勘違いから始まる反逆王

わか

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開拓

第48話 王国の情報

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 「じゃあ、私からねー。恐らく、皆んなと似た情報になるかな。クレイモラン領についての噂が広がっている感じ。ただ、城壁に記した文字に関しては、一部の人を除いて知らないみたい。情報規制されてるねー。」

 ミィちゃんの情報に対して、全員が頷く。ミィちゃんの言うとおり、似た情報なんだろう。

 「あ、あの、私もミィさんと同じです。追加の情報となるとしたらですね...クレイモラン領の調査に、アルディア王国の公爵さんが行くそうです。」

 ペトラさんは、エタンセルの仲間以外と会話することはない。重度のコミ障である。どうやって、情報を収集したのか気になる。

 「次は、ボクかぁ。だいたい一緒かな。ペトラの情報をより詳しく言うと、公爵家の長子が調査に行くらしいね。あと、その取り巻きの貴族。男爵、子爵の長子たち。長子だけのメンバーだから、コイツらを始末すれば跡継ぎ争い勃発だね。くふふっ。」

 目をぱちくりしながら、俺の太ももを撫でるアルマさん。殺るなら、自分が殺るというサインだろうね。

 「アタシも、殆ど同じ。冒険者ギルドに寄ってみたら、S級冒険者パーティが居たくらい。S級冒険者パーティに、虎の獣人の男がいた。アレは、きっと、何人か殺めている。」

 冒険者に種族は、関係ないらしい。人間と獣人のハーフを敬遠されるが。それはさておき、S級冒険者ね...要警戒かな。荒くれ者に慣れている、セイラさんならではの情報だ。

 「最後に俺たちか。ルナさんと一緒に商人ギルドに行ったんだけど、クレイモランの話しばっかり。有益の情報としては、アレかな。アルディア王国と隣接しているニーデルニア帝国が戦争の準備をしているらしいよ。この国に対して宣戦布告をするのも間近。商人にとって稼ぎ時だね。」

 さて、ルナさんにまとめてもらおう。俺は、ルナさんに目を合わせ、アイコンタクトをしてみる。

 「そんなに見つめられると照れるわ。」

 「むっ。アタシも見つめて。ナインさん。」
 
 ルナさんの言葉に、すぐ反応したセイラさん。そして、セイラさんは、俺の太ももを撫で続けているアルマさんを見て、みけにシワを寄せる。

 「ボクっ娘淫乱ドS女、その手を離せ。図々しい。」

 「えー、ボクのことかな?色んな装備足さないで欲しいなぁ。それを言うなら、お腹と谷間を見せる服を着るのやめてよね。ボクへの挑発かな?ボクが直々にひん剥いてあげようか?」

 「ちょっと!ストーップ。はい、アルマさん。そろそろ手を退けてね。あと、ルナさん、セイラさんを誘導しないの。はぁ。情報の整理をするよ。」


 ・クレイモラン領の噂は、王都全域に広まっている。

 ・城壁に書いた文字について知っているのは貴族。それも、上流階級のみの可能性が高い。

 ・クレイモラン領について、情報規制がされている可能性が高い。

 ・クレイモラン領の調査に公爵家の長子と各貴族の長子が行う。

 ・S級冒険者、要警戒。

 ・王国と帝国は、戦争になる。


 「情報収集一日目にしては、上出来だよ!ありがとう。そして、改めて、各情報を更に詳しく調査して欲しい。また、追加の情報も。些細な情報でもいい。お願いね、皆んな。」

 「まっかせてよねー!えへへっ。今日は、久しぶりに人間を観察して楽しかったよー。コイツらを地獄に落とせると思ったら、にやけちゃった。」

 笑顔で、サラッと恐ろしいことを言うミィちゃん。工作部隊の隊長としての表情ではない。個人としての発言であり、並々ならぬ想いがある表情。

 「ミィちゃん、復讐の相手の情報が一番だからね?無理して、エタンセルのための情報を集めなくていいよ。」

 「えへへー。ナインさんには、バレちゃうかー。そうだね、きっと、この街にいるかな。私の耳をちぎった人間が...」

 エタンセルとしての復讐だけが、旅の目的ではない。最優先事項は、各々の復讐である。それを今から、話し合う。

 
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