月の涙

acolorofsugar

文字の大きさ
5 / 7

しおりを挟む
 私のロボットは、いっこうに要領を得ない話ばかりの上、飲み過ぎで、終には立ちながらいびきをかき始めた銀河皇帝とその取り巻きから、やっとのことで逃げ出して、他に、主人の消息を尋ねる事ができそうな人を探してテーブルからテーブルへと歩きます。ところが、みんな話すのに夢中で、会話にはロボットが入り込む余地はありません。
 酔いが醒めると、内気なロボットは、相手の関心も向かないのに無理やり会話に入り込む事などできないのです。あてどなくテーブルとテーブルの間をぐるぐると、回り、誰か話しかけてくれるのを待つばかり。しかし誰もが仲間と話すのに夢中なので、ロボットはしょうがなくテーブルからテーブルへと渡り歩く。
 しかし、いやいやどうも、ここではいくら探しても主人などいないような気もしてきます。ここは酔っ払いばかりで、そういえば酔っ払った時の主人は違う人と言うことを散々思い知っているロボットは、ならばここにいてもしょうがないと思い至り、さっさとこのパーティから出てしまおうと思います。ところが、不思議なことに、どんなに歩いても、ロボットはパーティの外に出る事はできません。
 確かに、あっという間に大きくなって、地平線も越えて広がったパーティでしたが、もうさすがに出口に届くだろうと思って歩き続けても何処までもテーブルと饗宴が続きます。いや時々、パーティの終わりらしき場所近くまではいけるのです。ウェイター達が待ち構え、料理が次から次へと運ばれてくるパーティの端近く、垂れ幕のかかった会場の境界。しかしどんなにそこに近づいていったとしても、いつの間にかまたロボットはパーティの真ん中に戻っています。
 思いっきり走ってその境界を抜けようとしたならば、なんとか極近くまではいけるのだけど、どうしてもそこを突破できずに、やはり気がつくとパーティのど真ん中。目に見えない達の悪い迷路にでも入ってしまったのでしょうか、とロボットは思うのですが、それが目に見えないならば抜ける方法も考える事も出来ず、何度も何度もダッシュを繰り返すうち、
 それを見かねたのか、
「あんたはもしかしてここから外に出たいのかい」と言う声がします。
 話しかけてきたのは古風なSF映画に出てきそうな銀色のプラスチックの服を着た男でした。
 ロボットは頷きます。
「それなら空間をいくら移動してもだめだ。ここはそう言う構造になっている」
「じゃあ……」
「……『どうしたら出れるのでしょうか』かい?」
 ロボットはまた頷きます。
「どうしてだい、こんなパーティに参加できるなんてめったに無い事なのに。ここから出ても別に良いことがあるとも思えないけどね……」
「でも私はやらなければならないことがあって」
「……ここで見つからないものなのかい」
 また頷くロボット。
「なるほどね……それなら手伝わないでもないけれど。どっちにしても俺もここから出るとこなので、一緒に連れていっても良いよ」
「ありがとうござ……」
「……でもその前に一仕事」
 男は、足元のカバンから何やら銃らしきものを取り出すと、それを無造作に構えます。
 銃からは虹色の光線が出て、周りの人たちにあたります。光線にあたった人は、悲鳴をあげる事も無く、ただ目の前から消えて行くのでした。
 何が起きているのかと目を丸くしているロボットを見て、
「ああ心配しなくていいよ、奴ら犯罪者だから」と男。
 楽しそうに杯をあげている善良そうな顔をしたカップルや、その隣で行儀良く座っている子供、横のテーブルの車椅子の老婦人に、空のグラスをトレイに載せて忙しそうにしているウェイター、本当に彼らが犯罪者なんだろうかとロボットは心配になりますが、男は自信満々な表情で、光線の向かうまま次から次へと人々を消し去ります。
 しかし、不思議な事に、目の前で起きている虐殺を見ても、誰も、悲鳴を挙げるどころか騒ぐものさえいないのです。光線が当たり、消える者の横で、何事も起きていないかのように談笑していり他の者達。
 どう見ても、ロボットには、適当に銃を撃っているようにしか見えませんが、
「それ、悪人どもめ、もう少しだ」と自信満々な口調で男。
 男は、そのまま、鼻歌を歌いながらしばらく銃を撃ち続けましたが、終には引き金を引いても光線が出なくなると銃を下げ、
「……よしこれで終わり。待たせたね」とロボットに向かって振り返って言います。
 ロボットが呆然として返事をできないでいると、
「あれ、出発するけど、良い? ここにやっぱり残りたくなった?」と男。
 ロボットは首を振りながら、
「いえ、でもびっくりしてしまったのです」と。
「何がだい?」
「あの……あの人達は」
「あの人達? 犯罪者達の事?」
「……その、あなたの犯罪者達と言うあの人達は本当に悪い事をしていたのでしょうか。あんな風に消え去ってしまわなければならないような」
 男は、ロボットの質問を聞いて笑い出しながら、
「あれ、君は何にも知らないんだね、この宇宙の誕生の事を、もしかして……」と男。
 ロボットは男の言葉にドキリとします。自分がこのパーティに紛れ込んでいた闖入者と言う事がばれて、男に消されてしまうのでは、と心配になりますが、
「……こういうパーティは初めて?」と男。
「……はい」とロボット。
「ありゃま、そりゃ失礼しました。驚かせてしまったようで。説明も無しにいきなり打ちまくったりされたら、びっくりしたでしょう」
 ロボットは頷きます。
「彼らが悪人だから撃たれたとのでなく、打たれた彼らが悪人になるんだよ。分る……それがここに、この生まれた宇宙に秩序を与える。俺がね、極適当に、フィーリングで打ちまくった銃に当たって消えた奴が、この宇宙の誕生に明暗を与える。偶然と、俺のグルーヴの中から悪が生まれるんだ。まだ、善も悪も分かれていないこの始原にそれを与えるのが俺の役目でね、いきなり銃の乱射をするいかれた奴だと思っちゃったかもしれないが、怖がる必要はないんだよ。これが仕事なんで、申し訳なかったが……」
「何か悪い事をしたから撃たれた訳では無かったのですか?」
「彼らが? 違うね、撃たれたから悪いんだ」
「でも、なにも罪も無いのになぜ撃たれなければならないんでしょうか」
「罪? 罪ってなんだね、君の言う」
「悪い事でしょう。他人の迷惑になるような」
「迷惑? ここはまだなんの秩序もない宇宙の始まりなので何が迷惑でなにが迷惑でないとも決まってないのにかい? 悪なんてまだ無い始まりなんだよここは。なので俺が悪を今作り出したと言う事だ」
「あの人たちが悪になると言う事ですが。善良そうな人たちに見えるのに」
「あれ、まだ分らないの。ここにはまだ善良も邪悪も無いんだよ。この後、撃たれた者達がこの宇宙の邪悪を作るんだよ」
「でも、あの罪のなさそうな子供やおばあさんが……」
「その罪がまだここでは決まってないので、俺が決める役割に成ると言うわけ」
「……でも」
「でも? でも、そうだとすると?」
「あなたは何者なんですか」
「俺? 俺はね……」


