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アイリーンの滞在の前日に王宮へ行った。

「王太子殿下。今日からしばらくよろしくお願い致します。」

「アイカ殿すまないな。頼むわ。」

「はい。あの国王様と王妃様にも挨拶を」

「そうだね。案内するよ。一緒に行こう。」

「大丈夫ですわ。王宮は、知っているところですから。」

「いや。一緒に行こう。」

「失礼しました。よろしくお願いします。」

わたしはもう王太子の婚約者ではないから、ウロウロしてはいけなかったのよ。
忘れていた。しっかりしないと。

王太子は、少しでもアイカと居たいと思っただけだった。
そして、国王たちから守らないと思った。

「国王。王妃。アイカ殿が、挨拶にと」

「入れ。」


「この度は、アイリーン様の滞在中、刺繍を教えるために参りました。よろしくお願いします。」

「貴方の取り柄の刺繍を王女様にしっかり教えて下さいよ。王女様は、難しい性格ですから、よろしく頼みますよ」

「すまないね。王女様のこと頼むぞ」

「普段は、シオリに任せて、刺繍の時だけでよろしいので、貴方はもう王太子とは関係ないのですからね。」

「はい。では、失礼致します。」

部屋を出た。

「アイカ殿、すまない。」

「いえ。大丈夫ですわ。王妃様は、シオリ様のことを信頼しておりますのね。私は、信頼されなかったから、貴方にはふさわしくなかったのね。申し訳ありませんでした。気がつかないで、、、」

「そんなことない。わたしは、」

「大丈夫ですわ。王太子殿下は、お優しいですから。とりあえず、シオリ様にお任せしますので、明日、王宮の使用人と一緒に、アイリーン様をお迎えしますね。もし挨拶ができるのならさせて頂けると嬉しいです。」

「ああ。また言う、」

「シオリ様にも挨拶をしたいのですが、シル様に案内して頂けませんか?」

「わかった。」

「では、わたしはここで、失礼します。」


シル様が部屋に来てくださった。。

「シオリ様は、挨拶はいらないとの事です。明日、アイリーン様を迎える時で良いと。」

「そうですか。」

アイカは、その後、部屋から一歩も出ずに、刺繍をしていた。

滞在中の食事も部屋でとった。
少なめでお願いしたのに、量が多かった。
王宮で居た時よりも多くてびっくりした。


「シル様。食事の量が多いので、減らしてもらえませんか?わたしがここで居た時もこんなにたくさん出て来ませんでしたよ。今の量の三分の一で大丈夫です。」

「え?アイカ様は、ここに居た時、どんな食事でしたか?」

「この半分くらいでしたわ。」

「え?そんな、、、」

「何か?」

「いえ。何も。何かありましたらお呼びください。」


「ありがとうございます」

シルはそのまま王太子に報告に行った。

「アイカ様は、食事の量を三分の一にしてほしいと」

「三分の一?」

「元々ここに居た頃も半分の量だったそうです。」

「まさか、、、」

「そうみたいです。」

本当に俺は、アイカの事を見ていなかったんだな。隣にいることが普通だった。
先ほどの王妃の言動に、食事のこと、、
アイカには、苦労をかけていたんだ。

なんと詫びたらいいのか。。



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