6 / 6
6
しおりを挟む
月日は過ぎ去り、7年が経ったある日。
毎日カオリーナといることが、普通になってきた。
カオリーナが逃げることがないと安心していたアルフィールは、
ある子爵令嬢と出会い、久しぶりに
新鮮な気持ちになっていた。
アルフィール様から伝えられた。
「カオリーナ。すまない。君以外の人を心がいってしまった。」
少し誤魔化した言い方にした。俺はずるいな。
「そうですか。わかりました。私はどのようにさせて頂いたらよろしいでしょうか?」
「どのようにとは?」
「その方は、妃としてあなたの横に立ちたいのでしょうか?
それとも私が妃でいてよろしいのでしょうか?」
「君が妃であることは変わらない。」
「わかりました。では、私は、なるべく顔を合わさないようにさせて頂きますね。」
「それは、まってくれ。君は今まで通り。」
「その方が、嫌な気持ちになってもいけませんから。
私は、別棟の方で、暮らし、公務をさせて頂きたいと思います。
しっかりと公務をさせていただきますので、安心をしてください。」
カオリーナは、完璧な笑顔で去っていた。
完璧な笑顔で、これ以上言えなかった。
また公務で会えばいいと思っていた。
その後、全ての公務をやり、素晴らしい仕事をしていたが、2人が会うことはなかった。
公務も2人で動くものはなかった。
今まで、カオリーナが私のそばにいて、執務を手伝ってくれた。だからそれがなくなると、カオリーナと会うことがなかった。
私が、食事に誘っても、
「私と食事をしてはいけません。ご機嫌を損ねてはなりませんよ。」
拒否された。
私が言ってしまったから、この対応は、
当然だと思うから、気長に待とうと思う。
姿だけでも見たかったが、その姿だけも見ることができなかった。
公務をすることで、私のそばから離れたわけでなかった。
あの時の約束通りだった。
半年後、久しぶりにカオリーナに会った。
「アルフィール様、ご無沙汰しております。」
いつもと変わらない笑顔だったけど、
ドレスが、昔と比べて、露出が減った。
昔から露出はしていないが、今は、顔の一部しか見えないと言っていい、
頬を髪の毛で隠していると言ってもいい。
全体的にふっくらしたように感じた。
久しぶりに会ったカオリーナにドキドキした。
やっぱりカオリーナが好き。間違いない。
今は職務があるからゆっくりできないから、また今度食事にでも誘おう。今度は強引に、、
安心したアルフィールは、その場をさった。
「もう、気がついてくれないのね。」
と一言、アルフィールには、聞こえない声でつぶやいた。
そして、その数日後、
「カオリーナ様、倒れました」という連絡をもらったアルフィールは、カオリーナに会いにいった。
「なんで?先日見た時は元気そうだったのに。」
部屋に入ると、びっくりするぐらい何もなかった。
ドレスや宝石、家具、王妃の部屋なのに
、何もない
日当たりも良くない。薄暗い部屋。
「カオリーナ?」
医師から、、告げられた。
「今、眠っておられます。目覚めるかは、わかりません。カオリーナ様次第でございます。」
「どうゆうことだ?」
「カオリーナ様は、半年前に、ガンを宣告しました。私から言えることこのことだけです。また急変したらお呼びください。」
医師は部屋を出て行った
侍女に問いかけた。
「全てを教えてくれるか?」
「はい。カオリーナ様は、半年前にガンの宣告を受けました。
それを告げよとした時に、アルフィール様から好きな人がいると伝えられました。
カオリーナ様は、ほっとしたようです。アルフィール様に病気を告げなくて済んだことと、アルフィール様がこの先、好きな人過ごせることを安心しておりました。
公務に支障出ないように必死に、病気を隠しておりました。
どんどんと食事はできなくなり、痩せていくので、体を隠すようなドレスに全て変えて、全身にタオルを巻き、口の中に、ガーゼを含んでいました。
多分誰1人気がつかなかったと思います。」
「、、、、」
「この部屋は?」
「カオリーナ様は、自分のものを残すことを嫌い、先日、全てのものを寄付したりして、処分しました。多分最期を感じていたのでしょう。」
「そんな、、、」
「カオリーナ様は最後まで、アルフィール様の幸せを望んでおりました。あの方と幸せになってくださいとの事でした。」
「本当にそう言ったのか?」
「はい。口ではそうおっしゃっておりました。」
「過ごしてる時に何か言わなかったか?」
「、、、、、」
「なんでもいいから、、」
「、、、、、」
「私が見たことと聞いたことですよ。カオリーナ様の意志ではありませんよ。それで良いなら、、」
「カオリーナ様は、公務以外部屋から出ることは無くなりました。
少しでも庭に出たほうがよいと言ったのですが、頑なに、部屋から出ませんでした。
そして、レースのカーテンを開けることをしませんし、窓に近づきませんでした。
余命は、一年だったので、半年でこんな状態になったことは、生きるのを辞めたのかもしれません。
