転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

文字の大きさ
上 下
124 / 307
本編

古代遺跡21

しおりを挟む
「ただいまー!!」


 トウッ!とエリック隊長に飛びつくのは私ことティアだよ。1人で温室の中を探索して戻ってきたの。


「ティア!?えっ、ただいま?お、おう!おかえり。」


 ムムッ。さては私が離れてた事に気づいてなかったな!どんだけ宝花に夢中だったんだよー。もしや他の3人も…はい確定!目を逸らしてまーす。オーディ教授は期待してなかったけどニールさんとバンさんまでとは…しょげるよ!!


 ぷんぷんなんだからね!ぷんぷん



「あー温室探検楽しかったか?」


 なにがニカッと笑顔だよぉー!そりゃ楽しかったよ。見たこともない植物ばっかりだったし。


「最高に楽しかったよーだ!!次は武器庫に行こうかなって思ってたんだけどなぁ?」


「なにぃ!?よし行こう!武器庫へいざ行かん!!」


 なんて変わり身の早さなんだ。バンさんも武器庫と聞いて嬉々として耳を動かしてるしまぁいいか。なんかバンさん見てると許したくなっちゃうよねー。クマ耳強し!!


「…ってどうやって行くのかな?ゴーレムいつの間にか居なくなってたし。」


「呼んだら来るんじゃないか?」


「そういうもんなの?なら……武器庫に行きたいからゴーレム案内して!!」


 そう言うと何処からともなく現れたゴーレム。ここに連れて来てくれた1階のゴーレムとは違う種類?


〈マスター…ご案内…します…〉


「1階のゴーレムと違いますね」


〈2階…担当ゴーレム…です〉


 そう言えば各階層ごとにゴーレムも違うとか言ってたな。上に行くほど強くなるとか。つまりこのゴーレムは1階のゴーレムより強いんだな。


「武器庫までお願いします!」


 温室に来た時同様、魔法陣が展開される。

















〈お待たせ…しました…5階武器庫…です〉


 そう言うと消えたゴーレム。そして私たちの目の前には沢山並べられた剣や弓、斧なんかがある。


「「おぉーー!!」」


 元気いっぱいエリック隊長、バンさん!


「やべぇ!テンション上がるなコレは!!」


「エリックに同意だ」


 私とニールさん、オーディ教授はゆっくり武器を見て回る。


「これまた素晴らしいものばかりですね。よほど腕のいい鍛冶屋のものでしょう。…ってこれは!!あの幻の鍛冶師ギャディアの大剣ですか!?これが本物ならば世の鍛治師は泣いてでも見せろとせがむでしょうね。それだけでなくどれほどの者が欲しがることか…はっ!こっちの盾は鍛冶師セムの!?」


「それだけではない!この杖を見るんだ。精霊の力が込めてある。杖の先端には精霊石の結晶が嵌め込んである。…ハハッ。ハハハハ。アハハハハハハー」


 オーディ教授ー!!もう笑い声しか発してない。目の焦点が合ってない。ニールさんも頭抱えて現実を受け止めようと必死だ。


 ふとバンさんが戻ってきて私に話しかけてきた。


「ティア嬢少しいいか?ショーケースに入っているのがあったんだが開かないようになっていて…」


 バンさんはその武器?が気になるわけね。私なら開けられるのではないかと。


「どれ?」


「こっちだ。」


 私たちはバンさんに着いて行く。(ニールさんが正気に戻らないオーディ教授を引っ張って連れて行く)


 バンさんが案内した所には確かにショーケースがある。ただし私の身長では見えないけどね!!バンさんが気を遣って抱っこして見せてくれる。ありがとう、そして私よ、早く成長して身長伸びてくれ。( ;∀;)






「おぉー!カッコいいねー!」


「これはナックルという武器だ。手に装備するんだ。」


 ほうほう。ナックルか。バンさんは騎士と言っても剣よりは拳タイプらしい。それならナックルはバンさんにぴったりだ。


「素材はワイバーンとかでしょうか。それにしては色が……ゲホッ!ゲホゲホ」


「ニールさん!?大丈夫!?」


「すみません。鑑定した結果素材がとんでもないものだったので、、、」


 ニールさんも鑑定スキル持ってたんだ。それより素材は一体なんだったんだ?


【ドラゴンナックル】
リンドブルムから作られたナックル。
攻撃力が高い。
黄魔法との相性が良い。
所有者専用武器(今現在所有者なし)




 リンドブルムとな?強そうな名前だな。


「ニール殿、俺は鑑定スキルを持っていない。何の素材から出来たナックルなんだ?」


「バンさん、これはリンドブルムから出来たドラゴンナックルです。推定Sランクのあのリンドブルムです!!」


「!!!」


 バンさんもまさかそんなに凄い代物とは思わなかったんだろうね。目がまんまる。私もSランクのドラゴンとは思わずびっくり!オーディ教授は…もう目が点だね。


「と、とりあえずこのケースから出せるかやってみよう?」


 私がケースに触れた瞬間…



「ええっ~!!」


 衝撃!ケースに触れたはずなのにあたかもケースが存在してなかったかのように私の手はケース内へ。そしてそのままドラゴンナックルへ手が届いた。


「これ取り出していいんだよね?」


 何故誰も返事をしてくれない!?恐る恐るドラゴンナックルを手にしたままケースから取り出す。意外に重たい。腕がプルプルしてるんでバンさんにパス!瞬時にバンさんの腕から飛び降りる。


「ティア嬢!?」


「もともとバンさんがナックルに興味持ってたし、遠慮なく受け取ってよね!!」


 押し付けたとも言う。


「バンさん!ほら装着してみてよ!」


 急かすように言うと渋々ながら手にナックルを付ける。すると、ナックルが輝いた。


「今のは何だ?…ん?ナックルの違和感がない?」


 もしや!!鑑定っ!