   タイムパトロール


 時間を色に直すとどんな風に見えるのだろうか、タイムマシーンに乗って超時空間を動く時、外は何も見えないのだけど、そんな事を俺は想像する事が有る。遠ざかって行く過去は赤方に変異し、近づいてくる未来は青く光るだろうか。過去は想い出のようにセピア色で、未来は光沢がついた極彩色なのだろうかと。
 今、超時空から帰った俺は、帰還を告げる警告の赤色に包まれてタイムマシーンを止め、入り口の回廊の青い光を抜け、そのまま本部の中央へ走ってゆく。
 さて、俺が、今、向かうのは未来か過去か。
 俺はどちらへ向かおうとしている?
 とある、宇宙の始まりでの善悪を作る任務から帰還した俺は、今日こそこの組織の謎を明らかにしてやると勢いよく司令のいる部屋に向かっている。俺の帰還をみて、ご苦労様とか声をかけようとしてきた同僚達は、俺の勢いに押されて思わず出しかけた声を飲み込んでしまう。
 階段を駆け上がり、俺は、いままでの任務を走馬灯のように振り返りながら、司令の部屋の前に立つ。そう、俺は、時間を遡って歴史を改変しようとする連中を取り締まる、いわゆるタイムパトロール。駆け出しの頃からベテランの域に達した今現在(ってなんだ)まで、数々の死線を越えて、ナポレオンを勝たせようとした奴から当たりロトくじを買いに行こうとしたものまで、幾多の悪人を取り締まって来た男だ。
 何の因果かこんな商売選んでしまって、今となっては後悔極まりないが、この世界の正当な時間を守らねばと、当時は純粋な若者だった、俺は、激しい選抜競争に勝ち残り、その半数以上が逃げ出す厳しい訓練にも文句も言わず耐えたもんだ。
 そうして始まったこの稼業、まだ最初の単純な任務のうちはそれは迷う事もなく単純な勧善懲悪の営みだった。超空間に位置する本部が歴史を乱す時間波動をキャッチすると、俺らがその時代に送り込まれて悪人を取り締まる。時間を飛び回るのはちょっと変わっているけれど、それを除けばそこらの警察がやることとかわりは無い。命令されて悪い奴取り締まって署に帰って祝杯をあげる。それだけのことだった。
 そこでは因果は決して揺るがなかった。自分の守っている時間線はゆるぎないもので、それは決して変えてはならない物であっった。そう自分は信じて、ヒトラーを暗殺しようとした男も、原爆を乗せたB29を打ち落とそうと飛び立った二十二世紀の戦闘機も全て阻止して消し去ったのだった。
 この過ぎ去った時間線は絶対で揺るがないもの、揺るがしてはいけないもの、そう俺は信じていた。そのために俺は時間を遡り、危険を顧みずに悪と信じる改変者たちを殺していった。
 しかしその内に、幾多の歴史の危機を取り締まる内に、その改変を取り締まる瞬間、俺は不思議な感覚に捕らわれるようになった。今、その瞬間、俺は歴史を救ったのではなく、歴史そのものなのではないかと。俺の知る歴史は、俺が関わって初めて出来上がったものではないのかと。
 その眩暈するような感覚に囚われ始め、身体まで不調になってきたその頃、その日有給を遣って休んでいた俺に突然、司令から俺に呼び出しがかかる。具合が悪いと言っても無理やり呼び出されて行った、司令室では、その時初めてその超次元的正体を明かした司令が、
「君は第二段階に進んだのだ」と言う。
 その、司令の言葉で引き起こされた、稲妻の落ちたかのような衝撃的な悟りの後、俺は第二段階タイムパトロールとして新たな任務に入る。それはなんと歴史の改変だった。
 いや正確には改変ではないのだろう。宇宙の始まりに行き善悪の因果を作ったり、宇宙の終わりで善悪を融合させたりする、任務になった。その任務が宇宙の時間線そのものを作り出していると言っても良いものなのだ。俺がやらなければ単調な世界に終わっただろうういろいろな平行宇宙に陰影を与える仕事。
