【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

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考えようによっては、今の自分の権限を最大限に使って、国民も貴族も得をするように気をつけたらいい。
そういう政策を打ち出して成功すれば、セラフィーヌがここに来た意味がある。

「王妃様。外務大臣が面会を求めております。いかがなさいますか」
セラフィーヌはもと公爵令嬢で、今は王妃。5歳の頃から決まっていた政略結婚だ。そして、セラフィーヌは今年18歳になった。
「いいわ。お通しして」
外務大臣はいい。仕事もできるし、女性への偏見もなさそうだ。

国王陛下がハーレムで遊び暮らしている間、何がどうしてこうなったのか、王妃であるセラフィーヌがかわりに政務を行っている。
下手に真面目で能力も高かったのがまずかった。
今や、政治も経済も治安も軍事も外交も、トップはセラフィーヌ。

セラフィーヌが国王陛下を亡き者にすれば、完璧な女王誕生。しかも、この国では女王が認められてる。
セラフィーヌの政策で得をした者は彼女を支持し、損をしたものは彼女を恨んでいる。
誰もが納得するなんて不可能だ。

ハーレムに住んで帰って来ない陛下とセラフィーヌは白い結婚だ。結婚式でキスをしたのが最初で最後の接触だった。
陛下は、セラフィーヌが好みではないらしく、
「顔はイマイチなくせに、すぐ説教する」
と嫌っている。
セラフィーヌは、最初は好きでも嫌いでもなかったが、容姿を理由に人を判断する人間にどうして好感が持てようか。

白い結婚は、三年続けば、たとえ王族と言えど、立派な離縁の理由になる。跡継ぎが生まれないのは特に問題だ。セラフィーヌが結婚して2年半が過ぎた。
そろそろ構わないだろう。 
セラフィーヌがいなくても国が傾かないように準備をしてみよう。
王妃がすべての政治をしているのは不自然すぎる。

セラフィーヌは家に帰りたかった。
片想いの幼馴染に遠くからでもいい、一目会いたかった。
陛下との婚約がなければ、彼と結婚できたかもしれなかった。
でも、もう何もかも遅い。
フィルトは結婚して、子どももいる。
奥様とも仲良くして、幸せに暮らしている。
今更会いに行く勇気はない。そっと彼の姿が見たいだけだ。
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