【完結】17あなたがいらないなら、私はいなくなります。

華蓮

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月日は過ぎ去り、7年が経ったある日。
毎日カオリーナといることが、普通になってきた。
カオリーナが逃げることがないと安心していたアルフィールは、
ある子爵令嬢と出会い、久しぶりに
新鮮な気持ちになっていた。



アルフィール様から伝えられた。

「カオリーナ。すまない。君以外の人を心がいってしまった。」
少し誤魔化した言い方にした。俺はずるいな。

「そうですか。わかりました。私はどのようにさせて頂いたらよろしいでしょうか?」

「どのようにとは?」


「その方は、妃としてあなたの横に立ちたいのでしょうか?
それとも私が妃でいてよろしいのでしょうか?」

「君が妃であることは変わらない。」

「わかりました。では、私は、なるべく顔を合わさないようにさせて頂きますね。」

「それは、まってくれ。君は今まで通り。」

「その方が、嫌な気持ちになってもいけませんから。
私は、別棟の方で、暮らし、公務をさせて頂きたいと思います。
しっかりと公務をさせていただきますので、安心をしてください。」

カオリーナは、完璧な笑顔で去っていた。
完璧な笑顔で、これ以上言えなかった。
また公務で会えばいいと思っていた。

その後、全ての公務をやり、素晴らしい仕事をしていたが、2人が会うことはなかった。

公務も2人で動くものはなかった。
今まで、カオリーナが私のそばにいて、執務を手伝ってくれた。だからそれがなくなると、カオリーナと会うことがなかった。
私が、食事に誘っても、
「私と食事をしてはいけません。ご機嫌を損ねてはなりませんよ。」
拒否された。
私が言ってしまったから、この対応は、
当然だと思うから、気長に待とうと思う。
姿だけでも見たかったが、その姿だけも見ることができなかった。

公務をすることで、私のそばから離れたわけでなかった。
あの時の約束通りだった。



半年後、久しぶりにカオリーナに会った。

「アルフィール様、ご無沙汰しております。」
いつもと変わらない笑顔だったけど、
ドレスが、昔と比べて、露出が減った。
昔から露出はしていないが、今は、顔の一部しか見えないと言っていい、
頬を髪の毛で隠していると言ってもいい。
全体的にふっくらしたように感じた。

久しぶりに会ったカオリーナにドキドキした。
やっぱりカオリーナが好き。間違いない。
今は職務があるからゆっくりできないから、また今度食事にでも誘おう。今度は強引に、、

安心したアルフィールは、その場をさった。


「もう、気がついてくれないのね。」
と一言、アルフィールには、聞こえない声でつぶやいた。




そして、その数日後、
「カオリーナ様、倒れました」という連絡をもらったアルフィールは、カオリーナに会いにいった。
「なんで?先日見た時は元気そうだったのに。」


部屋に入ると、びっくりするぐらい何もなかった。

ドレスや宝石、家具、王妃の部屋なのに
、何もない
日当たりも良くない。薄暗い部屋。


「カオリーナ?」

医師から、、告げられた。

「今、眠っておられます。目覚めるかは、わかりません。カオリーナ様次第でございます。」

「どうゆうことだ?」

「カオリーナ様は、半年前に、ガンを宣告しました。私から言えることこのことだけです。また急変したらお呼びください。」

医師は部屋を出て行った

侍女に問いかけた。
「全てを教えてくれるか?」

「はい。カオリーナ様は、半年前にガンの宣告を受けました。

それを告げよとした時に、アルフィール様から好きな人がいると伝えられました。
カオリーナ様は、ほっとしたようです。アルフィール様に病気を告げなくて済んだことと、アルフィール様がこの先、好きな人過ごせることを安心しておりました。
公務に支障出ないように必死に、病気を隠しておりました。
どんどんと食事はできなくなり、痩せていくので、体を隠すようなドレスに全て変えて、全身にタオルを巻き、口の中に、ガーゼを含んでいました。
多分誰1人気がつかなかったと思います。」

