【完結】6夫の上司の家政婦をすることになった妻の運命が変わっていく。

華蓮

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王宮に着き、入場を待つ。
私達は伯爵位なので、呼ばれるのは真ん中ぐらいか?

私は、久しぶりの王宮の華やかさに目を奪われる。
キョロキョロしてはいけないと思い、顔は前を向いたまま、目だけを動かして周りを観察する。

デビュタントの時は、アレックスお兄様が私にべったりで、周りを見る事すら不可能だったけど、王宮ってこんなに豪華なのね。
周りの紳士、淑女も皆、目も眩みそうな程だ。
私が周りに目を奪われていると、

「レベッカ?大丈夫?」
とレオ様が心配そうに聞いてきた。

「はい。大丈夫です。皆さんお綺麗で。ドレスも素敵で、素晴らしいです。
すっごくワクワクしてます。」
と微笑んだ。

「でも、この中で1番綺麗なのは、レベッカだよ。俺が保証する」

そんなにストレートに褒められると照れてしまう。

「レオ様、私を口説いても仕方ありませんよ?もう夫婦なんですから。」

「奥さんを口説いちゃダメなのかい?それにこれは俺の素直な気持ちだよ。」

レオ様は、初夜の後…実質的にも夫婦になってから、何故か甘々だ。
しかも、毎晩体を求められている。
もちろん私もそれに応えているが。早く子どもが欲しいのかしら?
…ここだけの話、私達は、体の相性が良いのかもしれない。アンナが相性が良いと、気持ちが良いものだと言ってたから、きっとそうなんだろう。
とっても毎日満足している。
つい最近まで、童貞と処女だったとは思えない。
さすがに、このことはアンナにも言ってないが、体に赤い跡がたくさんついているので、気がついているかもしれないが。
夜会では、肌を露出するので、数日は見える所には控えてもらった。

私達が顔を寄せ合って話していると、周りの令嬢がヒソヒソと話しているのが聞こえる。

「まさか、レオナルド様にお相手が?」

「そんな!男性がお好きなのではなかったの?」

「あのご令嬢は誰かしら?見たことないわ。」

「あの、絶対零度のレオナルド様が?」

「男色じゃなかったの?じゃあ、狙っても良いかしら?」

…皆さん言いたい放題ですね。私と同じような誤解をしてらっしゃった方も多いようです。

まぁ、私は社交界に殆んど出ておりませんし、誰?って言われるのも納得です。

レオ様はイケメンさんですから、他のご令嬢が注目するのも頷けます。

「…レベッカは気にしなくていいから。」

そりゃあ、レオ様にも聞こえてますよね。

「はい。わかっております。私、都合の悪いことは聞こえない耳を持っておりますので。」
そう私が言うと、レオ様はおかしそうに笑った。
その笑顔を見て、何故か周りからキャーって叫び声が聞こえますけど、皆さん、この笑顔に当てられちゃいましたかね。
イケメンの笑顔は破壊力抜群ですもの。

私達は婚約期間がなかった事もあり、結婚自体を知られていない。
知ってる人はまだ極僅かだ。
周りも私の正体が知りたくてウズウズしているようだ。


いよいよ、入場となり、王宮の大広間に入る。眩しいくらいのシャンデリアが明るく照らすホールは、先に入場した貴族達で、賑わっていた。

私達に注目している人達も多い。
私はとにかく背筋を伸ばし、堂々としている事にした。
舐められてはいけない。

「レベッカ、そうやって堂々としてれば良い。君は誰よりも美しいからね。みんなが君に注目してる。」

…せっかく虚勢を張っているのだから、動揺させないでほしい。

「多分、レオ様に注目しているのだと思いますよ。レオ様もいつもは護衛のお仕事で、出席されるのは稀なんですもの。
その上、女性連れですからね。私の正体を知りたい方も多いのではないかしら?」

「そうだな、秘匿のお姫様だからな。」

「?秘匿?」

レオ様の発言でわからない単語が出てきた。聞こうとした時、

「レオナルド!」
と、かなり体躯の良い、近衛騎士の格好をした少しワイルドな男性が歩いてきてレオ様に声を掛けた。
正直に言うと、めちゃくちゃ私のタイプだ。

「団長。お疲れ様です。」

「団長?」
ちょっとその男性見惚れてた私は、レオ様の言葉に我にかえる。

「ああ、レベッカは初めてだな。この方は近衛騎士団、カルロス団長だ。俺の上司だよ。」

「!はじめてお目にかかります。レベッカ・ランバードです。いつも主人がお世話になっております。」
私が挨拶すると

「おー。貴女がレオナルドの。
私は近衛騎士団、団長をしているカルロス・ダッドだ。
こりゃあ、美人な奥さんだな。
レオナルドは面食いであったか。」

「団長!私は妻を顔で選んだわけではありませんよ。顔ももちろん好きですが。」

「はははっ。お前の惚気が聞けるとはな。長生きはするもんだ。」

「そこまでの歳じゃないでしょうに。」

「まぁ、そう拗ねるな。ちょっとお前に話があるんだ。」
そう団長さんは私をチラリと見て言う。

「あの。私、少し席を外しましょうか?」
そう私は言ったのだが、

「ダメだ。レベッカは俺の側から離れちゃダメだよ。」
と、腰に手を回す。
…団長さんがお困りの様子ですけど…。

「団長、耳打ちして下さい。私はここから動けませんので。」

…レオ様、それは我が儘というものですよ。

「レオ様、私は少しだけ後ろに下がります。大丈夫です、目の届く範囲にいますから。」
私はレオ様の腕から逃れ、後ろへ下がる。ちゃんとレオ様の目が届く所だ。

「お前…そんなに束縛が激しいと嫌われるよ。」
とため息をつきながら、仕方ないとばかりに、その場で耳打ちしていた。


「…私はその話を聞いておりません。」

「だから、今話してる。急に決まったんだ。」

「なるほど。で、私は何をしたらよろしいでしょうか?」

「いや、お前は休暇中だ。奥方と舞踏会を楽しめよ。
側近のお前が知らないのは不味いからな。先に知らせておけと殿下から賜ったんだ。」

「わかりました。では後程、殿下には挨拶とお話を。」

「ああ、そうしてくれ。きっと殿下もお前の奥方を見てみたい筈だからな。
楽しみにしてると思うぞ。」

最初のお話は聞こえなかったが、その後の会話は聞こえる。
2人の顔つきから、深刻な話ではないように思ったが…。

会話を終えるとカルロス様は大股で持ち場へ戻って行く。
私はまたもや見惚れてしまった。
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