先日、アルフィール様とすれ違った時、もう、気がついてくれないのね。と小さな声でつぶやいていました。」
アルフィールは、窓から、外の様子を見ると、いつも私たちが外で過ごす場所が見えた。
「最後に本当のカオリーナを見せてくれ、、」
「それはダメです。カオリーナ様が必死に守ってきたものです。いくらアルフィールの頼みでもそれは無理です。最後の王妃の望みです。」
アルフィールは、手を握ると今までとは考えられないほど細かった。
もう肉がなくなっていた。
頬もこけて、、
化粧で全て誤魔化していた。
「もう、この部屋から出てください。最期の時は私だけだと、カオリーナ様からの命です。」
「わかった。」
それから2日後に、一度、目を覚まし、「ありがとう。」と一言話して、カオリーナ様は、息を引き取った。
アルフィールは、カオリーナが亡くなったと侍女から報告された。
「カオリーナ様が、お墓は、必要ないとのことでした。全てのものをこの世から消し去りたいそうです。」
「カオリーナはどうするんだ?」
「海へ、、、」
「本当に残さないんだな。」
「はい。全てを無くして、鳥に生まれ変わりたいそうです。」
アルフィールは後悔した。
全てのものをなくすとは思わなかった。
カオリーナのものがない。全く。匂いもわからない。
私は、カオリーナがもうどこにも行かない事を安心して、心変わりをしたのだな。
いや。浮ついたんだ。
カオリーナも愛していた。カオリーナにも、この半年、会いたかった。
カオリーナに会いたくても、会えなかった。本当に別棟から出てくることがなかった。
私を避けていたんだな。
カオリーナは、私を憎んでいたんだろう。
迎えにいくべきではなかったんだろうな。 迎えに行かなければ、愛する人に看取られて、
妃はカオリーナであり、アルフィールは、誰とも結婚しなかった。
愛人とも別れ、一人で過ごした。
そして、カオリーナと入るつもりだった墓に一人で入ることになった。
毎日カオリーナといることが、普通になってきた。
カオリーナが逃げることがないと安心していたアルフィールは、
ある子爵令嬢と出会い、久しぶりに
新鮮な気持ちになっていた。
アルフィール様から伝えられた。
「カオリーナ。すまない。君以外の人を心がいってしまった。」
少し誤魔化した言い方にした。俺はずるいな。
「そうですか。わかりました。私はどのようにさせて頂いたらよろしいでしょうか?」
「どのようにとは?」
「その方は、妃としてあなたの横に立ちたいのでしょうか?
それとも私が妃でいてよろしいのでしょうか?」
「君が妃であることは変わらない。」
「わかりました。では、私は、なるべく顔を合わさないようにさせて頂きますね。」
「それは、まってくれ。君は今まで通り。」
「その方が、嫌な気持ちになってもいけませんから。
私は、別棟の方で、暮らし、公務をさせて頂きたいと思います。
しっかりと公務をさせていただきますので、安心をしてください。」
カオリーナは、完璧な笑顔で去っていた。
完璧な笑顔で、これ以上言えなかった。
また公務で会えばいいと思っていた。
その後、全ての公務をやり、素晴らしい仕事をしていたが、2人が会うことはなかった。
公務も2人で動くものはなかった。
今まで、カオリーナが私のそばにいて、執務を手伝ってくれた。だからそれがなくなると、カオリーナと会うことがなかった。
私が、食事に誘っても、
「私と食事をしてはいけません。ご機嫌を損ねてはなりませんよ。」
拒否された。
私が言ってしまったから、この対応は、
当然だと思うから、気長に待とうと思う。
姿だけでも見たかったが、その姿だけも見ることができなかった。
公務をすることで、私のそばから離れたわけでなかった。
あの時の約束通りだった。
半年後、久しぶりにカオリーナに会った。
「アルフィール様、ご無沙汰しております。」
いつもと変わらない笑顔だったけど、
ドレスが、昔と比べて、露出が減った。
昔から露出はしていないが、今は、顔の一部しか見えないと言っていい、
頬を髪の毛で隠していると言ってもいい。
全体的にふっくらしたように感じた。
久しぶりに会ったカオリーナにドキドキした。
やっぱりカオリーナが好き。間違いない。
今は職務があるからゆっくりできないから、また今度食事にでも誘おう。今度は強引に、、
安心したアルフィールは、その場をさった。
「もう、気がついてくれないのね。」
と一言、アルフィールには、聞こえない声でつぶやいた。
そして、その数日後、
「カオリーナ様、倒れました」という連絡をもらったアルフィールは、カオリーナに会いにいった。
「なんで?先日見た時は元気そうだったのに。」
部屋に入ると、びっくりするぐらい何もなかった。
ドレスや宝石、家具、王妃の部屋なのに
、何もない
日当たりも良くない。薄暗い部屋。
「カオリーナ?」
医師から、、告げられた。
「今、眠っておられます。目覚めるかは、わかりません。カオリーナ様次第でございます。」
