68 / 309
本編
カップケーキ
しおりを挟む
「それで一体何を作るんです?」
「それはね~カップケーキだよー!!」
「カップケーキですか?それなら私が作りますよ?」
カップケーキ。そうこの世界にはあるのだ。しかし私が知っているカップケーキとは近くて遠いんだよね。固いし、味もないに等しい。パサパサなんだよ!?水分持ってかれるし…
「トムさんは私のお手伝い!トムさんもきっと驚くよ?私が作るカップケーキの美味しさに!!」
私が自信ありげな表情をしてトムさんを見ると、トムさんは目をパチクリさせた。
「分かりました。ティアお嬢様が作るカップケーキがどんなものか見せてもらいましょう!!」
「すごい……」
出来上がったカップケーキを味見したトムは呟いた。
「トムさん手伝ってくれてありがとー!」
流石にオーブンは危なくて出来なかったからトムさんに手伝ってもらったよ。ってあれれ?トムさん聞こえてる?
「トムさーん?おーい!!」
「ティアお嬢様!!これがカップケーキですか!?私の知るカップケーキではありませんよ!ふわふわですよ!?」
そんなに揺らさないで~頭が揺れる~
「トムさーん、揺れる揺れる!!頭が~」
「あっ…失礼しました!!」
バツの悪そうにするトム。
「とにかくジュリアンおばあちゃんに食べてもらいたいから持って行こう?」
「そうでしたね。分かりました」
トムさんが少し残念そうな顔をしてるが無視だ。トムさんの目が私の持ってるカップケーキにくぎ付けなのがちょっぴり怖い。
「ジュリアンおばあちゃんお待たせ~」
「出来たのね!さぁさぁ、早く見せて頂戴!何を作ったのかしら?」
「カップケーキだよ!」
そう言ってジュリアンおばあちゃんにカップケーキを乗せたお皿を差し出す。
「まぁ!美味しそうね。こんなに作ったの?全部食べれるかしら…」
私は聞き逃さなかったよ。ジュリアンおばあちゃんがマリーさんに飲み物多めでって頼んでいたのを。ジュリアンおばあちゃんもカップケーキは喉が渇くものってイメージ持ってるみたい。
「奥様、もし余るようなら是非とも私に分けて貰えませんか!?」
トムさんが身を乗り出すようにジュリアンおばあちゃんに頼みでていた。これにはジュリアンおばあちゃんやマリーさん、他の側に控えていた人達も驚いている。
「そんなに食べたいのトム?そ、そうね。ティアちゃん、トムに3つほどあげてもいいかしら?」
「もちろん!もともとトムさんに分けてもいいかジュリアンおばあちゃんに聞こうと思ってたんだ。」
なにせ15個作ったのだ。
「ではありがたく頂戴して行きますね!」
トムさんはそそくさとジュリアンおばあちゃんから分けて貰うと調理場へと戻って行った。唖然とするジュリアンおばあちゃん達。トムさんらしからぬ行動に軽く、いやかなり驚いているようだ。
「ねーねー!ジュリアンおばあちゃん!マリーさん達にも分けてもいい?」
「え?えぇいいわよ。」
ジュリアンはマリー達4人の侍女にカップケーキを2個ずつ渡す。
「それじゃあ食べましょうか。ティアちゃんもいらっしゃい。」
ジュリアンおばあちゃんのお膝に乗せられカップケーキを2つ置いてくれた。
「マリー達も一緒にここで食べていいからね。それじゃあ、いただきます。」
「「「いただきます!!」」」
どうかなどうかな?私はみんなが食べるのをわくわくして見ていた。
みんな一口食べると動きを止めた。シンクロしたよ。そのまま時間だけが過ぎていく。
「ど、どうかな?美味しい?」
「「「「なにコレ……」」」」
「カップケーキだよ?」
これが!?とでも言いそうな表情を全員が浮かべた。
「ティアちゃん…これ私の知るカップケーキじゃないわ。ふわふわよ。パサパサじゃないのよ。美味しい。美味しいわ。」
ジュリアンおばあちゃんはそう言うとまた一口、さらに一口と食べ始めた。それはマリーさん達も同じで無言で食べる食べる。
あっという間に食べ終わった皆んな。私、まだ1つしか食べてないよ?
