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両親side

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海に行った時、
妹が、帰りたいというのに、あの子はわがまま言って帰らないなんて、、、


少しほっておけば気が済むでしょう。
後で迎えにいけばいい。
そう思って
私達は、3人で食事をすることにした。

食事は楽しくて、
普通に家に帰った。
そう、あの子の存在を忘れていた。


夜、廊下を歩く音がした。
夫が、誰かと思ってドアを開けて確認した。
あの子が帰ってきて、初めて私たちは、あの子を海に置いてきたことに気がついた。
すっかり忘れていた。
エアリーがいない時に3人で食事に行くことがあるので、今日もそんなつもりだった。
海に行き、エアリーを置いてきたことをすっかり忘れていた。


夫は、自分達の非を隠したくて、あの子に、
「もうわがままいうな。」と言った。

私も真似をして、次の日の朝、
「次からは、わがまま言わないようにね。お姉ちゃんなんだから。」
と言った。

親としては、最悪だ。
馬車で1時間もかかるところ、エアリーはどうやって帰ってきたのか?
気にはなったけど、聞かなかった。
ふと。エアリーの手首を見ると、
掴まれた跡があった。
え?どうしたの?いや、聞けない。。
だから、気がつかないふりをした。
ちゃんと帰ってきたんだから、何もなかったのよ。


それから、あの子はわがままを言わなくなった。いや。元々、わがままは言わなかったけど、今まで以上に、妹思いの優しい子になった。



あの子の誕生日と妹の誕生日は、5日違い。

妹が、私の誕生日の日に祝ってほしいと言い出したから、妹の日にお祝いすることになった。


お姉ちゃんだから譲ってあげて、、と言ったのは、それは5歳の時だったな。

あの子は小さい頃から、優しい子。


プレゼントは何がいいと聞くと妹と同じでとしか言わない子が、ガラスのペンが欲しいと言った。

ずっと学年トップで、勉強もできる。
なので、ガラスのペンは高価だけど買ってあげる約束をした。


とても喜んでた。
久しぶりにこの子の笑顔を見た。良かったわ。


誕生日の前日、
妹が、ガラスのペンを欲しいと泣き出した。

仕方ないわ。交換しないと、、、。
あの子はお姉ちゃんだから、、、わかってくれるわ。



「え?ガラスペンは?」

「急に妹が欲しかったのよ。いいでしょ。お姉ちゃんなんだから、、、、」


「私、、、ガラスのペンがほしい。あれで勉強したい」
いつもそんなこと言わないのに、わかってくれなかった。


「わがままね。これも描きやすいでしょ。」
普通のペンを渡すと

「これは妹のために買ったのよね?」


「仕方ないよね?あなたの妹が欲しかったんだから、、、、」
と言ってしまった。

あの子には関係ないのに、、、
でも止まらなかった。

あの子は、普通のペンを持って部屋に篭った。

それから数日後、ガラスのペンは、妹の机のうえに、汚れたまま、置いてあるのを夫が、見つけた。
あいつには早かったんだな。もったいないから、エアリーに渡せばいい。と

「このガラスペンは、お前が使いなさい?」

「いりません。私は、ペンを頂きました。そのガラスのペンは、妹のです。」

「妹には合わなかったようだから、お前が使えばいい。」

「もう入りません。それは、妹のものです。」
珍しく頑固だった。受け入れたらいいのに、と思っていた。

それからは、私たちの言う通りに行動した。
やっと私たちのことわかってくれたのねと夫と喜んでいた。

その反面、あの子との距離を感じるようになった。
今までは、食事をしたあとは、お茶をするけど、エアリーは、食事を食べるとすぐに部屋に戻っていった。
食事も淡々と食べているように思える。
前より会話がなくなった。
エアリーから話をすることが、全くなくなった。

こちらから話しかけることにしたら、

「学園はどうなの?」
「変わったことはありません。」

「成績は、いいのね。頑張ってるのね。」
「ありがとうございます。」

これぐらいの会話しかしない。
続かない。
エアリーは、話を続けようとしてくれない。

それに、休みの日も
部屋からあまり出てこなくなった。

そして、
学園からの帰りも遅くなっていった。

学園では、役員をしていると先生から聞いた。
あまりみんながしない地味な仕事だけど、エアリーはきちんとしてくれると先生に褒めてもらっていたけど。

「そうですか。今後も帰ってくるのは遅くなると思いますから、
食事は、後で部屋で摂るようにします。ご迷惑をおかけするといけませんから。」

と言い出した。

わたしたちを避けるようになってきた。





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