【完結】あなたに知られたくなかった

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第七話

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ソンタラー夫妻は、満足に食べられなかった環境に育ったセレナが不憫でならなかった。自分たちが何も指示せず、呑気に旅行していたことを深く反省する。
ミラン殿下は、訳ありなのだと理解したらしく、優しくセレナに答えた。

「もちろん三食おやつ付きだよ。うちの料理長はとてもいい仕事をするしね。」
セレナの瞳が輝いた。
三食もあって、おやつもなんて!なんて豪華なの。このお兄さんはえらい人なのかな?
言葉には出さなかったが、セレナには
「殿下」が何なのかわからなかった。

でも、えらくて優しい人にちがいない。
そばにいたら、きっといいことがある。
いい香がするし。
珍しいことにセレナは獣人ではないのに、いい香がわかった。
そういう人族は魔法が得意な場合が多い。

魔法が使えると、一生食うのに困らない場合がある。
魔法もレベルによるのだ。火をつけたり、洗濯物を一瞬で洗って乾かしたようにきれいにする生活魔法から、魔獣を近寄らせない幕を張ることができる防御に優れた魔法、怪我を一瞬で治す治癒魔法。攻撃に特化した魔法使いもいる。

セレナはどんな魔法使いなのだろうか。
ミラン殿下は、ふむ、と考えた。
「セレナ、イメージして。まずは
光を。強い光がいい。そうして、その光を私の足に当ててごらん。」

セレナはよくわからないなりに、懸命に光をイメージした。
すると、セレナの手のひらから光が出た。恐る恐る殿下の足に当ててみた。
「すごいな。初めてやって、これだ。
私の足の傷は古いものだが、きれいに治った。」

「セレナは治癒魔法が使える。身分もじゅうぶんだし、私との婚約に何の問題もないだろう。」
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