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第七話
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「おぉ。それなら、カティスとちょうどいい。カティスは19歳になったばかりです」
本当に、王子様が婚約者になるんだ、信じられないとソフィは思った。
小さな村の平民だったソフィが王子様の妃に?
そんなのは無理だとソフィは思った。
「聖女様。カティスとはまた後で対面するとして、まずは神殿にお連れしたいのですが、構わないでしょうか?」
つい最近まで、洋服一枚しかないまま、徒歩で旅して臭くてどうしようもなかった自分が、本当に聖女なの?国王陛下にこんなに丁寧にされるなんて。
ソフィは混乱していた。
しかし、気がついたら、神殿に案内されていた。
神殿には神官たちが集まって待っていた。
「聖女様。お待ち申し上げておりました」
全員がその場に跪いた。
ソフィは真っ青になった。
「みなさん、立ってください。私は聖女じゃない。人殺しです」
「その話はギルド長から聞いております。聖女だから、何でもできるわけではないと、私も神官たちもわかっております」
国王陛下の言葉に、神官たちは跪いたまま、頷いた。
「聖女様。お仕事をされる場所を案内させてください。カロン、失礼のないよう案内しなさい」
「神官長、ありがとうございます」
カロンと呼ばれた神官が立ち上がった。
「聖女様、こちらです」
ソフィは逃げ出したかったけど、自分が何かの役に立つなら、それを一生懸命やってもいい気がした。
マークへの罪滅ぼしになるかもしれない。
カロンについて歩くと、彼はとてもうれしそうにしていた。
「聖女様を案内できるなんて、ラッキーだ」
ポロッと口から出てしまったという顔をして、あわてて
「失礼しました」
と叫んだ。
ソフィはカロンに好印象を抱いた。
「ここです。お祈りの部屋です」
「みんなも一緒に祈るのでしょうか?」
「そうです。この30年、聖女様は現れませんでした。だから、神官たちだけで何とか国を守っていました」
どんどん仕事場を案内してもらい、ソフィは自分が聖女として働いてみようとと思うようになった。ただ、婚約はしなくていい気がしている。
本当に、王子様が婚約者になるんだ、信じられないとソフィは思った。
小さな村の平民だったソフィが王子様の妃に?
そんなのは無理だとソフィは思った。
「聖女様。カティスとはまた後で対面するとして、まずは神殿にお連れしたいのですが、構わないでしょうか?」
つい最近まで、洋服一枚しかないまま、徒歩で旅して臭くてどうしようもなかった自分が、本当に聖女なの?国王陛下にこんなに丁寧にされるなんて。
ソフィは混乱していた。
しかし、気がついたら、神殿に案内されていた。
神殿には神官たちが集まって待っていた。
「聖女様。お待ち申し上げておりました」
全員がその場に跪いた。
ソフィは真っ青になった。
「みなさん、立ってください。私は聖女じゃない。人殺しです」
「その話はギルド長から聞いております。聖女だから、何でもできるわけではないと、私も神官たちもわかっております」
国王陛下の言葉に、神官たちは跪いたまま、頷いた。
「聖女様。お仕事をされる場所を案内させてください。カロン、失礼のないよう案内しなさい」
「神官長、ありがとうございます」
カロンと呼ばれた神官が立ち上がった。
「聖女様、こちらです」
ソフィは逃げ出したかったけど、自分が何かの役に立つなら、それを一生懸命やってもいい気がした。
マークへの罪滅ぼしになるかもしれない。
カロンについて歩くと、彼はとてもうれしそうにしていた。
「聖女様を案内できるなんて、ラッキーだ」
ポロッと口から出てしまったという顔をして、あわてて
「失礼しました」
と叫んだ。
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「ここです。お祈りの部屋です」
「みんなも一緒に祈るのでしょうか?」
「そうです。この30年、聖女様は現れませんでした。だから、神官たちだけで何とか国を守っていました」
どんどん仕事場を案内してもらい、ソフィは自分が聖女として働いてみようとと思うようになった。ただ、婚約はしなくていい気がしている。
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