「どうゆうことだ?」
「カオリーナ様は、半年前に、ガンを宣告しました。私から言えることこのことだけです。また急変したらお呼びください。」
医師は部屋を出て行った
侍女に問いかけた。
「全てを教えてくれるか?」
「はい。カオリーナ様は、半年前にガンの宣告を受けました。
それを告げよとした時に、アルフィール様から好きな人がいると伝えられました。
カオリーナ様は、ほっとしたようです。アルフィール様に病気を告げなくて済んだことと、アルフィール様がこの先、好きな人過ごせることを安心しておりました。
公務に支障出ないように必死に、病気を隠しておりました。
どんどんと食事はできなくなり、痩せていくので、体を隠すようなドレスに全て変えて、全身にタオルを巻き、口の中に、ガーゼを含んでいました。
多分誰1人気がつかなかったと思います。」
「、、、、」
「この部屋は?」
「カオリーナ様は、自分のものを残すことを嫌い、先日、全てのものを寄付したりして、処分しました。多分最期を感じていたのでしょう。」
「そんな、、、」
「カオリーナ様は最後まで、アルフィール様の幸せを望んでおりました。あの方と幸せになってくださいとの事でした。」
「本当にそう言ったのか?」
「はい。口ではそうおっしゃっておりました。」
「過ごしてる時に何か言わなかったか?」
「、、、、、」
「なんでもいいから、、」
「、、、、、」
「私が見たことと聞いたことですよ。カオリーナ様の意志ではありませんよ。それで良いなら、、」
「カオリーナ様は、公務以外部屋から出ることは無くなりました。
少しでも庭に出たほうがよいと言ったのですが、頑なに、部屋から出ませんでした。
そして、レースのカーテンを開けることをしませんし、窓に近づきませんでした。
余命は、一年だったので、半年でこんな状態になったことは、生きるのを辞めたのかもしれません。
先日、アルフィール様とすれ違った時、もう、気がついてくれないのね。と小さな声でつぶやいていました。」
アルフィールは、窓から、外の様子を見ると、いつも私たちが外で過ごす場所が見えた。
「最後に本当のカオリーナを見せてくれ、、」
「それはダメです。カオリーナ様が必死に守ってきたものです。いくらアルフィールの頼みでもそれは無理です。最後の王妃の望みです。」
アルフィールは、手を握ると今までとは考えられないほど細かった。
もう肉がなくなっていた。
頬もこけて、、
化粧で全て誤魔化していた。
「もう、この部屋から出てください。最期の時は私だけだと、カオリーナ様からの命です。」
「わかった。」
それから2日後に、一度、目を覚まし、「ありがとう。」と一言話して、カオリーナ様は、息を引き取った。
アルフィールは、カオリーナが亡くなったと侍女から報告された。
「カオリーナ様が、お墓は、必要ないとのことでした。全てのものをこの世から消し去りたいそうです。」
「カオリーナはどうするんだ?」
「海へ、、、」
「本当に残さないんだな。」
「はい。全てを無くして、鳥に生まれ変わりたいそうです。」
アルフィールは後悔した。
全てのものをなくすとは思わなかった。
カオリーナのものがない。全く。匂いもわからない。
私は、カオリーナがもうどこにも行かない事を安心して、心変わりをしたのだな。
いや。浮ついたんだ。
カオリーナも愛していた。カオリーナにも、この半年、会いたかった。
カオリーナに会いたくても、会えなかった。本当に別棟から出てくることがなかった。
私を避けていたんだな。
カオリーナは、私を憎んでいたんだろう。
迎えにいくべきではなかったんだろうな。 迎えに行かなければ、愛する人に看取られて、
妃はカオリーナであり、アルフィールは、誰とも結婚しなかった。
愛人とも別れ、一人で過ごした。
そして、カオリーナと入るつもりだった墓に一人で入ることになった。
124
お気に入りに追加
355
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(5件)
あなたにおすすめの小説
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

純白の牢獄
ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ラストが胸に響く素敵なお話でした。
どんな事も当たり前であって当たり前ではない。今を大事にしないと~
読ませて頂いて有難うございました。
たくさん作品があるなか、読んでいただけることは、本当に嬉しいことです。
ありがとうございます。
コメントありがとうございます。嬉しいです。
人間と鳥、陸と空、鳥が近寄らない限り接することはない。私はあなたを許すつもりはないと。。
読んで頂けること、感謝しております。ありがとうございます。
素敵なお話でした👏👏👏👏
コメント、そして読んで頂き、ありがとうございました😭