【完結】冷たい手の熱

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「お誕生日おめでとう、ユキノ。
3歳になったのよ」
母様が優しくユキノを抱き上げながら、言った。
父様は、母様とユキノを見つめながら、微笑む。
「ユキノ、おめでとう。3歳のレディにふさわしいドレスが父様からのプレゼントだ」
父様がそう言うと、ユキノのお世話係のリアが綺麗なドレスを箱から取り出して見せてくれる。
ユキノと父様の目の色、グリーンを基調としたドレスにはふんだんにレースがあしらわれていて、なかなか立派なドレスだった。
「ありがとう、父様」

「じゃあ、私からはこれよ」
母様が小さな箱を差し出した。母様のお膝に座って、ユキノは、箱を開けた。
「わあ」
パールが使われたブローチだった。
毎日読んでもらっている絵本の世界に似た雰囲気だった。母様はきっとそれを考えて選んでくれた。

次に順番に兄たちから、プレゼントがある。アユルは薔薇の花を、バルトは押し花入りのしおりを、ティルトは綺麗な色のハンカチを、コルンは小さな貝殻をくれた。
ユキノはニコニコ笑顔のまま、差し出されたプレゼントを受け取った。

招待客を呼ぶ大きな誕生日パーティーはユキノが5歳になってから、と決めていた。それが慣例でもあるのだが、夫妻はユキノの能力の高さを本人が自覚してコントロールできるようになるまでは、あまり人前に出したくなかったのだ。
何が動き出すかわからないからだ。

ユキノはまるで夢の中にいるようだ、と感じた。
優しい両親と兄たち。あたたかい使用人たち。
ユキノの世界は優しさにあふれていた。

けれど、ユキノは3歳になった。
神様のアラームがユキノの体内で響き出す。
「え?」
ユキノは小さなお家にいて、1人だった。
泣きながら、お水らしきものを飲んでいる。その記憶が、一気にユキノに流れ込んできた。
雪乃の短い人生。神様とのやりとり。
ユキノはフラフラしながら、
つぶやいた。
「ステータス」
すると、何もない空間に文字が浮かんだ。
ユキノ・シルファド
人間 
神に愛されし子ども
幻獣使い
精霊の愛し子
聖女
剣聖

とりあえず、ユキノが読み解けたのはそこまでだった。なんか変なのも混じっているが、神様は大盤振る舞いしてくれたらしい。


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