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本編
【閑話】???年前のお話
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あれから早いもので数ヶ月が過ぎた。ついに隣国の戦争準備が整ったのだ。
「あーあ。ついにこの時が来ちゃった。せっかくこのダンジョンも家らしくなってきたのに。あと私がすることと言えば…」
リーナはダンジョンハウスを着々と作り上げ、書庫や武器庫なども設備した。まるでリーナだけの小さな街だ。
「ヤッホー!グラム元気にしてる?」
リーナは武器庫に来て1つの剣へと話しかけた。
⦅うるせーな小娘。俺様が元気じゃないことなんてある訳ないだろ!⦆
「だろーね!グラムはうるさいのが取り柄だしね。」
⦅そうそう俺様の取り柄はうるさ……なんだとこの小娘っー!⦆
ギャーギャー叫ぶ剣に笑うリーナ。
「あははっ。久しぶりにこんなに笑ったよ。ありがとうグラム。」
⦅ふん。最近のお前は陰気くさい顔をしていて、見ていてウザかったしな。それで、今日は何しに来たんだ?別れの挨拶でもしに来たか?⦆
「グラムって変な所で鋭いよねー。そう、お別れの挨拶だよ。それとお願いをしにね。」
グラムは一瞬息を詰まらせるがいつもの調子で言った。
⦅ギャハハハ。俺様にお願いだと?バーカ俺様は魔剣様だぞ?それなりに高くつくぜ?⦆
「ふふっ。いいよ。何がいいの?私に出来る事なら叶えてあげる。だからお願いを必ず聞いてね?」
⦅…………本当救われねぇなお前はよ。特別大サービスだ。小娘、お前の望みを言え。俺様と約束を結ぼうじゃねーか。⦆
「約束?」
⦅約束は一度結んだら守るのが礼儀ってもんだ。俺様は約束を違える事はしない主義なんで安心しろよ。⦆
グラムは早くお願いとやらを聞かせろと急かす。
「グラムは私の事を知っているでしょう?」
⦅あぁん?馬鹿にしてるのか?リーナだろーがよ。⦆
「そうだけど違うでしょ?リーナじゃない私も知っているはずよね。あの日記帳に書いてあったもの。」
⦅ーーッ!!小娘、まさか知って、、、⦆
「うん、知っちゃったや。だから分かるんだ。私はこの戦争で必ず死ぬ。死ぬように運命付けられている。」
あっけらかんと答えるリーナ。
「私は死ぬけど本当の意味では死なない。だからね、次に託すことにしたの。その為のお願い。自分勝手な私の為のお願いよ。それでも聞いてくれる?」
⦅俺様が小娘の願いを断らないって分かってて言いやがるな?⦆
「ふふっ。なんだかんだ言ってグラムは私を心配してくれるもの。狡い私を許してね。私のお願いはね、次にこのダンジョンに訪れ、グラムと話すことの出来る資格ある者に私を守ってもらうようにグラムと契約して欲しいの。」
⦅はぁ?⦆
グラムは思っていたお願いと違い驚く。
⦅小娘を守る契約?そんなの無理じゃねーか?お前も分かってるんだろ?周りのやつらはあいつに影響され、お前を害するやつらばっかりだってこと。そんなやつらに守らせるって出来るわけがない。⦆
「そう思うでしょ?でもいつかきっと、私を愛して守ってくれる、そんな存在が現れる気がするの。それと同時にその時が私の最後になるだろうね。本当の意味での私の終わり。だからさグラム、私を守ってよ?」
⦅……本当ずりぃな。それで約束を結ぶにあたって俺様の条件も呑んでもらうぞ。それが対価でいい。⦆
「えぇ。条件はなに?」
リーナはゴクリと唾を飲む。
⦅次にダンジョンを訪れ、俺様を扱う資格ある者は…お前がちゃんと信頼してるやつだ。絶対にお前を裏切らない、必ずお前を守りきると信用できる奴だ。実力もあって心も身体も強い奴だ。お前との絆も確固として築き、お前の傍に寄り添って、笑顔にさせて安心させてやれる存在じゃないと俺様は契約なんてしない!それが条件で、約束するにあたっての決定事項だ!どうだ?⦆
リーナは目を丸くすると、思いっきり噴き出した。
「あはははっ!どんな条件なのかと思ったら、それじゃあ全面的に私の為の条件だよ。グラム、そんな条件で本当にいいの?」
⦅そんな条件なんて言うなよ!それにな、これは小娘の為なんかじゃない。俺様の為の条件だ。こんだけ条件を絞れば限られた人物しか当てはまらないだろう!……そしたらお前のいう最後なんてこないかもしれないじゃねーか。⦆
後半は呟く程度のものだったがリーナにはしっかり届いていた。
「ありがとうグラム。私はあなたと出会えて良かった。大好きよ。暫しの別れね…それまでここで過ごすことになると思うけど我慢してね。それじゃ、約束守ってね!バイバーイ!」
⦅あっ、こらちょっと待てー!⦆
これがグラムとリーナの最後のやりとりとなる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
