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本編
古代遺跡24
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「「「おぉ~!!」」」
私たちは武器庫の上、6階の書庫へとやってきていた。書庫、所謂プチ図書館だ。本がたーくさん棚に並んでいる。
ちなみに連れてきてくれたゴーレムはすでに去っている。
「すごい数の本だね。」
「なになに…この本!!失われた都市ロスターザのものではないですか!?ロスターザと言えばダンジョン都市とも言われ最後はダンジョン攻略に失敗した冒険者によってモンスターが都市へと流出して滅びたとされる…モンスターの蹂躙によって都市封鎖、1週間も経たずに人も建物も存在しなかったかのような風景へと変わり果てた。その為ロスターザのものはほとんど失われ残ったものはほんの僅か。それが、それが…ここの本棚全てがロスターザのものばかり!!」
ニールさんの興奮がお分かりいただけるだろうか。
「はははっ……ここは考古学者には天国のような場所だ。あぁ、素晴らしい。素晴らしい!歴史を紐解く鍵が目の前に!私は今日という日のために生きてきたのかもしれない。私はここに住みたい。」
がっつりオーディ教授も興奮していた。
「確かにここにある本は凄いものばかりだ。1000年以上前のものもあるぞ。それだけじゃない。失われし魔法、技術、言語など数多くある。保存状態も良く、偽物はないと見ていいだろう。」
バンさんも興味深そうに確かめている。エリック隊長は…あまり本には興味ないみたい。グラムとなりやら話してるみたい。
そんなわけで各自別行動になったわけ。それぞれ気になる本を見て回るの。エリック隊長は本を読むスペースのイスに座ってグラムと話をするらしいけど。
私は1人書庫をぷらぷら見て歩いていた。絵本ないかな?と思ってね。これだけあれば絵本の一冊や二冊あるはずだもん…多分!!
「絵本、絵本、絵本…うーん見つからないな。あとはここの一角だけか。えっーと、絵本かなーっと!やったー!絵本だ。ついに見つけたんだよー。イェーイ!」
手に持つ本は絵本!お行儀悪いかもしれないけど本棚を背にその場に座って読む。
「めでたしめでたし。……って赤ずきんやないかい!!タイトルに騙された!タイトルが"青フード"なんだよ。凄い青フードでそれを探す冒険とかイメージしてたよ。なのに内容は青フード君がおじいちゃんの家に行ってモンスターに食べられちゃて、冒険者に助けられるってオチ。赤ずきんちゃんとそっくりだと思わない!?」
思わず嘆いた。赤ずきんちゃんが青フード君。おばあちゃんがおじいちゃんで、オオカミに食べられるんじゃなくてモンスター。それでもって猟師でなく冒険者に助けられる。なんじゃそりゃ。そっくりどころか同じだよね!!登場人物が少し違うだけで話しの流れは同じだもん。
他には何があるのかな。タイトルを見ていく。
「笑った青オーガ、3体のオーク、幸せの王女、ウルフと7匹の子山羊……」
何故だろう。なんとなく予想がつくのだが。泣いた赤鬼、3匹のこぶた、幸せの王子、オオカミと7匹のこやぎ。…絶対そうだよね!?アースと違ってマース仕様になってるけど間違いないと思うな!!
「うわー。これもそれもあれも…………あれ?絵本じゃないのが混ざってる。分厚いなぁ。タイトルは、『いつかの私』。日記なのかな。」
私が手に取ったのは一冊の日記帳。汚くも綺麗くもないどこにでもありそうなデザイン。でもこの本…日記帳が目に入った瞬間何か懐かしさを感じた。それと同時に底知れぬ恐怖も感じた。読まなきゃいけない使命感のような、しかし読む事を恐れてもいる矛盾した感情が私を支配した。
ごくん。
私は1ページ目を開いた。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
何回目?
何度目?
繰り返される運命からは逃れられた?
いいや逃れられていない。
逃れられない。
いつまで続くの?
終わりはあるの?
いいや結末は決まっている。
決められている。
彼がいる限り救われない。
いいや彼もまた救いを求めている。
このままでは誰も幸せになれない。
私の名前はサシャ。
次のページの私は誰かしら?
この日記帳を手に取る私はどこまで覚えているだろうか。どこまで思い出しただろうか。はたまた何も覚えていないかもしれない。けれどもこの日記帳を手に取るのは必ず私。どんなに時が経とうと変わらない。例え次の私じゃなくても。その次、その次の次、それは私にも分からない。願わくば次がない事を祈るばかり。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
私は日記帳をすばやく閉じる。
ドクドク…
心臓がうるさい。嫌な音だ。自然と呼吸もはやくなる。苦しい。涙で視界がぼやける。
分からない。分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない。
分かりたくない。分かりたくない分かりたくない分かりたくない分かりたくない分かりたくない分かりたくない分かりたくない。
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
助けて。助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助け………私を、彼を、助けて!!!