「ティアちゃん!!もうないのかしら?」
「えぇ!?お試しって事で作ったからここに出した分だけだよ。」
「「「「そんな~」」」」
ジュリアンおばあちゃんやマリーさん達が目に見えてがっかりする。
「はっ!!トムよ!トムに私3つも渡したわ。私でさえ2つしか食べてないのに。なんて事!トムらしくないと思ったけれどトムは知ってたのね。こんなにティアちゃんのカップケーキが美味しいだなんて…」
た、たしかにトムさんが一番カップケーキを多く食べる事になるね。
仕方ないなぁ。そんなにジュリアンおばあちゃんが落ち込むなんて。
「ジュリアンおばあちゃん、私の一個食べていいよ?」
「いいの!?ってダメよダメ。それはティアちゃんのよ。」
「なら半分ずつにしよっ?」
私は半分をジュリアンおばあちゃんに向けて差し出す。
「ありがとうティアちゃん~大好きよ!」
ジュリアンは噛みしめるようにティアから貰った半分のカップケーキを食べる。
「ご馳走さまでした。」
「「「ティアお嬢様ご馳走さまでした」」」
美味しくいただいて貰えたようでなりよりなりより。嬉しくなっちゃうね!!
その夜、トムはマリー達に「1人で3つも食べたなんてズルい」と言われ、責められたのは余談である。
「それはね~カップケーキだよー!!」
「カップケーキですか?それなら私が作りますよ?」
カップケーキ。そうこの世界にはあるのだ。しかし私が知っているカップケーキとは近くて遠いんだよね。固いし、味もないに等しい。パサパサなんだよ!?水分持ってかれるし…
「トムさんは私のお手伝い!トムさんもきっと驚くよ?私が作るカップケーキの美味しさに!!」
私が自信ありげな表情をしてトムさんを見ると、トムさんは目をパチクリさせた。
「分かりました。ティアお嬢様が作るカップケーキがどんなものか見せてもらいましょう!!」
「すごい……」
出来上がったカップケーキを味見したトムは呟いた。
「トムさん手伝ってくれてありがとー!」
流石にオーブンは危なくて出来なかったからトムさんに手伝ってもらったよ。ってあれれ?トムさん聞こえてる?
「トムさーん?おーい!!」
「ティアお嬢様!!これがカップケーキですか!?私の知るカップケーキではありませんよ!ふわふわですよ!?」
そんなに揺らさないで~頭が揺れる~
「トムさーん、揺れる揺れる!!頭が~」
「あっ…失礼しました!!」
バツの悪そうにするトム。
「とにかくジュリアンおばあちゃんに食べてもらいたいから持って行こう?」
「そうでしたね。分かりました」
トムさんが少し残念そうな顔をしてるが無視だ。トムさんの目が私の持ってるカップケーキにくぎ付けなのがちょっぴり怖い。
「ジュリアンおばあちゃんお待たせ~」
「出来たのね!さぁさぁ、早く見せて頂戴!何を作ったのかしら?」
「カップケーキだよ!」
そう言ってジュリアンおばあちゃんにカップケーキを乗せたお皿を差し出す。
「まぁ!美味しそうね。こんなに作ったの?全部食べれるかしら…」
私は聞き逃さなかったよ。ジュリアンおばあちゃんがマリーさんに飲み物多めでって頼んでいたのを。ジュリアンおばあちゃんもカップケーキは喉が渇くものってイメージ持ってるみたい。
「奥様、もし余るようなら是非とも私に分けて貰えませんか!?」
トムさんが身を乗り出すようにジュリアンおばあちゃんに頼みでていた。これにはジュリアンおばあちゃんやマリーさん、他の側に控えていた人達も驚いている。
「そんなに食べたいのトム?そ、そうね。ティアちゃん、トムに3つほどあげてもいいかしら?」
「もちろん!もともとトムさんに分けてもいいかジュリアンおばあちゃんに聞こうと思ってたんだ。」
なにせ15個作ったのだ。
「ではありがたく頂戴して行きますね!」
トムさんはそそくさとジュリアンおばあちゃんから分けて貰うと調理場へと戻って行った。唖然とするジュリアンおばあちゃん達。トムさんらしからぬ行動に軽く、いやかなり驚いているようだ。
「ねーねー!ジュリアンおばあちゃん!マリーさん達にも分けてもいい?」
「え?えぇいいわよ。」
ジュリアンはマリー達4人の侍女にカップケーキを2個ずつ渡す。
「それじゃあ食べましょうか。ティアちゃんもいらっしゃい。」
ジュリアンおばあちゃんのお膝に乗せられカップケーキを2つ置いてくれた。
「マリー達も一緒にここで食べていいからね。それじゃあ、いただきます。」
「「「いただきます!!」」」
どうかなどうかな?私はみんなが食べるのをわくわくして見ていた。
みんな一口食べると動きを止めた。シンクロしたよ。そのまま時間だけが過ぎていく。
「ど、どうかな?美味しい?」
「「「「なにコレ……」」」」
「カップケーキだよ?」
これが!?とでも言いそうな表情を全員が浮かべた。
「ティアちゃん…これ私の知るカップケーキじゃないわ。ふわふわよ。パサパサじゃないのよ。美味しい。美味しいわ。」
ジュリアンおばあちゃんはそう言うとまた一口、さらに一口と食べ始めた。それはマリーさん達も同じで無言で食べる食べる。
あっという間に食べ終わった皆んな。私、まだ1つしか食べてないよ?
