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「公爵令嬢アルク、お前との結婚など考えられない。婚約破棄をここに宣言する!」
赤い髪に赤い目をした気の強そうな男は
侯爵令息ミリラト。
婚約者の公爵令嬢アルクはまだ現れないのに、ある程度人の集まった卒業パーティーで、婚約破棄を叫んだ。
「私は、宣言する。ここにいる男爵令嬢
マリーナと婚約することを。
そして、アルク、お前は数々の悪行を裁かれるんだ。マリーナにしたいたずらから、殺人未遂まで」
ざわりと、周りの声が囁きに変わる。あのお優しいアルク嬢がねぇ、まさかだよ。嫉妬で女は変わるから。などの囁きが満ちた頃、1人の青年が、卒業パーティー会場に現れた。
ミリラトの前までゆっくりやって来た。
「お前は、アルクの兄。アルクはどこだ?」
「アルクの兄ヒュルスだ。今から言うことを速記で記録出来るものはいるか?」
「すぐに」
「アルクの兄ヒュルスだ。まず、参加者のみなさん、ご卒業おめでとうございます。本来なら我が家でやればいいことをこの場でうるさくしてしまい、申し訳ない」
「なっ、なんだと」
ミリラトは怒り心頭だ。
「それに、ミリラトには再三我が家に来るようお願いしていた。まさかこんなことになっていたとは知らなくて」
「なぜ、私の可愛いマリーナをいじめるような女にわざわざ会わないといけないんだ」
「そうだな。今となってはあの子が何も知らなくてよかったよ」
「最期は君にお礼を言ってた。楽しい夢が見られて。ダンスも踊れたって」
「どういう意味だ?」
「いじめも殺人未遂も妹にはできなかったってことだ。
1週間寝たきりで昨夜息を引き取ったんだ。ありがとうありがとう、さようならって。あの子らしい最期だったよ」
「ミリラト様には落ち着いてから伝えて幸せになってほしいと」
「で、誰が殺人未遂だって?」
さすがにミリラトはそれ以上続けられなかった。
すごすごと帰るしかない。
「ヒュルス様、本当なのですか?」
目に涙を溜めた同級生たちが集まる。
「あぁ、残念だけど本当なんだ。もともと体が弱くて、学園に通うのも止められてたけど、我が家のベッドからの景色しか知らないままは嫌だったみたいでね。
みんなに感謝していたし、私も感謝している」
「ヒュルス様、お墓参りさせていただきたいです」
「そうだね。まだお葬式はこれからなんだ、また連絡するね。みんな」
赤い髪に赤い目をした気の強そうな男は
侯爵令息ミリラト。
婚約者の公爵令嬢アルクはまだ現れないのに、ある程度人の集まった卒業パーティーで、婚約破棄を叫んだ。
「私は、宣言する。ここにいる男爵令嬢
マリーナと婚約することを。
そして、アルク、お前は数々の悪行を裁かれるんだ。マリーナにしたいたずらから、殺人未遂まで」
ざわりと、周りの声が囁きに変わる。あのお優しいアルク嬢がねぇ、まさかだよ。嫉妬で女は変わるから。などの囁きが満ちた頃、1人の青年が、卒業パーティー会場に現れた。
ミリラトの前までゆっくりやって来た。
「お前は、アルクの兄。アルクはどこだ?」
「アルクの兄ヒュルスだ。今から言うことを速記で記録出来るものはいるか?」
「すぐに」
「アルクの兄ヒュルスだ。まず、参加者のみなさん、ご卒業おめでとうございます。本来なら我が家でやればいいことをこの場でうるさくしてしまい、申し訳ない」
「なっ、なんだと」
ミリラトは怒り心頭だ。
「それに、ミリラトには再三我が家に来るようお願いしていた。まさかこんなことになっていたとは知らなくて」
「なぜ、私の可愛いマリーナをいじめるような女にわざわざ会わないといけないんだ」
「そうだな。今となってはあの子が何も知らなくてよかったよ」
「最期は君にお礼を言ってた。楽しい夢が見られて。ダンスも踊れたって」
「どういう意味だ?」
「いじめも殺人未遂も妹にはできなかったってことだ。
1週間寝たきりで昨夜息を引き取ったんだ。ありがとうありがとう、さようならって。あの子らしい最期だったよ」
「ミリラト様には落ち着いてから伝えて幸せになってほしいと」
「で、誰が殺人未遂だって?」
さすがにミリラトはそれ以上続けられなかった。
すごすごと帰るしかない。
「ヒュルス様、本当なのですか?」
目に涙を溜めた同級生たちが集まる。
「あぁ、残念だけど本当なんだ。もともと体が弱くて、学園に通うのも止められてたけど、我が家のベッドからの景色しか知らないままは嫌だったみたいでね。
みんなに感謝していたし、私も感謝している」
「ヒュルス様、お墓参りさせていただきたいです」
「そうだね。まだお葬式はこれからなんだ、また連絡するね。みんな」
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