【完結】あたしはあたしです

あたしがフェリシア？2

「フェリシア、少しずつ慣らしていって、また、チョコレートケーキまで頑張ろうな」
少し不思議で、首をひねっていたら、ピカピカのおじさんは、言った。
「どうした、フェリシア？」
だから、思い切って言ってみた。
「フェリなんとかって、何？あたしはあたしだよ？」
ピカピカのおじさんは、一瞬かたまって、それから泣き出した。
泣きながら、こう言った。
「フェリシアだよ。間違いない。水色の髪はとても珍しいし、小さい時にあったクビの不思議な花模様のあざもあった。間違いない。私のかわいい娘だ。リーナシスとの唯一の子。愛しいフェリシア。ずっとずっと探していたんだ。もう6歳のはずだ。4年もかかってしまった。よく生きていてくれた。お母さんは最期まで、お前の名前を呼んでいた。会わせてやれなかった。すまない。
お母さんの分も私がフェリシアを守っていくから」
一度にたくさん言われて、すべてはわからなかった。
「あたしがフェリなら、おじさんは？」
「お、おじさんは、フェリのお父さんだよ」
お父さん？なんだろ？誘拐犯の中のえらい人のことかな？
お母さんはいないみたいだ。よくわからないけど、胸が痛い。

「フェリ、まずは、体をゆっくり休めて、ちょっとずつ、強くなろう」
そう言われて出てきたご飯も、取り合わなくていいみたいだ。ピカピカおじさんじゃなくて、お父さんは座っているけど、私の方をニコニコ見ているだけだ。ゆっくりとくたくたに煮てあるあったかいご飯を食べた。パン粥とかいうやつかな？
白い部屋から抱き上げられて連れて来られた部屋は、とてもかわいい部屋だ。
屋根もある。あたしは安心した。誘拐でも最初に食べたおいしいのを食べるまでは生きてられるみたいだし、屋根もついてる。
ふかふかのベッドで、小さなテーブルの上にパン粥があって、お父さんは、ベッドの横の椅子に座ってる。

「体調がよくなったら、簡単なところから、ちょっとずつ練習しよう」
なんだろ？もしかして誘拐じゃないの？
「お父さんは誘拐じゃないの？」
「うん？お父さんは、フェリシアのお父さんで、誘拐犯じゃないよ。フェリシアの味方なんだよ」
なんだろ？混乱してきたよ。でも、食べ終わったら、すごく眠くなってきた。
もう起きてられない。