【完結】いい子にしてたら、絶対幸せになれますか?

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フリージアの語学力は相手の機微までわかる高いレベルだ。政治や経済の専門用語もある程度理解している。
これは外国のお客様に対応しているのとフリージアの努力の結果だ。それをナティに教えていく。8歳のナティには語学は難しいかと思っていたが、あっという間に大陸語をほぼ完璧に身につけた。
この子は耳がいい。発音が美しい。
これはいい、フリージアはナティに語学を教え続けた。
時々、フリージアは咳き込んだ。
そうすると嫌な咳はしばらく続く。
でも、すぐに止まる。授業を再開する。
フリージアもナティも咳のことは気にならなかった。

「次は、古典だけど、マリマリア語をやりましょう。詩を読む時役に立つわ」
ナティは難しい発音をあっさり身につけ、マリマリア語の難しい詩の内容までわかるようになっていく。
しまいに、マリマリア語で詩を作り始めた。これはフリージアの指示ではない。
ナティの作る詩は稚拙だが、発音が美しいのもあり、なかなか捨てたもんでもない。フリージアは楽器も教えてみようかしら、と考え始めた。

「次は、帝国語よ。帝国語と大陸語ができれば、どこへ行っても困らないわ」
ナティは語学と相性がよほどいいらしく、帝国語は3日目には骨格をしっかりとらえていた。
「せっかくだから、実践したいわ。
私のお客様にお願いしてみようかしら」
フリージアの客に8歳の少女に手を出すような男はいない。
1番発音の美しい客に頼んでみると、引き受けてくれた。
ナティと1時間ほど話してもらう。

「びっくりしたよ。あの子。どっちも母国語なみに話せるじゃないか。あんなにきれいに発音できるなんて。普通じゃないよ」
フリージアは覚信を得た。
ナティは語学の力で生きていくのがいい。
「ケホッケホッ」
そのとき、フリージアはいつもの咳が始まったと感じただけだった。
けれど、どんどん体から力が抜けていく。
急に息苦しくなり、常連客に手を伸ばして助けてもらおうとした瞬間、視界がブラックアウトした。

「ナティ、もう泣くのはおよし」
目を真っ赤にしたお母さんに言われたら、余計に泣けるだけだ。
フリージアは一度も目を覚まさず、死んでしまった。
ナティは悲しくて恋しくて泣き続けた。
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