【ドラゴンナックル】
リンドブルムから作られたナックル。
攻撃力が高い。
黄魔法との相性が良い。
バン専用武器


「やっぱり!!」


「何か分かるのかティア嬢?」


「今のでそのドラゴンナックルはバンさん専用武器になったんだよ!!」


「「「はっ!?」」」


 あら?オーディ教授が復活してる。


「ほ、本当です。私も鑑定し直しましたがバンさん専用となってます。」


「これどうしたらいいんだ…」


「もう貰っちゃえ!!バンさん専用なわけだし、使わないのは勿体ないよ!」


 それが一番いいさ。


「いいのだろうか。」


「いいさいいさ!ここにあっても無価値になっちゃうよ。それじゃあ折角バンさんによって価値あるものになったのに可哀想だよ。」


「ティアさんの言う通りです。そのナックルは黄魔法との相性がいいみたいですよ。バンさん黄魔法使えましたよね。中でも雷を使った魔法が得意でしたよね。」


雷拳サンダーフィスト!!とかかっこいいんじゃない!?」


 絶対カッコいいよね!見てみたいな。


「そうだろうか。ならば有り難く使わせてもらうとしよう。」


 めちゃくちゃナックル使ってみたいって雰囲気だね。運悪く実験対象となるまだ見ぬ存在よ、頑張ってくれ。



「そう言えばエリック隊長は?」


「エリックなら、まだ奥にいるはずだ。」


 まだ奥にいるのか。戻ってこないあたり夢中なんだろうな。さぁ迎えに行こうか。















 










 


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】数十分後に婚約破棄&冤罪を食らうっぽいので、野次馬と手を組んでみた

月白ヤトヒコ
ファンタジー
「レシウス伯爵令嬢ディアンヌ! 今ここで、貴様との婚約を破棄するっ!?」  高らかに宣言する声が、辺りに響き渡った。  この婚約破棄は数十分前に知ったこと。  きっと、『衆人環視の前で婚約破棄する俺、かっこいい!』とでも思っているんでしょうね。キモっ! 「婚約破棄、了承致しました。つきましては、理由をお伺いしても?」  だからわたくしは、すぐそこで知り合った野次馬と手を組むことにした。 「ふっ、知れたこと! 貴様は、わたしの愛するこの可憐な」 「よっ、まさかの自分からの不貞の告白!」 「憎いねこの色男!」  ドヤ顔して、なんぞ花畑なことを言い掛けた言葉が、飛んで来た核心的な野次に遮られる。 「婚約者を蔑ろにして育てた不誠実な真実の愛!」 「女泣かせたぁこのことだね!」 「そして、婚約者がいる男に擦り寄るか弱い女!」 「か弱いだぁ? 図太ぇ神経した厚顔女の間違いじゃぁねぇのかい!」  さあ、存分に野次ってもらうから覚悟して頂きますわ。 設定はふわっと。 『腐ったお姉様。伏してお願い奉りやがるから、是非とも助けろくださいっ!?』と、ちょっと繋りあり。『腐ったお姉様~』を読んでなくても大丈夫です。

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

婚約破棄!? ならわかっているよね?

Giovenassi
恋愛
突然の理不尽な婚約破棄などゆるされるわけがないっ!

生贄令嬢は怠惰に生きる~小動物好き竜王陛下に日々愛でられてます~

雪野ゆきの
恋愛
叔父一家に虐げられていた少女リアはついに竜王陛下への生贄として差し出されてしまう。どんな酷い扱いをされるかと思えば、体が小さかったことが幸いして竜王陛下からは小動物のように溺愛される。そして生贄として差し出されたはずが、リアにとっては怠惰で幸福な日々が始まった―――。 感想、誤字脱字報告、エール等ありがとうございます! 【書籍化しました!】 お祝いコメントありがとうございます!

〖完結〗二度目は決してあなたとは結婚しません。

藍川みいな
恋愛
15歳の時に結婚を申し込まれ、サミュエルと結婚したロディア。 ある日、サミュエルが見ず知らずの女とキスをしているところを見てしまう。 愛していた夫の口から、妻など愛してはいないと言われ、ロディアは離婚を決意する。 だが、夫はロディアを愛しているから離婚はしないとロディアに泣きつく。 その光景を見ていた愛人は、ロディアを殺してしまう...。 目を覚ましたロディアは、15歳の時に戻っていた。 毎日0時更新 全12話です。

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

家族から虐げられるよくある令嬢転生だと思ったら

甘糖むい
恋愛
目覚めた時、ヒロインをめぐってエルヴィン王子とソレイユ辺境伯が織りなす三角関係が話題の新作小説『私だけが知っている物語』の世界に、エルシャールとして転生してしまっていた紘子。 読破した世界に転生した―ーそう思っていたのに原作にはなかった4年前から話しは始まってしまい…… ※8/2 内容を改変いたしました。変更内容並びに詳細は近状ボードをご覧ください。

処理中です...