「ティアちゃん!!もうないのかしら?」
「えぇ!?お試しって事で作ったからここに出した分だけだよ。」
「「「「そんな~」」」」
ジュリアンおばあちゃんやマリーさん達が目に見えてがっかりする。
「はっ!!トムよ!トムに私3つも渡したわ。私でさえ2つしか食べてないのに。なんて事!トムらしくないと思ったけれどトムは知ってたのね。こんなにティアちゃんのカップケーキが美味しいだなんて…」
た、たしかにトムさんが一番カップケーキを多く食べる事になるね。
仕方ないなぁ。そんなにジュリアンおばあちゃんが落ち込むなんて。
「ジュリアンおばあちゃん、私の一個食べていいよ?」
「いいの!?ってダメよダメ。それはティアちゃんのよ。」
「なら半分ずつにしよっ?」
私は半分をジュリアンおばあちゃんに向けて差し出す。
「ありがとうティアちゃん~大好きよ!」
ジュリアンは噛みしめるようにティアから貰った半分のカップケーキを食べる。
「ご馳走さまでした。」
「「「ティアお嬢様ご馳走さまでした」」」
美味しくいただいて貰えたようでなりよりなりより。嬉しくなっちゃうね!!
その夜、トムはマリー達に「1人で3つも食べたなんてズルい」と言われ、責められたのは余談である。
78
お気に入りに追加
3,916
あなたにおすすめの小説
キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました
Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。
実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。
何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・
何故か神獣に転生していた!
始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。
更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。
人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m
なるべく返信できるように努力します。
わたしを嫌う妹の企みで追放されそうになりました。だけど、保護してくれた公爵様から溺愛されて、すごく幸せです。
バナナマヨネーズ
恋愛
山田華火は、妹と共に異世界に召喚されたが、妹の浅はかな企みの所為で追放されそうになる。
そんな華火を救ったのは、若くしてシグルド公爵となったウェインだった。
ウェインに保護された華火だったが、この世界の言葉を一切理解できないでいた。
言葉が分からない華火と、華火に一目で心を奪われたウェインのじりじりするほどゆっくりと進む関係性に、二人の周囲の人間はやきもきするばかり。
この物語は、理不尽に異世界に召喚された少女とその少女を保護した青年の呆れるくらいゆっくりと進む恋の物語である。
3/4 タイトルを変更しました。
旧タイトル「どうして異世界に召喚されたのかがわかりません。だけど、わたしを保護してくれたイケメンが超過保護っぽいことはわかります。」
3/10 翻訳版を公開しました。本編では異世界語で進んでいた会話を日本語表記にしています。なお、翻訳箇所がない話数には、タイトルに 〃 をつけてますので、本編既読の場合は飛ばしてもらって大丈夫です
※小説家になろう様にも掲載しています。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
聖女召喚に巻き込まれた挙句、ハズレの方と蔑まれていた私が隣国の過保護な王子に溺愛されている件
バナナマヨネーズ
恋愛
聖女召喚に巻き込まれた志乃は、召喚に巻き込まれたハズレの方と言われ、酷い扱いを受けることになる。
そんな中、隣国の第三王子であるジークリンデが志乃を保護することに。
志乃を保護したジークリンデは、地面が泥濘んでいると言っては、志乃を抱き上げ、用意した食事が熱ければ火傷をしないようにと息を吹きかけて冷ましてくれるほど過保護だった。
そんな過保護すぎるジークリンデの行動に志乃は戸惑うばかり。
「私は子供じゃないからそんなことしなくてもいいから!」
「いや、シノはこんなに小さいじゃないか。だから、俺は君を命を懸けて守るから」
「お…重い……」
「ん?ああ、ごめんな。その荷物は俺が持とう」
「これくらい大丈夫だし、重いってそういうことじゃ……。はぁ……」
過保護にされたくない志乃と過保護にしたいジークリンデ。
二人は共に過ごすうちに知ることになる。その人がお互いの運命の人なのだと。
全31話
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる