【完結】私ですか?ええ、愛されていません

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第二話

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「おーい、ちょっと待ってくれ」
北の修道院に向かう馬車には碌に護衛がつけられなかった。道の途中で一度、盗賊に襲われて撃退した後だったせいもあり、新しい盗賊たちを蹴散らすことができなかった。馬車の中のスリスタは、恐怖でガタガタと震えていた。修道院はもうすぐで、馬車は王都を出て1か月が過ぎていた。スリスタは、自分は何もできずに死ぬだけなのかと悲しかったが、盗賊に捕まったら、また話は別だ。いったいどんな目にあわされるのか。
「さて、馬車には誰が乗っている?探し人がいるんだ。少し覗かせてほしい」
最初の盗賊とちがって、今度の盗賊たちは、口調が穏やかだ。もしかしたら、盗賊ではないのかもしれない。スリスタは自分から、馬車から顔を見せた。
「ビンゴ!スリスタちゃんじゃないか」

「お兄さん」
スリスタに知り合いはあまりいないが、旅の途中で出会ったお兄さんだった。スリスタ一行が泊まった宿で知り合った。お兄さんが怪我をしていたから、スリスタは手持ちの自作の塗り薬をあげたのだ。
「あの薬、スリスタちゃんが作ったんだろ?すごい効き目だった」
スリスタは、受けた教育の中でも怪我や病気を治す魔法を熱心に学んでいた。自力でも薬草から薬を作ったり、怪我を治す魔法を使えるように努力したりしていた。魔法はなかなか使えるようにならないが、薬を作るのは少しうまくなった。
「この馬車は北の修道院行きなんだろ?俺のラピス商会行きに乗り換えないか?」
護衛たちはあやしい男として、警戒しているが、スリスタはすぐ頷いた。
「お兄さんと行くわ。誰かの役に立って生きたいの」

「まだ名乗ってなかったな。リイマ・バリスだ。いい仕事仲間になろう」
手を差し出される。その手を握って握手すると、リイマはにっと笑った。
「この選択を後悔させない」
護衛を蹴散らしたスリスタいうところのお兄さんは、実はバリス公爵家の次男だった。公爵家に帰る途中だったが、スリスタの傷薬があまりに素晴らしいから、道を変えて、スリスタたちを追いかけたとリイマから聞いたスリスタは、不思議な気持ちになった。

公爵家に着くと、なぜか公爵夫妻と使用人全員が集まっていた。スリスタが怯えるのを見て、リイマは、言った。
「みんなどうしたんだよ?スリスタちゃんが驚いてるだろ」
「驚いてるのはこっちだ。手紙にはみんなが驚く新しい仲間を連れてゆくと書いてあった。普通に考えたら、未来の花嫁だと思うだろう?」
「まさかあなた、小さな娘さんしか好きになれないんじゃ‥」
「何言ってるんだよ。スリスタちゃんは小さいけど、すごい腕をもった薬師なんだよ」
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