【完結】あなたに知られたくなかった

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第四話

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空いた時間に、セレナは鏡の前に立ってみた。
か細くて、ひょろっとした女の子がこっちを見ている。
目だけ大きく、髪は傷んでいて、不器量な女の子だ。
セレナはため息を吐いた。
「お嬢様みたいなドレスは着ても似合わないな」

セレナの母方の祖父母は、世界一周旅行に出かけていて、娘の死を知らない。
彼らは、やっと情報をつかみ、セレナの境遇も把握した。
そして、ふたりは、セレナの前に現れた。舞踏会の夜に。
「セレナ、こんなにやつれて。私たちが悪かった。のんびり船で世界一周旅行をしている間にセイレンが死んでしまったなんて。」
「今すぐセレナは私たちの邸に。」

セレナは驚いた。自分が侯爵令嬢だと、お嬢様と母はちがうが、姉妹だと聞かされて。
「お祖母様、お父様がご主人様なのですか?お母様は?」
混乱したセレナが尋ねた。
「あのロクデナ‥ごほっごほっ。貴方のお父様は侯爵、貴方のお母様は私たちの娘。ソンタラー公爵の娘。情けないけど、だいぶ前に亡くなっていたのを知らなくて。つまり貴方は私たちの大切な孫なのよ」
セレナは混乱した。
お父様がご主人様。あの冷たい人が。
お母様は亡くなっている。それは悲しい事実だった。
セレナは声を殺して泣き始めた。
お祖母様はセレナを抱きしめた。
「もう悪いことは起きないわ。
私たちと一緒に行きましょう」

セレナは、急に現れた祖父母に、そのまま連れて行かれた。
下女見習いから、お嬢様として。
優しい祖父母と温かい使用人たち。
セレナの周囲は一気に変わった。
祖父母は、さっさと、セレナを
公爵家の養女に迎えた。
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