは、クレスタを置いてサウジランドに向かっていた。

「うふふっ。王太子妃を1人置いてきて良かったのですか?」

「しばらくあの顔を見なくて済むならいいじゃないか?
地味で可愛くないしな。」

「私が癒してあげますわ。」

「ああ。」

「あのっ。さっき、メイド達が噂していたんですけど、帝国で評判の宿屋があるそうなんです。
帰り道にあるそうなので、行ってみたいです。」

「そうだな。別に急がないし、予定より早く帰って来たから、ゆっくりと帰ればいいだろ。」



サウジランドの国境に来て、
「あそこみたいです。サウジランド内だったんですね。すぐそこです。」

「ほんとだな。マリーンが、好きそうだな。」

「泊まっていきましょ。あなたの後継を産まないとね。正妃の代わりに。。」

その宿屋を泊まるように手配した。
2人は、お酒を飲み、そのまま熱い夜を過ごした。





次の日の夕方、王宮に帰ってきた。


「なぜ、こんなに早く帰ってきたんだ?
滞在は2週間であっただろう。」

「つまらなかった。帝国のくせに、食事も合わないし、飽きてきた。港町も臭いし、見る必要がないですよ。」

「遊びに行ったわけじゃないぞ。わかっておるのか?」

「もちろんです。王太子妃が、報告書を出しますよ。」

「そのクレスタはどこに?」

「後から来ます。」 

「後からとは、一緒に帰ってこなかったのか?」 

「帰国する日の朝、1人トロトロしていて、なかなか来なかった。
1人のわがままで、帰国に支障が出るので、1人で帰ってくるように言いました。」

「クレスタを1人置いてきた意味がわかっているのか?」

「わかってますよ。そんなに怒ることですか?」

「この手紙、読んでみろ。昨日の夜遅く、速達で届いた。」



「別に問題ないではありませんか?」

「本当にわかってるのか?」


「もう宜しいではありませんか?
先程、長旅から帰ってきたばかりなのに。
夕食の準備をしてあるから、早く食べなさい。」

「母上、ただいま戻りました。」


「やっぱりサウジランドの食事が1番よ。」

「我が国の料理は、1番良い。早く帰ってきて良かった。
早く食べたい。」


と3人は食堂へ去っていた。






国王は、朝から緊急事態発生のため、ルーセントが帰り次第会議を開く手配がしてあった。

ルーセントとクレスタが一緒に帰ってくることを願っていたけど、叶わなかった、

「文官長を先に呼んでくれ。」

文官長だけが執務室にきた。
「急に呼び出してすまない。王太子が、王太子妃1人を帝国に置いてきた。

あの2人は、離婚しなければならない。それに伴い、やってほしいことがある。

一点、2億デルを用意

もう一点は、ルーセントに離婚書にサインをさせる。
これは、気がつかれないようにさせてくれ。
ルーセントがごねる前に離婚をさせる。詳しくは会議の時に。」

「わかりました。手配します。」

緊急会議が行われた。

「この度は、急なところ集まってもらい、すまない。」

「いえ。何があったのですか?」

「申し訳ない。愚息が、愚かなことをしてしまった。
2週間の帝国への視察兼交流会に行っていたのだか、王太子妃を1人帝国に残して、先程、帰国した。

そして、帝国より、速達が届いた。昨日。」

「王太子が帰るより手紙のが速いとは、」

「1人とは?」

「メイドも護衛も残さず、本当に王太子妃、1人。」

「、、、、」


クレスタの叔父も来ていた。

「クレスタは、捨てられたのですか?帝国の人質にしたのですか?
あんなに小さい頃から、ルーセントのために生きてきた子を。。
しかも、疲労のため寝込んでるのに、」

「すまない。」

「ルーセントは、なんて言ってるんだ?」

「帰国の時、トロトロしていたから、置いてきたと。」

「ほぉ。。
アルフレッド皇太子は、悪い噂を聞いたことがない。離縁届を持っていくとき、私も一緒に行く。」


「ルーセントは、王太子から降ろすつもりだ。
第二王子が、まだ、幼いが、クレスタが、指導してくれていた。」

「慰謝料を2億デル用意する。それでも少ないが、、」

「2億デルもですか?」

「当たり前だ。
クレスタを王宮に縛り付けた年数は、10年以上だぞ。
その間家族とも会っていない。
お前たちの娘が、
そんなことになったらどうする?金だけで解決できるか?」

「、、、、」


「その2億デルは、クレスタに渡してください。決して、家族に支払わないで下さいよ!」


「そして、文官の配置換えをする。
今の状態では、公務が止まる。
だが、王太子、側妃、王妃はわかっていない。

文官の者も、数名しかわかっていない筈。
今の状態がいかに大変だということを。

クレスタ1人の仕事の量は、膨大だそ。

王太子に着くのは、3名。

王太子妃の仕事には、3名。女子を2名、

王妃の仕事には、2名。

まずつけてくれ。それでも難しかったら、補充してくれ。
あと1人1番優秀な人材を統括においてくれ。

それで、止めてはならないが、あの3人にわからさないといけない。

「公務を理由に失脚させるつもりでもある。」

文官達は、そんなに必要ないと思っていた。

王太子妃1人と文官11名と一緒なんて、信じられない。
流石に、、、それはいいすぎではないか?
と文官たちは思っていた。

しかし、現実を知ることになる。。、
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫

紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。 スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。 そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。 捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。

