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拉致

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カーナは、なかなかなびかない皇太子にイライラして、いつもより魅了の魔法を使ってしまった。
それが失敗だったことを気がつかなかった。
証拠は抑えられた。

そうとは知らず、ユート王太子に
「シリーナは、貴方のことを愛していたのでしょう。
抱けば、燃え上がるはずよ。
大丈夫。リュウジナイト皇太子が無理矢理、公務だけのために、政略結婚をしたのよ。」

「そうだな。シリーナは、俺を愛していたし、優しいから、戻ってるな。リュウジナイトの方は、カーナが落とすんだろ?」

「任せて。もうすぐよ。」

ユート王太子は、アリーナ様に会うようにした。

「アリーナ様お会いしたいです。明日朝10時に中庭で待つ。」

手紙を渡してもらった。
会ったら、そのまま連れて帰るつもりだ。



次の日中庭でまった。

でも、来なかった。仕方なく方法を変え、待ち伏せをした。

「シリーナ。会いたかった。一緒に帰ろう。」

「私はアリーナです。私の帰る場所は、ここですよ。」

「家族もみんなが待っているよ。一緒に帰ったら、大丈夫だから、、」

「??」

「とりあえず、馬車に乗ろう」

「辞めてください。」

「大丈夫。私に任せて、私は、ずっとシリーナだけを愛してきた。魔法で、変になったけど、、、」

「、、、、、」

「ついてきてくれよ、、」

「嫌です」

「リュウジナイトとは、政略結婚だろ?公務をさせるためだけの、、、初夜も迎えていないんだろ?」

「?」

何を言ってるんだろ?政略結婚?どこから?また、魔法にかかってるのではない?

「私は、確かに昔シリーナと名乗っていたわ。婚約者と家族に捨てられたのよ。結婚は、自分の意思よ。」

「そんなことない。俺を愛しているはずだ、、、」

と言って、私の手を掴み、馬車に乗せた。

「やめて下さい。」

「リュウジナイトから助け出してあげる。」

「勘違いです」
と言っていても聞いてくれない。


馬車の中に入ったら、ユート王太子は、

「シリーナ。会いたかった。君を愛しているんだ。僕がカーナを恋してる魔法がかかってしまった。 
偽物の愛だ。あれは事実ではないんだ。君の家族も、君も愛しているよ。
会いたいと願っている。だから、君は戻る方がいいんだ。
僕も君も愛している。元に戻って、今まで通り、一緒に過ごそう。」

「無理です。王太子も家族も私を捨てました。それが事実です。」

「それは魔法で、、、」

「カーナとは、体の関係もあったのでしょ?」

「でも、それも魔法の力だ。」

「違いますよ。欲情しただけですわ。」

「違う。シリーナを抱きたいんだ。その思いが、、、」

「カーナを抱けばいいのよ。」

シリーナは、挑発した。
いや、今まで我慢してた事を言った。

「違うんだ。俺はシリーナを愛している」

抱きつかれて、無理矢理キスをされた。

シリーナは、噛んだ。
「イタっ何をするんだ!」

「魅了の魔法を使われ、誘惑されましたよね?」

「それは、、、」

「貴方にとって、夢の世界だったでしょうけど、私は現実だったのよ。
王太子に捨てられ、家族にも捨てられ、みんな私から離れていった。
急に冷たい目になったわ。
なぜ私だけこんな目にあったのがわからない。カーナに何かした?
私はわからない。」

「、、、、」



「わたしは、貴方のことを好きではありません。」

そのときに、馬車の入り口が開いた。
「リーナ。遅くなってごめん。」と抱きしめられた。

「リュウジナイト!何故?ここに、、、」

「カーナの魅了の魔法が効いていると思った?
私は、魔法が効かないように訓練されてる。魅了の魔法なんてかかってしまったら、大変だからね。
カーナ、禁断の魔法を使ったことで、牢屋に入れてある。」
 
ユートの顔を見ると唇から血が出ていた、、、
アリーナの顔を見ると唇に血がついていた、、、

「ごめん、、、」

「ユートを皇太子妃拉致で捕らえよ!」

「シリーナは、俺のだ。愛している。」
と叫んでいた。

リュウは、リーナの唇をハンカチで拭き、唇が切れていないか確認した。

「ごめん。君の唇を奪われたんだね。。」

「そうだよ。シリーナの唇は俺のものだ。」

「何を言ってる。リーナの唇は俺のものだよ。いや。全ては俺のものだ。」


「政略結婚だろ?初夜も迎えていないのに?」

「誰が言っていたのだ?」

「カーナだ。」

「ユートもまた、魔法にかかってるな。」

「やはりそう思いましたか。」

「私たちは、政略結婚ではない。初夜も迎えている。熱い夜を過ごしたよ。魅力的なリーナの身体。乱れる姿。俺を好きと全身で言ってくれてる。」

「嘘だ。」

「ユート王太子。リュウジナイト皇太子とは、貴方の婚約する前から出会っているのです。
貴方と婚約してリュウジナイトは、私を陰ながら愛してくれていたの。
私が捨てられた話を聞いてすぐに助けてくれたわ。
そして、私も再び恋をしたのよ。
政略結婚ではないの。
公務もしなくていい。
私のそばにいてくれたらいい。
甘えてほしいと言ってくれたのよ。」

「嘘だ。」

「本当だ。」


ユート王太子は、「嘘だ!!俺のシリーナ。愛している。」とずっと叫んでいた。


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