【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

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セラフィーヌは王妃になることと引き換えに多くのものを失った。
その最たるものが、フィルト。
もちろん、たいした容貌でもないセラフィーヌを家格だけで結婚相手に考えてくれたかはわからない。
ただ、王妃になったことで可能性はゼロになってしまった。

陛下と普通の夫婦になれていたら、こんな風に思わなかったかもしれない。
あまりに会わないものだから、陛下の顔すら、おぼろげだ。
セラフィーヌは陛下をどんな風にも思ってなかった。最初は怒りがあったかもしれない。2年半、政務をすることで、どんどん理性が勝っていき、正直なところ、陛下など、どうでもいい。

国もどうなってもいい。セラフィーヌは王妃であって、本来は政治より社交を取り仕切るはずだった。まあそれも政治につながるものではあるけれど。
ともかく、セラフィーヌは疲れた。
愛する人を失い、夫には愛されず、ただただ政務を行う毎日。
お気に入りの茶葉で淹れてもらった紅茶を飲むときだけが、ホッとする瞬間だ。

こんなはずではなかった。たとえ、同じように陛下に見向きされなかったとしても、王妃が政務をしているなんてありえない。この国は、ハーレムがあるからわかりやすいと思うのだが、男尊女卑が激しい。だから、大臣のうち半分は、セラフィーヌの意見を聞きはしない。
セラフィーヌが考えた政策は半分しか実施されない。素晴らしい結果を出しても。

セラフィーヌはもう行き詰まっていた。愛する人を失い、陛下には捨てられ、女としての人生がないまま、年を取っていく。だから、王妃などやめて、放浪の旅に出たい。実家にいたら、愛する人が他の人を死ぬほど大事にしているところを見たり聞いたりするだろう。
それは耐えられない。
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