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1人
しおりを挟む乳母には、愛情が湧かなかった。
乳母も仕事として、ユイカーナに接していたから、ユイカーナが最低限生きるために雇われたにすぎなかった。
乳母も私が何をしているかなんて興味もなかった。
そんな関係の二人だったから、乳母が亡くなったことも、ユイカーナは知らなかった。
ただ、最近来ていないというだけだった。
本邸に行き、新人使用人に聞くと、亡くなったらしい。と。
こちらには全く連絡もなく、誰も、教えてくれなかった。
別棟では、1人だった。
元々、食事も令嬢が食べるものではなかった。なので、ユイカーナは、自分で森に行き、食糧を調達していた。
家に帰っても一人だし、べつに誰かが待ってくれるわけではなかったから、練習する時間が増えた。
そのことは、まだ、アルカスは知らなかった。
たまたま夜に剣をしようとしたときに、
森に入っていくユイカをみた。
すぐに帰ってくるだろうと思っていたのに、帰ってこなかった。
心配になって、森に入ると、
この葉相手に練習をしていた。
それを見ていると、スピードが、UPしていた。
何時間しているんだ?
休んでない。
様子を見ている、休むことをしなかった。
気がついたら、朝だった。
いつから?なぜ家に帰らない?
朝のいつもの剣の時間になるから、帰ると、
ユイカは、「おはよ。」
とやってきた。
いつもと同じ。今まで剣を振っていたとは思えなかった。。
ユイカが森に行っている間に、
乳母に会うために、屋敷に行ったら、
誰もいなかった。どうなってる?
食事は?掃除は?
ユイカに確認したら、
「乳母は、元気か?」
「3ヶ月前に亡くなったの。」
「え?メイドは?」
「誰も来ないわ。私一人。」
「兄上に言ったのか?」
「、、、、、」
「乳母が亡くなったことぐらいは知ってるのではありませんか?
それでも手配されないのですから、、」
「うちに来るか?」
「いいの?」
この日からアルカスとユイカは一緒に住むようになった。
しばらくすると、ユイカーナとアルカスの実力に差が縮んできた。
ユイカーナが強くなってきた。
ほとんどの時間、剣を振っているから、強くなるのは当たり前だったけど、
俺も弱いわけじゃない。
まだ負けたくないとアルカスも練習に励んだ。
数年後、
アルカスは、守るものができた。
アリーヌと結婚したいと考えていた。
「ユイカ。俺は、妻を守る為に剣を抜きたい。魔剣を扱えない。」
「大丈夫よ。私が扱うわ。」
「今後は、ユイカを支える。フォローする方に回るから、」
「頼むわね。」
魔剣を扱うのは、一人だけ。アルカスが譲ってくれたんだと思う。
アルカスの彼女のアリーヌとは、仲良くなった。
姉のような関係で、女子会もよくしたし、ユイカーナも剣を持っていない時は、普通の女の子だから、ドレスを着飾ったり宝石を見たりする。
母とは、ほとんど話さないけど、
アリーヌとは、いろんな話をした。
アリーヌもユイカを妹のように接してくれた。
そろそろ結婚するとなった時に、
「私もそろそろ戻るね。」
ユイカは、別棟に戻っていった。
しばらくするとアリーヌから、ユイカも一緒に住んだらいいということになり、ユイカが戻ってきた。
アルカスとアリーヌの間に子供が生まれ、カルパスと名づけた。
可愛い男の子だった。
ユイカーナも幸せな気持ちになった。
「アリーヌ。子供を産んでどう思う?」
「嬉しいわ。この子と楽しく暮らしたいし、この子ためなら死ねるわ。それぐらい大事。」
「アルカスは?」
「可愛い。我が子の為に仕事を頑張ろうと思う。ユイカ?」
「そうよね。私もカルパスが可愛い。」
「ユイカ。」
アルカスが抱きしめてくれた。
「大丈夫だ。私たちがいる。」
「そうよ。私たちがあなたを愛しているわ。」
ユイカーナは、初めて泣いた。
「今だけ、、、」
「気がつかなくてすまない。
お前は小さい頃から、強くて、泣いているところはみなかった。
親からの愛がなくて寂しいはずなのに、我慢していたのに、、、」
「ううん。私もそんなものだと思ってたの。
でもね。アリーヌをみて、おかしいと思ったの。母は、私をお腹を痛めて産んだのに、私に接しなかったらしいの。
赤ちゃんの記憶はないけど、乳母から聞いた話は、そうなの。」
「ユイカーナも自分で家族を持てばいいのよ。そしたら、幸せを感じるわよ」
「アリーヌ。私は結婚するつもりはないの。」
「結婚はしなくていいの。でも、そーゆう人が出会った時は、向き合ったほうがいい。柔軟にね。」
「ありがとう。アルカス、アリーヌ。私はもう大丈夫よ。少し剣を振ってくるわ。」
ユイカーナは、は笑顔で部屋を出た。
「アルカス。ユイカーナには幸せになってほしいわ。」
「出会えるといいけど、魔剣を扱うとなるとな。多分、最強になる。」
「最強?あなたより?」
「ああ。今までは、私に力があったから、ユイカに勝っていた。
ユイカに勝つためには、力が必要だったからな。
俺も、それなりには強いぞ。でもユイカはその上をいく。
魔剣を使うことができると、俺なんてかなわないよ。
これは、まだ、ユイカは知らないが、ユイカが団長となり、騎士団が結成することになるんだ。皇太子より、話が来ている。」
「ユイカーナは、まだ学園にも行ってないのよ。」
「魔剣を扱えるようになったら、いや、もうなると思う。今回のことで、あいつに迷いがなくなった。それでそうなんだが、ユイカは可愛いものは好きだろ?」
「そうね。私と変わらないわ。」
「学園に行くときは、ユイカーナとして、女子らしい生活をさせてあげたい。そして、団長ユイカとして、二重の生活になるが、、、」
「そうね。それはいいかもしれないわ。」
愛を知らないからこそ愛を知ってほしいとは思ってる。
だからこそ、アリーヌと仲良くなってもらいたかった。
アリーヌと仲良くなるということは、愛が欲しいといことだ。
アリーヌは、いつも笑顔で優しく一緒にいると安らげる。そんな子と友達になったら、ユイカも変わるかとは思ったけど、なかなかうまくいかないな。
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