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シード

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アイルがいなくなったと屋敷に行った時に聞いた。

「アイル様が帰っていないらしい。」

「でもこの家はあの人がいなくても何も思わないわ」


と侍女達が話をしていた。



シードもその話を聞いても気にならなかった。
俺に反発するから、、反省して戻ってきたら、許してやろうと思っていた。

それよりアスカが欲しかった。



その後、ずーとアイルの姿を見なかった。

 
アスカから、
「アイルは、伯爵家から除籍するから、
だから、あなたとの婚約は白紙になるらしいわよ。」

「そうなんだ。」


俺は、アイルとの婚約が白紙になればアスカと婚約できると簡単に思っていた。


「アスカ、、、俺たち」
婚約の話をしようとしたら、アスカは、

「そうそう。明日お茶会があるの。始めて行くのよ。」



話を逸らした。
アスカは俺と婚約するつもりはないのか?

それに茶会に初めていく?

「今まで茶会に行っていたのでは?」

「令嬢の茶会よ。今までのは、母の付き添いだったのよ。」

母の友人の茶会と王宮の茶会だけしか行ったことがなかった。

「そうか。それは楽しみだね。。友達と話できるといいね。」

「このドレスで行くの。素敵でしょう。」

ドレスは煌びやかで、目立つなと思っていた。男のシードにとって茶会の常識なんて知らないから、目立つ方がいいと思ったから、
「素敵だな。注目されるだろう。」

楽しい茶会になるだろうと思っていたら、

帰ってきたアスカは、イライラしていた。


「なんなの、、あの、侯爵令嬢は、私よりみんなにチヤホヤされて、、、」

「どうしたんだい?」

「アイルナという侯爵令嬢が、私より優遇されているの。
最近侯爵家が養子に迎えられたらしいわ。」


「アイルナ?」

ふっとアイルのことを思い出した。

居なくなっても、誰も探さない伯爵家。

まぁ。伯爵家を追い出され平民になったアイルではないだろう。

それにしてもアイルはどこに行ったんだ?



たまたま孤児院と修道院がするイベントの護衛についていた。


「孤児院のイベントに出るなんてめんどくさいな。せっかくの休みなのにな。」

と騎士団の面々は愚痴っていた。



だいたい子爵以下の令息ら令嬢しか集まらない孤児院のイベント。

上司もこないし、気を抜けるはずだったのに、珍しく、騎士団の上級の方がみえていた。

なぜ?って思っていると、
侯爵家のアイルナ様が、お手伝いに来ていた。
自分の場所から、アイルナ様をはっきりとは見えないけど、とても綺麗な人だった。
アスカが言ってた人だな。



この声聞いたことあると思って、周りを見た。
確かにこの声はアイルの声だが、いない。

この孤児院のどこかにいるはずだ。
よく探したが、アイルはいなかった。

ずっと俺の婚約者だったアイルだから、私は間違えない。

ここにいるはずだ。

アイルは、修道院に行って、俺を想いながら、過ごしていたに違いない。

ずっとアイルは俺を好きだったからな。
俺がアスカと付き合っていても忘れられなかったんだな。可愛いやつだな。

伯爵家の誰1人お前のことを探さなかった。でも俺は違う。白紙になったけど、お前にとって大事な人だろ。。

今日は、仕事だからまた違う日に来てやろう。泣いて喜ぶだろう。探してやるのは、俺だけだからな。






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