転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

知られざる世界の秘密 1

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⦅おいエリック。こいつヤベェぞ。魔剣である俺様が鞘の中で暴れ震えているぜ。⦆


「奇遇だなグラム。俺も俺の中でのニールさんに対する認識が変わり始めたわ!いやその片鱗はこの旅で十分垣間見れてたけどよ…流石に今の発言は怖ぇよ。」


「そうでしょうか?…私には核は壊せない。されど攻撃が全くもって通じないわけではないという事ならば、それを上手く活用するにはどうすればいいのかという案件に対し結論を出し、提案したまでなのですが。」


 おう…ニールさんのコテンッと首を傾げる姿が見える。そんなお茶目な事するんだね!って見つめる私と、一斉にニールさんから目を逸らすその他大勢。この差はなんだ!?


⦅う、うん、まぁ、そう…だな。いいんじゃないか…。現状それができる限界だろうし。ただ、情報を吐き出させるとしても長くは生かしておけないぞ?あいつは即刻殺すに限るからな。俺様かその駄犬が必ず殺す。俺らは待てが出来ないからな。⦆


「では、グラムさんたちに捕らえたという報告はじっくり痛ぶって情報を吐かせた後にした方が良さそうですね。」


⦅痛ぶってって…いやいや、それよりも!わざと俺様たちに情報を伝えるのを遅らせるつもりか?やめとけ。捕まえたらすぐ俺様たちを呼べ。情報が欲しいなら俺様たちが到着するまでがタイムリミットだ。でないと後悔するぞ?⦆


「グラム、スノウ、それはティアが関係しているからなんだよな?ヤヤを逃した時、スノウは凄く焦っていた。グラムもスノウも…もう少しハッキリ言ってくれないか?お前らはが来たらその時に話すとばかり言う。その時ではないと…だからお前らのいうその時まで待とうと決めていた。だが、やっぱり俺には無理だ!お前らと一緒で待てが出来ない人間でな!気になって気になって仕方ない。そんなに俺らは信用できないか?」

〈エリックのことは信用してる!ニールもバンもアルベルタも…だけど、これは簡単な問題じゃないんだ…〉


 スノウに名前を呼ばれなかったビスは「あれぇ?自分の名前だけない?」とボヤく。単にスノウの呼び忘れであるのだが、それを知らないビスは軽く落ち込む。


〈エリックには言ったよね?ティアのストーカーについて。〉


「言ったって…雑に中身空っぽの説明だからなアレ。知りたいことは一欠片も知れてない。」


「ちょっと待って下さい!ティアさんのストーカーとはどういうことですか!スノウさんとグラムさんがティアさんについて隠していることに関わることですか?古代遺跡の際といい、この件には何か関係があるということですか!?」


 囃し立てるように言い募るニールにスノウは私に助けを求めるが、私は何も聴こえておらずどうしようもない。これ、ただ単に耳をふさがれているだけじゃないんだ。防音の魔法をニールさんがさり気なく重ね掛けしているんだよ。そんなに聞かれたらマズイのかな?だから正直、自分で押さえる必要も、その上からバンさんがさらに押さえる必要はないんだよね。まぁ、聞いてませんよーって振りがあった方が分かりやすくてはいいよね。


⦅あ"ぁ~もう面倒くせぇー!!腹括るぞ駄犬!コイツらは大丈夫だ。むしろネチネチウゼェくらいあのガキの事を想ってやがる。今までと真逆だ。つーか、ヤヤに会って俺らだけじゃ、どうにもならないし、協力者が間違いなく必要だって思い知らされただろ。⦆


 グラムはガシャンガシャンと地面に音を立てて言う。


⦅いいか?ヤヤを相手にしたエリックなら分かるだろうが、本当に敵は厄介で強い。それはあのガキのストーカー……悪いが名前は言えないがそいつが関係しているからだ。その名はそいつしか使われていないから感知される。同じ名なんて存在しない。そうなるように決められているからな。だから間違いなく俺らのような存在が言葉にすれば感知される。奴は自身の名を呼ぶ者を瞬時に特定することだろうよ。そんな奴に執着されるとかこのガキも相当だけどな。⦆


 ゴクリと喉を鳴らしたのは誰であったか。もしかするとこの場にいる殆どの人物かもしれない。
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