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この国では、王子と結婚するのに、乙女である必要はない。
本人の自由であるから、結婚してからと考えている王子もいるし、そうでない王子もいる。それは本人次第ということだ。

第二王子であるアルフィールと公爵令嬢のカオリーナは、婚約して8年が経っていた。
「リーナ」「アル」と呼び合って、幼い頃から仲良しであった。

2人は、結婚する前に関係を持った。
アルフィールが、カオリーナを強く抱きたいと思ったので、カオリーナに求めたら、カオリーナもアルフィールのことが好きだから、許した。

毎週火曜にアルフィールは、カオリーナの寝床に入り、関係を持っていた。

幸せな時間を2人は過ごしていたと思っていた。

でもそれは、私を捨てるために結婚前に抱いたのだった。

「カオリーナ様を捨てる前にあの体を味わったのよ。
正妃となるものは純潔のがいいとアルフィール様は、おっしゃってたものね。」

メイド達がうわさをしていた。

その話を聞いてしまった。
信じたくなかった。

婚約者になって8年、二人の関係は良かったと思っていたのはわたしだけだった。


私は捨てられるのね。。。覚悟はしないといけないのね。




それから食事が喉を通らなくなったけど、無理矢理食べた。味がしないものを体内に入れる。そんな食事になった。

笑顔を作ることができなくなった。

王子の前だけでも、笑顔にしないと捨てられるのがはやくなるだけ、
体も触りごごちよくしないともう抱かれなくなる。その想いだけで、過ごしてきた。


伯爵令嬢と恋仲になっているとメイド達が話をしているのを聞いた。

その伯爵令嬢は、最近よく王子と話をしている。そして、わたしを見下す目でみてくる。

「わたしは王子に愛されているの、あなたは用済みよ。」ということなのね。

メイドたちは、初めは、わたしに聞こえないように話をしてたのに、最近は、わたしに聞こえるように話をするようになった。だから、うわさではなく、事実なんだと思う。

「今月が最後らしいわ。
もうカオリーナは捨てられるのよ。」

とうとうと、わたしのこと様をつけなくなった。
もう捨てられるのね。
覚悟した。


「もう食事もしなくていいわね。」

アルフィール様の話を聞いてから、食事の味がしなくなったから、体内に入れるのも苦痛だった。

だから、もう食べる必要もなかった。
今度の火曜日まで持てばいい。

最後の火曜日がきた。
いつもと変わらない王子。

残酷な人ね。
最後の最後まであの時と変わらない笑顔。
私だけその笑顔をむけてくれていると思っていたのに、、、もう違う人に向けてるのね。

最後にこの人の温もりを感じたい。

「今日は大丈夫な日ですから、そのまま。」

「そうなのか?いいのか?」

「はい。」


そのまま抱かれた。私は愛されているかのような錯覚を感じる。体の奥にアルの熱いものを感じる。今までよりも熱くて、わたしの冷えきった心を温めるように、何度も奥を突いてくれた。

