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1章

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次の日。
念の為ルディと同室だったニルーヴァに、何かされなかったか問うと流石に出会って一日目で何もされないだろうとのことで何もなかったらしい。

俺は初対面でいきなりあんなことやこんなことをされたけどな?まぁ娼婦だと思われてたから仕方ないといえば仕方ないけど…。

せっかく知り合ったので今日はニルーヴァと行動を共にすることにして、ランク上げのためギルドへ向かった。

Fランクの時の比べて討伐依頼の割合が多い。

・コモドモゴドフゴンの討伐
・ゴブリンの討伐
・ウルフの討伐
・痺れ毒キノコの採取

採取スキルとサーチスキルを持つ俺としては採取依頼で稼ぎたかったが、討伐依頼の方が達成時にもらえるポイントが多い。

早くダンジョンに入るためにランクを上げたいので、渋々討伐依頼を受けることにした。

ちなみにニルーヴァはギルドに登録したばかりでFランクだが、自分の一つ上のランクの依頼まで受けられるので一緒にパーティを組んで受けることとなった。

依頼を受注してギルドの外に出ようとしたところ、にやにやと気持ちの悪い笑みを浮かべる筋肉ダルマに道を塞がれた。

「おいおい、何でこんな公共の場に淫乱エルフがいるんだ?襲って下さいって言ってるようなもんじゃねぇか、なぁ?」

筋肉ダルマは笑いながら後ろにいる男の仲間に話しかける。

「お前の目は節穴か?淫乱野郎より上物が隣にいるじゃねぇか。俺そっちがいいわ」

「バーカ、デザートは後で喰うんだよ」

男たちはゲラゲラと下品な笑い声で笑う。
困って辺りを見回すも、誰も彼も遠巻きにこちらの様子を伺うだけで助けに来てくれそうな人はいなかった。

ニルーヴァはエルフというだけで大勢の前で淫乱だなんて酷いことを言われ泣きそうな顔で俯いている。この世界のエルフの扱いが酷すぎることに憤りを感じた。

「ってことで坊主たち、来てもらうぜ?なぁに心配いらねぇよ、ちゃーんと精液たっぷりぶち込んでやるからよ」

「やっ…!」

嫌がるニルーヴァの腕を掴んで無理やり連れて行こうとする男に怒りが頂点に達し、咄嗟にニルーヴァを掴んでいるその腕を掴んだ。

「なんだ?坊主…いや嬢ちゃんが代わりに相手してくれるのか?ん?」

ニヤけた顔を近付けて皮肉を込めて男は言う。
その瞬間、魔力を込めて強風が吹き荒れるのを想像し、それを勢いのままに男にぶつけた。

「ぐあっ!?」

男はまぬけな声を上げて風に吹き飛ばされ後ろにいた仲間の男と激しくぶつかる。

そのまま男たちは勢いよくギルドの壁に叩きつけられた。

耳に入ってくるひそひそ話を無視してニルーヴァを連れて外に出ようとすると、ギルドの職員に止められた。

どうやら俺の行動はギルドの約束事である「ギルド員同士で揉め事を起こさない」を破ったことになるらしい。

それに抗議をしていると、奥の扉から茶色の髪を短髪にした気怠げな男が出てきてニルーヴァと一緒に奥の部屋へ連れて行かれた。

自分が悪いことをしたと言われているような行動に納得できなくて膨れっ面をしていると、ニルーヴァが謝ってきた。

「ごめんね、僕が絡まれたせいで…」

「ニルーヴァは悪くない。絡んできたあいつらが悪いんじゃないか」

そんな会話をしていると、周りから話を聞いてきた気怠げな男が戻ってきて椅子に座った。

「俺はここのギルドマスターのエリクだ。ギルド員を魔法で攻撃したそうだな。何か弁明は?」

「あきらかに絡まれているのに周りが誰も咎めてくれないので正当防衛に出ました。何か問題でも?」

まるで俺が悪いというような言い方にギルドマスターを睨みつけ強い口調で言う。

「そのことは職員から聞いてるけどな。実力行使に出る前にもう少しきちんと周りに助けを求めるべきだっただろう」

「見て下さい、掴まれたニルーヴァの手首は赤く腫れています。これは明らかな暴力です。故に危険な状況だと判断しました」

そう言うとギルドマスターは頭をかき、エルフなぁ…とぼやいた。
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