【完結】温かい食事

ここ

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第二話

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「お兄ちゃん。起きて。ミルトが変なんだ」
揺り起こされてミルトを見ると熱を出していた。双子のセルトが不安そうにミルトのそばにいた。
ミリュオは家の中の薬箱を開けた。
薬も少ししかない。買い足せないからだ。
最後の薬をミルトに飲ませてから、濡らしたタオルをおでこに置く。
薬が効いてくれるのを祈るしかない。
看病しながら、ミリュオも寝てしまった。
セルトも、ミリュオのそばで寝てしまった。

朝になると、薬が効いたようで、ミルトはだいぶ元気になっていた。しかし、今日は炊き出しに行けなくなってしまった。もう限界なのか。ミリュオは悔しかった。だが、このままでは、弟妹の命も危ない。

あきらめて、教会に向かった。
神父さまは、ミュリオの窮状を知ると4人で教会に来るように言った。
しばらくそこに4人で滞在した。
「お兄ちゃま、ここいいの?」
末の2歳になったばかりのミアンヌは
慣れない場所が不安なようだった。
ミュリオは優しく背中を撫で、手を繋ぎ、大丈夫だよ、と伝えた。

結局、4人一緒は難しいから、とバラバラにされた。ミュリオが恐れていた通りに。
ミリュオは隣町の教会へ、双子はこの教会、1番下のミアンヌは子どもを引き取りたいある夫婦のところへ。
おそらく二度と会えないだろう。特にミアンヌとは。養女になるのだ。

ミュリオは複雑だった。もっと頑張れたのではないかという気持ちといろんな重たいものをおろせる安堵と、バラバラになる悲しみと。
それでも、寒さや飢えに苦しむ生活から少しは安定した生活になることにほっとした。

特にミアンヌは新しい家族と暮らせるから、安心している。幼いミアンヌが自分たちのことを忘れてしまっても、ミアンヌはずっとずっと家族なのだから。
ミュリオの大事な宝物なのだから。

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