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第五話
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ルイーザは、伯爵家の使用人からの人気も高い。
「ルイーザ姫」
と裏では呼ばれていた。会話もルイーザについてのものが増えていた。
「ルイーザ姫ったら、私がお食事運んだら、急に手を握られて、びっくりしたわ」
「え、うらやましいんだけど。何があったの?」
「手が荒れてるからって、クリームいただいたわ」
「えぇ、いいな。優しい。ルイーザ姫」
「いいでしょう。しかも、ルイーザ姫お手製の薬入りなんだって」
もし、ルイーザ以外の平民がやったら、手を振り払われていてもおかしくない話だ。ミッセ伯爵家でのルイーザは本当に好かれていた。だから、みんなが、トマスとルイーザの結婚を心待ちにしていた。
それが、まさかあんなことになるなんて。
結婚式の日は晴れ渡っていた。
2人の未来は輝かしい、そう誰もが思っていた。ところが、
「ルー?どこにいるの?」
トマスの不安そうな声、使用人たちの必死な呼びかけ、それに応えてくれるルイーザがいない。
もうウェディングドレスを着始めなくては式に間に合わない。
一緒に選んだドレスを着るのを心待ちにしている様子だったルイーザが朝食の後から見当たらない。
「あなたはだれ?」
その頃ルイーザは、誘拐されていた。
「もうすぐ君の夫になるノエルだよ」
トマスに呼ばれたと言われて行った庭には見知らぬ男がいた。ルイーザは嫌な予感がして部屋に戻ろうとしたが、遅かった。数人がかりで、捕まえられて、麻袋に入れられ、屋敷の外に連れ出されてしまった。
麻袋に入れられるなんて初めてのルイーザはこれが誘拐なんだと思った。
声を出したいけど、猿轡をかまされていて、それもできない。
ルイーザは涙をこぼした。
トマスと結婚したら、きっと楽しいと思っていたのに。
ノエルは、丁寧に扱うように指示をして、
「ミッセ伯爵より、侯爵の私の方がルイーザを幸福にできる」
自信満々につぶやいた。
こんな花嫁強奪が許されるわけがない。
騎士たちも捜索を始めた。
けれど、ノエル・スゥーギル侯爵は堂々としていた。
邸に着くとルイーザを麻袋から出して抱き上げた。
「君にふさわしい部屋を用意したからね」
ルイーザは泣きながら、帰りたいと言ったが、侯爵には聞こえていないようだった。
「ルイーザ姫」
と裏では呼ばれていた。会話もルイーザについてのものが増えていた。
「ルイーザ姫ったら、私がお食事運んだら、急に手を握られて、びっくりしたわ」
「え、うらやましいんだけど。何があったの?」
「手が荒れてるからって、クリームいただいたわ」
「えぇ、いいな。優しい。ルイーザ姫」
「いいでしょう。しかも、ルイーザ姫お手製の薬入りなんだって」
もし、ルイーザ以外の平民がやったら、手を振り払われていてもおかしくない話だ。ミッセ伯爵家でのルイーザは本当に好かれていた。だから、みんなが、トマスとルイーザの結婚を心待ちにしていた。
それが、まさかあんなことになるなんて。
結婚式の日は晴れ渡っていた。
2人の未来は輝かしい、そう誰もが思っていた。ところが、
「ルー?どこにいるの?」
トマスの不安そうな声、使用人たちの必死な呼びかけ、それに応えてくれるルイーザがいない。
もうウェディングドレスを着始めなくては式に間に合わない。
一緒に選んだドレスを着るのを心待ちにしている様子だったルイーザが朝食の後から見当たらない。
「あなたはだれ?」
その頃ルイーザは、誘拐されていた。
「もうすぐ君の夫になるノエルだよ」
トマスに呼ばれたと言われて行った庭には見知らぬ男がいた。ルイーザは嫌な予感がして部屋に戻ろうとしたが、遅かった。数人がかりで、捕まえられて、麻袋に入れられ、屋敷の外に連れ出されてしまった。
麻袋に入れられるなんて初めてのルイーザはこれが誘拐なんだと思った。
声を出したいけど、猿轡をかまされていて、それもできない。
ルイーザは涙をこぼした。
トマスと結婚したら、きっと楽しいと思っていたのに。
ノエルは、丁寧に扱うように指示をして、
「ミッセ伯爵より、侯爵の私の方がルイーザを幸福にできる」
自信満々につぶやいた。
こんな花嫁強奪が許されるわけがない。
騎士たちも捜索を始めた。
けれど、ノエル・スゥーギル侯爵は堂々としていた。
邸に着くとルイーザを麻袋から出して抱き上げた。
「君にふさわしい部屋を用意したからね」
ルイーザは泣きながら、帰りたいと言ったが、侯爵には聞こえていないようだった。
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