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「ねぇ、ねぇ、コルト公爵子息とは師匠と弟子だけなの?」
放課後、仲良くなった女友達に、声をかけられた。
今から魔法の修行に行くつもりのフィランヌは突然の質問に驚いた。
声をかけてきた友達以外にも、いつものメンバーがそろって、フィランヌの返事を待っている。問いつめるというわけではなく、興味深々というところだ。
フィランヌも最近噂になっていたのは知っていた。魔法に夢中で忘れていたけれど。
「師匠は魔法に真摯で私みたいな若輩者にも丁寧に教えてくれるのよ」
フィランヌの答えに、みんなちょっと不満そうだ。
「コルト公爵とフィーならお似合いなのに。ちょっとはときめいたりしないの?」
「魔法が素晴らしくて、ときめきますよ」
「だからー、そうじゃなくて」
フィランヌはちょっと考えてみた。ダルナルトは厳しい師匠だ。でも、最初断っていたとは思えないほど、しっかり教えてくれる。魔法強化安定した今は、フィランヌの1番得意な水魔法で、氷を作り出すことが最終課題となっている。
まだ水魔法の強化が始まったばかりで、フィランヌはこの先が楽しみだった。
「師匠が待ってるから、今日はもう行くね。またカフェに行こうね」
フィランヌはにこっと笑った。
貴族としては失格な表情だが、学園では許される。
バタバタバタと音がしたのを不思議に思いながら、フィランヌは急ぎ足で、ダルナルトの元へ向かった。
「罪深いわ」
フィランヌの女友達はなんとか耐えたが、後ろにいて、笑顔を見てしまった生徒たちは、倒れていた。
意識はあるものの、みんな口に出さずにこう思った。
「フィー様、尊すぎる」
「やっぱり難攻不落のコルト公爵令息様はすごいわね。私なら、速攻惚れてるわ」
「私も」
「鼻血出るかと思ったけど、令嬢としてなんとか耐えたわ」
フィランヌが1番仲良くしている友達ですら、そんなに耐性がないのに、さすがは、ダルナルト・コルト。氷のように冷たく、誰も寄せつけない魔法使い。
外見も身分も女性の注目の的だが、誰にも心を許さない。
「うちのフィーちゃんなら、あるいは」
「うん、なんか期待しちゃう」
こっそり魔法以外でも応援されているフィランヌだった。
放課後、仲良くなった女友達に、声をかけられた。
今から魔法の修行に行くつもりのフィランヌは突然の質問に驚いた。
声をかけてきた友達以外にも、いつものメンバーがそろって、フィランヌの返事を待っている。問いつめるというわけではなく、興味深々というところだ。
フィランヌも最近噂になっていたのは知っていた。魔法に夢中で忘れていたけれど。
「師匠は魔法に真摯で私みたいな若輩者にも丁寧に教えてくれるのよ」
フィランヌの答えに、みんなちょっと不満そうだ。
「コルト公爵とフィーならお似合いなのに。ちょっとはときめいたりしないの?」
「魔法が素晴らしくて、ときめきますよ」
「だからー、そうじゃなくて」
フィランヌはちょっと考えてみた。ダルナルトは厳しい師匠だ。でも、最初断っていたとは思えないほど、しっかり教えてくれる。魔法強化安定した今は、フィランヌの1番得意な水魔法で、氷を作り出すことが最終課題となっている。
まだ水魔法の強化が始まったばかりで、フィランヌはこの先が楽しみだった。
「師匠が待ってるから、今日はもう行くね。またカフェに行こうね」
フィランヌはにこっと笑った。
貴族としては失格な表情だが、学園では許される。
バタバタバタと音がしたのを不思議に思いながら、フィランヌは急ぎ足で、ダルナルトの元へ向かった。
「罪深いわ」
フィランヌの女友達はなんとか耐えたが、後ろにいて、笑顔を見てしまった生徒たちは、倒れていた。
意識はあるものの、みんな口に出さずにこう思った。
「フィー様、尊すぎる」
「やっぱり難攻不落のコルト公爵令息様はすごいわね。私なら、速攻惚れてるわ」
「私も」
「鼻血出るかと思ったけど、令嬢としてなんとか耐えたわ」
フィランヌが1番仲良くしている友達ですら、そんなに耐性がないのに、さすがは、ダルナルト・コルト。氷のように冷たく、誰も寄せつけない魔法使い。
外見も身分も女性の注目の的だが、誰にも心を許さない。
「うちのフィーちゃんなら、あるいは」
「うん、なんか期待しちゃう」
こっそり魔法以外でも応援されているフィランヌだった。
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