私もこの一瞬だけでも、王子が癒されるように、もう最後だから恥ずかしいと言わずに出来ること、望むことを全てした。

王子は優しく、いつもより激しく抱いてくれた。

「アルっ。いいからそのまま奥に出してください。」

一瞬驚いた顔をしたけど、アルも抑えられなかったようで、奥に出してくれた。
それからも治らず、そのまま何度も抱き合った。

「気持ちよかった。ありがとう。」
いつも言わない言葉を発した。

ありがとう、、
本当にもう、最後なのね。

「体は大丈夫?少し無理をさせたけど、、」本当に心配そうな顔。。最後まで、わたしのことを心配してくれる。でもあなたの心には、もうわたしはいない。

「大丈夫です。」

少しでも、この余韻を壊されたくなく、王子から別れの言葉は聞きたくなかったので、小瓶出した。


「それは?」

「念の為の避妊薬ですよ。
あなたに迷惑をかけませんから」

「何を言ってる。」

「ありがとう。アルっ。」と一言言って
飲もうとしたら、取り上げられた。


「瓶の避妊薬はないはずだ。」

「返して、、お願い。」

「これは何?」

「避妊薬です。」

「嘘だ。避妊薬なんて、飲まなくていい。」

「だめです。お願い、、、
あなたに捨てられるなら、、、
永遠に眠りたい。
お願い、、今の幸せな気持ちで眠らせて、、、」


「何を言ってる」

「私は今日捨てられるのでしょう。
あなたのそばにもいられないなら
あなたに私が必要ないなら、、
死なせて、、、お願い、、、」

涙を流して、

「ごめんなさい。そうよね。ここで飲むと後が大変だわ。ここから離れたところで飲むから、あなたに迷惑をかけない、、、」

王子はビンを投げつけた。。


「王子、、、」

服を着て、部屋を出ようとした

「どこへ行く」

「ここから離れます。お願いもうここにはいられない。はなして、、、」

今までみたことない状態に、
何でこうなった?俺のことを嫌いになった、死ななくてもいい。
どうゆうことなんだ。

「なんで?俺のこと嫌いになった?」

「嫌いなのは、あなたでしょ?
私は、抱かれるだけ。
もうあきたから、要らない。
捨てるならほっといて、
私がどうなってもあなたには関係ない、
お願い離して、、、、死なせて、、」

泣き叫び始めた。




王子は落ち着かせるために
気絶させた。


そして、大事に抱え込み自分の部屋に連れていった。



「どうゆうことだ?
なんでそんな勘違いしてる?
それにあの部屋に割った瓶の中身を調べてくれ、、」

「調べてみます。」



目が覚めるカオリーナは

「ごめんなさい。ごめんなさい。」と謝り続けた。

「死なせて、、お願い、、、」
窓のほうに行こうとした。


「何やってる!」

「お願い死なせて、、、あなたなしでは生きていけないの、、
あなたに捨てられるなら、、」


「何を言ってるお前は、俺の正妃だ。捨てるわけない。愛しているんだから、」


「ありがとう。でもいいの。
その言葉だけで、、死なせて、、、お願い。」

カオリーナに、なんで俺の言葉届かないんだ?お前を抱いてただろ?

「俺は、カオリーナが好きだから、抱いていたんだ。」

「アルフィール様は、お優しいから、私を性欲処理として、、、
もう必要ないと、伯爵令嬢と幸せになるのでしょう?」

伯爵令嬢?だれだ?
今の状態では、何を言っても通じない。

医師に来てもらい、睡眠薬を飲ませた。

しばらく眠ってもらう方がいいですよ。

今の精神状態では、すぐにでも死のうとします。と言われたので、しばらく睡眠薬を飲ませて眠ってもらうことにしてもらう。



しばらくして、調べた結果がわかった。

メイドたちが、吹き込んだようです。

もうすぐ代わりの正妃が来ると、、

最後のの時間がもうすぐ来るって、、、


火曜日が最後とか、、


正妃に聞こえるように、、、

なんだそれ?

伯爵令嬢の侍女だったようです。



自ら王子の横にいないように仕向けたようです。

半年ほど前から、いろんな噂を流していたみたいです。

「わかった。」

カオリーナだけを愛してるのに、、、

カオリーナは目が覚めると、少し落ち着いたけど、
ごめんなさい。と謝り

目から光がなくなった。


言葉だけでなく、薬を飲まされていた。
目を離すと死のうとする。

仕方なく、足枷をつけて、部屋から出れないようにした。


「カオリーナ。ごめん。痛いよね?もう少し我慢して、、、薬が抜けないとダメだから、、、、」

「カオリーナ愛してる。だから、俺から離れないで。」

「お願い。。貴方がいないと生きていけないの。死なせて、、、お願い、、、」

ずっと叫んでいた。
なんでこんなことになったんだ?
カオリーナ。俺の愛するカオリーナ。

カオリーナは、薬の量が多くて、なかなか抜けなかった。

やっと抜けるようになったのは、一年が過ぎていた。
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