「、、、、」

「この部屋は?」

「カオリーナ様は、自分のものを残すことを嫌い、先日、全てのものを寄付したりして、処分しました。多分最期を感じていたのでしょう。」



「そんな、、、」

「カオリーナ様は最後まで、アルフィール様の幸せを望んでおりました。あの方と幸せになってくださいとの事でした。」


「本当にそう言ったのか?」

「はい。口ではそうおっしゃっておりました。」

「過ごしてる時に何か言わなかったか?」

「、、、、、」

「なんでもいいから、、」

「、、、、、」

「私が見たことと聞いたことですよ。カオリーナ様の意志ではありませんよ。それで良いなら、、」



「カオリーナ様は、公務以外部屋から出ることは無くなりました。
少しでも庭に出たほうがよいと言ったのですが、頑なに、部屋から出ませんでした。
そして、レースのカーテンを開けることをしませんし、窓に近づきませんでした。

余命は、一年だったので、半年でこんな状態になったことは、生きるのを辞めたのかもしれません。

先日、アルフィール様とすれ違った時、もう、気がついてくれないのね。と小さな声でつぶやいていました。」


アルフィールは、窓から、外の様子を見ると、いつも私たちが外で過ごす場所が見えた。


「最後に本当のカオリーナを見せてくれ、、」

「それはダメです。カオリーナ様が必死に守ってきたものです。いくらアルフィールの頼みでもそれは無理です。最後の王妃の望みです。」

アルフィールは、手を握ると今までとは考えられないほど細かった。
もう肉がなくなっていた。
頬もこけて、、
化粧で全て誤魔化していた。



「もう、この部屋から出てください。最期の時は私だけだと、カオリーナ様からの命です。」

「わかった。」

それから2日後に、一度、目を覚まし、「ありがとう。」と一言話して、カオリーナ様は、息を引き取った。

アルフィールは、カオリーナが亡くなったと侍女から報告された。

「カオリーナ様が、お墓は、必要ないとのことでした。全てのものをこの世から消し去りたいそうです。」


「カオリーナはどうするんだ?」

「海へ、、、」

「本当に残さないんだな。」

「はい。全てを無くして、鳥に生まれ変わりたいそうです。」


アルフィールは後悔した。
全てのものをなくすとは思わなかった。 
カオリーナのものがない。全く。匂いもわからない。

私は、カオリーナがもうどこにも行かない事を安心して、心変わりをしたのだな。
いや。浮ついたんだ。
カオリーナも愛していた。カオリーナにも、この半年、会いたかった。
カオリーナに会いたくても、会えなかった。本当に別棟から出てくることがなかった。
私を避けていたんだな。



カオリーナは、私を憎んでいたんだろう。
迎えにいくべきではなかったんだろうな。 迎えに行かなければ、愛する人に看取られて、

妃はカオリーナであり、アルフィールは、誰とも結婚しなかった。

愛人とも別れ、一人で過ごした。

そして、カオリーナと入るつもりだった墓に一人で入ることになった。


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感想 5

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みんなの感想(5件)

hiyo
2024.04.26 hiyo

ラストが胸に響く素敵なお話でした。
どんな事も当たり前であって当たり前ではない。今を大事にしないと~

読ませて頂いて有難うございました。

2024.04.27 華蓮


たくさん作品があるなか、読んでいただけることは、本当に嬉しいことです。

ありがとうございます。

解除
どら
2023.06.14 どら
ネタバレ含む
2023.06.14 華蓮

コメントありがとうございます。嬉しいです。
人間と鳥、陸と空、鳥が近寄らない限り接することはない。私はあなたを許すつもりはないと。。

読んで頂けること、感謝しております。ありがとうございます。

解除
せち
2023.03.13 せち

素敵なお話でした👏👏👏👏

2023.03.13 華蓮

コメント、そして読んで頂き、ありがとうございました😭

解除

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