思いの外、グラムの出番の少なさっ!けど、グラムのリーナへの優しさが見てとれる1話になったかなと(^^)
「あーあ。ついにこの時が来ちゃった。せっかくこのダンジョンも家らしくなってきたのに。あと私がすることと言えば…」
リーナはダンジョンハウスを着々と作り上げ、書庫や武器庫なども設備した。まるでリーナだけの小さな街だ。
「ヤッホー!グラム元気にしてる?」
リーナは武器庫に来て1つの剣へと話しかけた。
⦅うるせーな小娘。俺様が元気じゃないことなんてある訳ないだろ!⦆
「だろーね!グラムはうるさいのが取り柄だしね。」
⦅そうそう俺様の取り柄はうるさ……なんだとこの小娘っー!⦆
ギャーギャー叫ぶ剣に笑うリーナ。
「あははっ。久しぶりにこんなに笑ったよ。ありがとうグラム。」
⦅ふん。最近のお前は陰気くさい顔をしていて、見ていてウザかったしな。それで、今日は何しに来たんだ?別れの挨拶でもしに来たか?⦆
「グラムって変な所で鋭いよねー。そう、お別れの挨拶だよ。それとお願いをしにね。」
グラムは一瞬息を詰まらせるがいつもの調子で言った。
⦅ギャハハハ。俺様にお願いだと?バーカ俺様は魔剣様だぞ?それなりに高くつくぜ?⦆
「ふふっ。いいよ。何がいいの?私に出来る事なら叶えてあげる。だからお願いを必ず聞いてね?」
⦅…………本当救われねぇなお前はよ。特別大サービスだ。小娘、お前の望みを言え。俺様と約束を結ぼうじゃねーか。⦆
「約束?」
⦅約束は一度結んだら守るのが礼儀ってもんだ。俺様は約束を違える事はしない主義なんで安心しろよ。⦆
グラムは早くお願いとやらを聞かせろと急かす。
「グラムは私の事を知っているでしょう?」
⦅あぁん?馬鹿にしてるのか?リーナだろーがよ。⦆
「そうだけど違うでしょ?リーナじゃない私も知っているはずよね。あの日記帳に書いてあったもの。」
⦅ーーッ!!小娘、まさか知って、、、⦆
「うん、知っちゃったや。だから分かるんだ。私はこの戦争で必ず死ぬ。死ぬように運命付けられている。」
あっけらかんと答えるリーナ。
「私は死ぬけど本当の意味では死なない。だからね、次に託すことにしたの。その為のお願い。自分勝手な私の為のお願いよ。それでも聞いてくれる?」
⦅俺様が小娘の願いを断らないって分かってて言いやがるな?⦆
「ふふっ。なんだかんだ言ってグラムは私を心配してくれるもの。狡い私を許してね。私のお願いはね、次にこのダンジョンに訪れ、グラムと話すことの出来る資格ある者に私を守ってもらうようにグラムと契約して欲しいの。」
⦅はぁ?⦆
グラムは思っていたお願いと違い驚く。
⦅小娘を守る契約?そんなの無理じゃねーか?お前も分かってるんだろ?周りのやつらはあいつに影響され、お前を害するやつらばっかりだってこと。そんなやつらに守らせるって出来るわけがない。⦆
「そう思うでしょ?でもいつかきっと、私を愛して守ってくれる、そんな存在が現れる気がするの。それと同時にその時が私の最後になるだろうね。本当の意味での私の終わり。だからさグラム、私を守ってよ?」
⦅……本当ずりぃな。それで約束を結ぶにあたって俺様の条件も呑んでもらうぞ。それが対価でいい。⦆
「えぇ。条件はなに?」
リーナはゴクリと唾を飲む。
⦅次にダンジョンを訪れ、俺様を扱う資格ある者は…お前がちゃんと信頼してるやつだ。絶対にお前を裏切らない、必ずお前を守りきると信用できる奴だ。実力もあって心も身体も強い奴だ。お前との絆も確固として築き、お前の傍に寄り添って、笑顔にさせて安心させてやれる存在じゃないと俺様は契約なんてしない!それが条件で、約束するにあたっての決定事項だ!どうだ?⦆
リーナは目を丸くすると、思いっきり噴き出した。
「あはははっ!どんな条件なのかと思ったら、それじゃあ全面的に私の為の条件だよ。グラム、そんな条件で本当にいいの?」
⦅そんな条件なんて言うなよ!それにな、これは小娘の為なんかじゃない。俺様の為の条件だ。こんだけ条件を絞れば限られた人物しか当てはまらないだろう!……そしたらお前のいう最後なんてこないかもしれないじゃねーか。⦆
後半は呟く程度のものだったがリーナにはしっかり届いていた。
「ありがとうグラム。私はあなたと出会えて良かった。大好きよ。暫しの別れね…それまでここで過ごすことになると思うけど我慢してね。それじゃ、約束守ってね!バイバーイ!」
⦅あっ、こらちょっと待てー!⦆
これがグラムとリーナの最後のやりとりとなる。
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思いの外、グラムの出番の少なさっ!けど、グラムのリーナへの優しさが見てとれる1話になったかなと(^^)
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