【完結】可愛いのは誰?

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5.そして隣国へ

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くーちゃんは連れて行けますか?
お兄様たちは無理でしてよ。あら、両親も行く気でしたか?もうこうなったら、家族で移住もいいかもしれませんわ。どうせ、王太子に嫌われているのですもの。
オスニア皇子に相談すると、
「侯爵なら空きがあるから、帝国の侯爵はどうだろう?そして、兄上たちに従姉妹を紹介するのはどうかな?」
オスニア皇子は、結婚を機に臣籍降下して公爵になる予定とのこと。私、今度は公爵夫人に無事なれるでしょうか?私を見る帝国の王族のみなさまの目にはチラッと敵意がありますわ。まぁ、無理もありません。帝国でも5本の指に入るだろう優良物件ですもの、結婚相手としてのオスニア皇子は。その皇子の結婚相手が隣国の公爵令嬢では、不満にもなりますわ。ましてや、王太子に婚約破棄された身の上ですもの。

けれど、一度ご挨拶した皇帝も皇后様も、オスニア皇子の結婚を喜んでくれて、
「やっといい方が見つかったのね。隣国のバカ王太子にはもったいないと思ってたのよ」
皇后様もオスニア様の母らしく、ユーモアのセンスは壊滅的ですわ。オスニア様は外見も性格も母似なのでしょうか。
「よろしくね。アリーちゃん。うちの子、放浪癖があったんだけど、どうやら、貴方を探してたんだわ。もう大丈夫だから、安心して嫁いでほしいわ」
「母様、アリーに余計な話をしないでいただきたい。大丈夫だよ、アリー。隣国に行っただけで、放浪してたわけじゃない」

ところで、オスニア第二皇子は私の何がよかったのでしょう。古い付き合いですから、気が楽なのでしょうか。
「アレドリア、そこは口に出すところじゃなくて、察するところだ」
あら、口にしてました?私、結構厳しいマナーを勉強しましたのに。
「あ、くーちゃんですね?」
「は?」
「くーちゃんを飼いたかったのではないですか?我が家に遊びに来るたび、くーちゃんを撫でまくってましたよね?」
「いや、あれは‥」
なんでしょう。オスニア皇子には珍しく歯切れが悪いですわ。
「くーちゃんはアレドリアが大事にしているよな?」
「もちろんです」
「くーちゃんを撫でるとアリドレアといるみたいに安心なんだよ」
あら、ということは、私目当てだったのですね。
「そうだよ」
あら、また声に出してました?
オスニア皇子が私の両手を取りました。
「ずっと一緒にいてほしい」
もちろん、はい、とお返事申し上げましたわ。
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