愛されていたのだと知りました。それは、あなたの愛をなくした時の事でした。

桗梛葉 (たなは)
恋愛
リリナシスと王太子ヴィルトスが婚約をしたのは、2人がまだ幼い頃だった。 それから、ずっと2人は一緒に過ごしていた。 一緒に駆け回って、悪戯をして、叱られる事もあったのに。 いつの間にか、そんな2人の関係は、ひどく冷たくなっていた。 変わってしまったのは、いつだろう。 分からないままリリナシスは、想いを反転させる禁忌薬に手を出してしまう。 ****************************************** こちらは、全19話(修正したら予定より6話伸びました🙏) 7/22~7/25の4日間は、1日2話の投稿予定です。以降は、1日1話になります。

【完結】政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました

あおくん
恋愛
父が決めた結婚。 顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。 これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。 だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。 政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。 どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。 ※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。 最後はハッピーエンドで終えます。

毒家族から逃亡、のち側妃

チャイムン
恋愛
四歳下の妹ばかり可愛がる両親に「あなたにかけるお金はないから働きなさい」 十二歳で告げられたベルナデットは、自立と家族からの脱却を夢見る。 まずは王立学院に奨学生として入学して、文官を目指す。 夢は自分で叶えなきゃ。 ところが妹への縁談話がきっかけで、バシュロ第一王子が動き出す。

自分勝手な側妃を見習えとおっしゃったのですから、わたくしの望む未来を手にすると決めました。

Mayoi
恋愛
国王キングズリーの寵愛を受ける側妃メラニー。 二人から見下される正妃クローディア。 正妃として国王に苦言を呈すれば嫉妬だと言われ、逆に側妃を見習うように言わる始末。 国王であるキングズリーがそう言ったのだからクローディアも決心する。 クローディアは自らの望む未来を手にすべく、密かに手を回す。

伝える前に振られてしまった私の恋

メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。 そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。

〖完結〗あなたに愛されることは望みません。

藍川みいな
恋愛
ブルーク公爵家の長女に生まれた私は、幼い頃に母を亡くした。父に愛されたことなど一度もなく、父が後妻を迎えると、私は使用人用の住まいに追いやられた。 父はこの国で、一番力を持っていた。一国の王よりも。 国王陛下と王妃様を殺害し、王太子であるアンディ様を国王に据えた。両親を殺され、12歳で国王となったアンディ様は、父の操り人形だった。 アンディ様が18歳になると、王妃になるように父に命じられた。私の役割は、アンディ様の監視と彼の子を産むこと。 両親の仇であるブルーク公爵の娘を、愛することなど出来るはずがない。けれど、私はアンディ様を愛していた。自分が愛されていないことも、愛されない理由も、愛される資格がないことも分かっている。愛されることなど、望まない。 父親がどんな人間かは、私が一番良く分かっている。父は母を、殺したのだから……。 彼に愛されなくても、彼を守るために私は王妃となる決意をする。王妃となってまもなく、アンディ様は愛する人を見つけたからと側室を迎えた。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

悲劇の令嬢を救いたい、ですか。忠告はしましたので、あとはお好きにどうぞ。

ふまさ
恋愛
「──馬鹿馬鹿しい。何だ、この調査報告書は」  ぱさっ。  伯爵令息であるパーシーは、テーブルに三枚に束ねられた紙をほうった。向かい側に座る伯爵令嬢のカーラは、静かに口を開いた。 「きちんと目は通してもらえましたか?」 「むろんだ。そのうえで、もう一度言わせてもらうよ。馬鹿馬鹿しい、とね。そもそもどうして、きみは探偵なんか雇ってまで、こんなことをしたんだ?」  ざわざわ。ざわざわ。  王都内でも評判のカフェ。昼時のいまは、客で溢れかえっている。 「──女のカン、というやつでしょうか」 「何だ、それは。素直に言ったら少しは可愛げがあるのに」 「素直、とは」 「婚約者のぼくに、きみだけを見てほしいから、こんなことをしました、とかね」  カーラは一つため息をつき、確認するようにもう一度訊ねた。 「きちんとその調査報告書に目を通されたうえで、あなたはわたしの言っていることを馬鹿馬鹿しいと、信じないというのですね?」 「き、きみを馬鹿馬鹿しいとは言ってないし、きみを信じていないわけじゃない。でも、これは……」  カーラは「わかりました」と、調査報告書を手に取り、カバンにしまった。 「それではどうぞ、お好きになさいませ」

処理中です...