「ーーっ!!ティア!!」
薄れゆく意識の最中でエリック隊長の声が聞こえた気がした。
私たちは武器庫の上、6階の書庫へとやってきていた。書庫、所謂プチ図書館だ。本がたーくさん棚に並んでいる。
ちなみに連れてきてくれたゴーレムはすでに去っている。
「すごい数の本だね。」
「なになに…この本!!失われた都市ロスターザのものではないですか!?ロスターザと言えばダンジョン都市とも言われ最後はダンジョン攻略に失敗した冒険者によってモンスターが都市へと流出して滅びたとされる…モンスターの蹂躙によって都市封鎖、1週間も経たずに人も建物も存在しなかったかのような風景へと変わり果てた。その為ロスターザのものはほとんど失われ残ったものはほんの僅か。それが、それが…ここの本棚全てがロスターザのものばかり!!」
ニールさんの興奮がお分かりいただけるだろうか。
「はははっ……ここは考古学者には天国のような場所だ。あぁ、素晴らしい。素晴らしい!歴史を紐解く鍵が目の前に!私は今日という日のために生きてきたのかもしれない。私はここに住みたい。」
がっつりオーディ教授も興奮していた。
「確かにここにある本は凄いものばかりだ。1000年以上前のものもあるぞ。それだけじゃない。失われし魔法、技術、言語など数多くある。保存状態も良く、偽物はないと見ていいだろう。」
バンさんも興味深そうに確かめている。エリック隊長は…あまり本には興味ないみたい。グラムとなりやら話してるみたい。
そんなわけで各自別行動になったわけ。それぞれ気になる本を見て回るの。エリック隊長は本を読むスペースのイスに座ってグラムと話をするらしいけど。
私は1人書庫をぷらぷら見て歩いていた。絵本ないかな?と思ってね。これだけあれば絵本の一冊や二冊あるはずだもん…多分!!
「絵本、絵本、絵本…うーん見つからないな。あとはここの一角だけか。えっーと、絵本かなーっと!やったー!絵本だ。ついに見つけたんだよー。イェーイ!」
手に持つ本は絵本!お行儀悪いかもしれないけど本棚を背にその場に座って読む。
「めでたしめでたし。……って赤ずきんやないかい!!タイトルに騙された!タイトルが"青フード"なんだよ。凄い青フードでそれを探す冒険とかイメージしてたよ。なのに内容は青フード君がおじいちゃんの家に行ってモンスターに食べられちゃて、冒険者に助けられるってオチ。赤ずきんちゃんとそっくりだと思わない!?」
思わず嘆いた。赤ずきんちゃんが青フード君。おばあちゃんがおじいちゃんで、オオカミに食べられるんじゃなくてモンスター。それでもって猟師でなく冒険者に助けられる。なんじゃそりゃ。そっくりどころか同じだよね!!登場人物が少し違うだけで話しの流れは同じだもん。
他には何があるのかな。タイトルを見ていく。
「笑った青オーガ、3体のオーク、幸せの王女、ウルフと7匹の子山羊……」
何故だろう。なんとなく予想がつくのだが。泣いた赤鬼、3匹のこぶた、幸せの王子、オオカミと7匹のこやぎ。…絶対そうだよね!?アースと違ってマース仕様になってるけど間違いないと思うな!!
「うわー。これもそれもあれも…………あれ?絵本じゃないのが混ざってる。分厚いなぁ。タイトルは、『いつかの私』。日記なのかな。」
私が手に取ったのは一冊の日記帳。汚くも綺麗くもないどこにでもありそうなデザイン。でもこの本…日記帳が目に入った瞬間何か懐かしさを感じた。それと同時に底知れぬ恐怖も感じた。読まなきゃいけない使命感のような、しかし読む事を恐れてもいる矛盾した感情が私を支配した。
ごくん。
私は1ページ目を開いた。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
何回目?
何度目?
繰り返される運命からは逃れられた?
いいや逃れられていない。
逃れられない。
いつまで続くの?
終わりはあるの?
いいや結末は決まっている。
決められている。
彼がいる限り救われない。
いいや彼もまた救いを求めている。
このままでは誰も幸せになれない。
私の名前はサシャ。
次のページの私は誰かしら?
この日記帳を手に取る私はどこまで覚えているだろうか。どこまで思い出しただろうか。はたまた何も覚えていないかもしれない。けれどもこの日記帳を手に取るのは必ず私。どんなに時が経とうと変わらない。例え次の私じゃなくても。その次、その次の次、それは私にも分からない。願わくば次がない事を祈るばかり。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
私は日記帳をすばやく閉じる。
ドクドク…
心臓がうるさい。嫌な音だ。自然と呼吸もはやくなる。苦しい。涙で視界がぼやける。
分からない。分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない。
分かりたくない。分かりたくない分かりたくない分かりたくない分かりたくない分かりたくない分かりたくない分かりたくない。
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
助けて。助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助け………私を、彼を、助けて!!!
「ーーっ!!ティア!!」
薄れゆく意識の最中でエリック隊長の声が聞こえた気がした。
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