42 / 59
開拓
第43話 タイマンの仲裁
しおりを挟むギルドには、魔物の素材や金貨、情報が多くある。それだけではない。戦闘に長けた冒険者、商人ギルドの用心棒がいるのが定番だ。
「で?そのギルドを破壊して、ちょっと強そうな奴がいたから、勢いでつい、ぶっ殺してしまったと。」
「あぁ、力を抑えているとはいえ、私の剣を受け止めた人間がいたんだ。殺りごたえがあって、つい重りをひとつ外して殺ってしまった。あははははっ!」
反省することなく、笑って誤魔化すセレナ。
「はぁぁ。 まぁ、理性が残っているだけマシか...?セレナ、ここはもういいから、次の作戦の先陣をお願いしたいから休め。」
暴れ足りないのだろう。少し、暴走気味になっている。これは遊びではないんだが...。最近は、キメラの相手をせず、俺の護衛ばかりさせていたから、ストレスが溜まっていたのかもしれない。
「その作戦はいつからなんだー?」
「セレナ、もう少し緊張感をもて!」
そろそろキレる頃だと思ったよ。セレナの胸ぐらを掴み、頭突きを食らわすフレアさん。
ゴオォンッ!っと大きな音がした。おいおいおい、頭割れていないだろうな?
「ふふふふっ、やってくれる...フレアッ!久々に、本気で殺りあおう!」
「良いわよ?瀕死にしてやるわ!」
魔力を練った影響なのか、人間の俺でも可視化出来る魔力を身体から溢れ出している。
ギルドにある資源が塵になってしまう前に、なんとかしなければ。
「なになになにー?何やってるのー?王様に呼ばれて来てみれば、楽しそうなことしてるー!」
張り詰めた空気の中、それを打ち消すかのような呑気な声が響く。さすが、サリーちゃん。空気を読まないだけのことはある。ここは、それに便乗するしかない!
「サリーちゃん、お疲れ様。呼び出してごめんね。技術部隊にとって、お宝がたくさんあるから回収して欲しいんだけど、あの二人が暴れたら、全部消えちゃうんだよ。ヤバいだろ?」
俺の話しを聞いて、口を膨らませるサリーちゃん。
「えー、それは困るよ!冒険者ギルドと商人ギルドにある資源とか、キメラと同等の価値があるのに!本気で、やめてほしい。イレーナはどう思う?」
技術部隊の隊長イレーナさんが、いつの間にか、俺の後ろにおり、サリーちゃんに話しをふられる。
「迷惑...。あの2人は...王様の護衛から外すべき...」
「おっ?さすがイレーナ!署名して、クビにしちゃおー!」
イレーナさんとサリーちゃんの会話が聞こえたのか、溢れ出していた魔力が消え、肩を並べ、俺の方へ歩いてきた。
「あー、なんだ。あれだ。ごめんなさい。」
「すみませんでした...」
セレナとフレアさんは、俺と技術部隊の面々に頭を下げ、謝罪する。護衛から外れるのが、そんなに嫌なのか?っと、疑問に思ったが、余計な詮索はせず、2人を許す。
「イレーナさんとサリーちゃん、ありがとう。2人のケンカが収まったよ。」
俺は、親指を立ててGoodポーズをする。イレーナさんとサリーちゃんは、Goodポーズを返してからギルド資源の回収に向かった。
マジで、助かった。冒険者ギルド、商人ギルドには、どうしても欲しい物がある。それは...身分証を作成する魔道具。それがあれば、偽装し放題になるかもしれない。
「それじゃあ、セレナとフレアさんは、しっかり休んで明日に備えてね。2人が休んでいる間は、別の者に護衛を頼むから安心して。」
「分かった...もう寝る。」
「私も、頭冷やしてきます。」
エタンセルと一旦帰還する2人を見届けた俺は、影に向かって話しかける。
「ルイズさん、いる?」
「はい、ここに...」
「クレイモラン伯爵は、まだ生きていけるかな?」
「はい。先程確認致しました。」
「そう...。今日の夜、伯爵とご息女に挨拶しに行こうと思う。ルイズさん、引き続き、護衛をお願い。」
「了解しました...」
自分の影に話している俺は、傍から見れば、独り言を呟いている奴に見える。ルイズさんがいると思ったから、話しかけた。表の護衛は、セレナとフレアさん。裏の護衛は、ルイズさん。通信装置の破壊工作の任務達成してから、ずっと俺の影に潜み護衛していたのだ。
「ホープ伯爵、そして、クレア。会うのが楽しみだよ。くふふふふ...」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり

日本が危機に?第二次日露戦争
杏
歴史・時代
2023年2月24日ロシアのウクライナ侵攻の開始から一年たった。その日ロシアの極東地域で大きな動きがあった。それはロシア海軍太平洋艦隊が黒海艦隊の援助のために主力を引き連れてウラジオストクを離れた。それと同時に日本とアメリカを牽制する為にロシアは3つの種類の新しい極超音速ミサイルの発射実験を行った。そこで事故が起きた。それはこの事故によって発生した戦争の物語である。ただし3発も間違えた方向に飛ぶのは故意だと思われた。実際には事故だったがそもそも飛ばす場所をセッティングした将校は日本に向けて飛ばすようにセッティングをわざとしていた。これは太平洋艦隊の司令官の命令だ。司令官は黒海艦隊を支援するのが不服でこれを企んだのだ。ただ実際に戦争をするとは考えていなかったし過激な思想を持っていた為普通に海の上を進んでいた。
なろう、カクヨムでも連載しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる