【完結】聖女と氷の貴公子

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「あぁ、もうあきらめていたのに。奇跡だ!」
今日何度この台詞を聞いたことか。
アリセンティアは困っている人の助けになることは純粋にうれしかった。
ただ、みんな大袈裟すぎないだろうか。
自分は光の力とやらを飛ばして、
治療の手伝いをしているだけだ。

最初、浄化の聖女とカルミンツが考えていたが、実はちがった。
アリセンティアは、万能だった。
できないことはあまりない。
最初にそれがわかった日、アリセンティアは部屋に篭ってずっと泣き続けた。
だったら、どうして母を助けられなかったのだろう。
泣き伏すアリセンティアに神官長が説明する。
「聖女様、聖女様が力を身につけたのはつい最近だと思われます。カルミンツ殿を助けたときに覚醒したのです」
あまり慰めにならなかったが、アリセンティアは泣く日々から立ち直った。
母は間に合わなかったが、他の人たちを助けることができる。

カルミンツはたまに教会へやって来た。
来る時には必ず花を持ってくる。
「どうしていつも花束をくださるのですか?」
「いや、なんとなくだ」
周りはこのふたりの可愛らしいやりとりに吹き出しそうなのを我慢している。

アリセンティアの噂は国内だけではなく、国外にも届いた。
医者に治せなかった病気が治るかもしれないと多くの民が押し寄せた。
だが、アリセンティアが1日に診られる人数には限りがある。光の力も無尽蔵ではない。

「困り事かな?」
カルミンツが、顔を出したとたん、アリセンティアの顔色を見て言った。
相談すると、無理は良くないと言った上で、いろいろアドバイスをされた。
「重症患者から診て、他のものには順番札を渡したらどうだろう。泊まる金がないものには、教会のどこかで待てるようにして」
カルミンツの言うようにやり方を変えるとうまくいった。
アリセンティアは、カルミンツにお礼を言った。

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