 地獄の最初の悪人がそこの大王になれたように、最初の時間改変者は罰せられる事は無く、数々の宇宙を俺のフィーリングによる影に染められた。それは凡百のタイムパトロール作業とは違う真のやりがいがあり、俺はその仕事に寝食も忘れて溺れていった。
 ——しかしだそれも今日までの事だ。
 ——帰還のタイムマシンの中で気づいた点と点を結ぶ線。
 俺はそれを確かめるため、こうして指令の前に立ち、銃を構える。
「なんだどうした」とうろたえた様子も無く指令。
「気づいたんだよ。あんたの正体に」
「何をだ」
「お前が歴史改変者のリーダーだ」
「馬鹿な」
「俺も他の第一段階のパトロールの連中も改変者たちの組織も、全部お前の手の内にあったんだ。そしてお前は一見歴史を守ろうとしたり、壊そうとしたりしながら、自分のための歴史を作ろうとしている」
「まあ、落ち着け、なあ……それには理由があって……」
 俺は指令に向かい虹色の光線を発射する。ところが、指令は消えるどころか、その光を吸収して、何事も無かったかのようにほほ笑んでいる。
「おいおい、このくらいでやめとけば、始末書くらいで許してやるぞ」
「いや、やめる気は無いね」
 俺は銃を捨て、指令に掴みかかろうとする。
 するとひどい乗り物酔いのような、眩暈が来て、俺は床に転がる。
「もうそろそろ冗談じゃすまなくなるぞ、君。このまま、この馬鹿げた反抗をやめないと、この時間線どころか全ての時間線から君が消えてなくなる事になるんだが」
「……知るか」
 俺は立ち上がり、もう一度司令に掴みかかろうとする。また眩暈が俺を襲うが、今度はそれに耐え切って俺は指令の襟首を掴み、床に転がして馬乗りになる。
「なんと……」
「なんとどうした」
「お前はさらに段階を昇ったのか」
「なんだと」
「さすが俺の見込んだだけの事はある……第三段階にたどり着いたタイムパトロールはお前が始めてだよ、お前は時を統べる者に……」
 俺の殴る拳で司令は黙り、浮かべていた薄笑いも取れ、
「馬鹿な事はするな、この私が作り出した計画は、このばらばらの時間線に満ちる宇宙を次の段階に進めるものなのだ。私が死んでしまったら、全ては水の泡になるのだぞ」と少々哀願する様な調子に。
 第三段階に入った俺の目には、司令の、超次元的実在の中にいるちっぽけな老人の姿が見えた。その目は恐怖に満ちて、怯えていた。これがあの司令? 俺は怒りよりも情けなさの方が勝り、司令を離し、そのまま机の上に書いてきた辞表を起き、部屋から出ようとした。
「待て」司令が銃を構えながら叫んでいた。「俺をコケにしてこのまま許されると思ったのか」
 引き金が引かれた瞬間、俺はその光線を捻じ曲げて、倍にして司令の元に返す。驚き、目を見開いた司令はその光の中、疲れきった老人の姿になって、メラメラと燃え始めるが、最後の力を振り絞って、
「哀れよのう」と語る。「私がいなくなり、この世の陰影を誰がつける。この無数の乱れた時間線を誰が統べる……ははは、そうだ」
 燃えつきかけ、もう顔だけが残りながら司令は語る。
「そうじゃ、お前じゃ、きっとお前も同じ結論に至るぞ。時間線をお前はいじりたくなるのだ、数多の時間線を統べる、その力があるのはお前だけなのだ。きっとお前はやりだすはずだ」
 ははは、と燃え尽きながら司令は語り、俺はそれが灰になるまでじっと見つめていた。それでもいいさ、と俺は思った。その時には今の俺のような男が現れて俺を倒すだろう。それがこの宇宙の本当の時間の摂理、タイムパトロールの存在なのだと。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

さようなら、たったひとつの

あんど もあ
ファンタジー
メアリは、10年間婚約したディーゴから婚約解消される。 大人しく身を引いたメアリだが、ディーゴは翌日から寝込んでしまい…。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

処理中です...