【完結】可愛いのは誰?

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1.公爵令嬢のご挨拶

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みなさま、はじめまして。ごきげんよう。私、公爵令嬢アリドレア・サイドと申します。サイド公爵家の長女。両親にお兄様がふたり、みんなに溺愛されて育ちましたの。その結果、すごく我儘で傲慢な令嬢と噂されるようになりましたわ。我が家では宝物として、大事に大事にされていますの。だから、噂なんて気になりませんわ。そうそう、聞いてくださいな。私、今度14歳になるんですの。
「アリーのお誕生日プレゼントだが、ほしいものはあるかい?」
お父様を筆頭に家族みんなが注目してますわ。
こういうときは、ほしいものがちゃんと伝わりつつ、愛情への感謝も伝えることが大事ですわ。
「アリー、お父様にお祝いされるだけでうれしいですわ。でも、選ばせていただけるなら、魔法の羽ペンがほしいです」
魔法の羽ペン、これを使ってお手紙を書くと送りたい相手にすぐ届く魔具ですわ。ただの羽ペンではありませんから、庶民だったら、家族で半年は暮らせる額ですわ。

公爵令嬢に庶民の暮らしがわかるわけないって?そうおっしゃいました?ところが、わかるのです。お兄様たちも私も、姿や名前を変えて1年ほど平民として、偽の家族と本当の家族のように暮らしたことがございます。3人バラバラに、です。そこではいろいろなことを学びました。だから、ちゃんと平民の生活のことも考えて生きてますの。でも、誕生日プレゼントは誕生日プレゼントですわ。
「アリー、他にはないの?」
お母様がおっしゃいます。自分もプレゼントを用意したい、と目で訴えておいでです。お母様は若い頃、妖精姫と呼ばれていた隣国の王女様です。お父様と公務の最中、一目で恋に落ちてしまい、結婚されました。その妖精姫は30代になっても顕在で、悲しそうな顔をさせまいと家族全員が思います。
「虹色のブローチがほしいですわ」
「まぁ、素敵ね」
お母様がうれしそうだと家族全員うれしくなります。

「アリー、もちろん、あと二つ考えてくれたよね?」
お兄様たちがやたらと真剣な顔をしています。
「オルゴールとくーちゃんの洋服がほしいです」
「まかせて」
お兄様たちはニコニコ笑顔で言います。
くーちゃんが気になりますの?くーちゃんは、フェンリルですわ。私が屋敷の裏の森の中で出会って、テイムしたのです。まだ小さいから、テイムできたのです。フェンリルの成獣はさすがに私にはテイムは無理ですわ。寒がりで、お人形用の洋服を着せているのですが、専用のじゃないから、動きづらそうなんですの。
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