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開拓
第22話 姉妹
しおりを挟む※エリ視点
「ふふふふふふっ...ようやくこの時が来たッス。カーラ?せっかく時間を貰ったのだから、ウチらが建てた建物の調査は済んでいる?」
「もちろんであります。そこら中に爆弾仕掛けたでありますよ、姉上。」
妹のカーラお手製の爆弾は、エタンセル随一の破壊力である。それをそこら中に仕掛けたとなると、この村が一瞬で吹き飛ぶと同義。
「さすがっす。これで殲滅は確実。あとは楽しむだけっすね。確か、奴隷たちの解放も自分たちの仕事っすよね?」
「はい、であります。解放後、暴動を起こさせて欲しいと王様の命令したであります!」
奴隷ねぇ...私たちが住んでいたあの家に行くのは嫌なんすけど。王様の命令なら仕方ないっすね。
自分とカーラは、この村出身。まだ小さかったため、お勤めと言われる、夜の相手はなかった。自分たちの母親は、人間に陵辱され、精神が壊れていた。生まれた自分らを異物だと思って接していたのをよく思い出す。
暴力は当たり前。罵倒も当たり前。母親と1度も思ったことはない。だって、奴隷の詰所でも、男たちに媚びを売って毎日、身体を売っていたら、とてもあの母親から生まれたんだと思いたくないよ。
「まだ、あの女生きていたっすか?」
念の為、カーラに確認する。もし生きていたら、命乞いさせてから、全ての身体の穴に何かぶち込んで苦しませてあげたい。
「王様が確認したであります。性病で死んだでありますね。残念な気持ちになったであります...」
「ふふっ。性病って。ふふふふはははははっ。バカな女っすね!でも、少し同情するっす。あの生き方しか出来なかったんだから。」
自分とカーラは、暗殺部隊のソフィアと合流し、奴隷の首輪を解除する鍵を受け取る。
王様の作戦では、アデス村の村長を殺して支配を解除することになっていたが、情報を集めるてみると、別の解除法が発見された。それを知ったカーラは、王様に進言した。
「王様!奴隷の解放は、村長であるアデス2世の殺害ではなく、鍵による解放を希望するであります!姉上と共に、自分たちの手でアデス2世を殺したいであります!」
王様は、やり方任せると言って了承してくれた。結果が同じなら過程は、何でもいいとも言っていたらしい。
さすが、自分らが尊敬し愛する王様っす。また、抱いて欲しいっす。カーラと一緒に抱いて欲しいっす。
「ソフィア、ありがとうっす。」
「うん。今回は貴女たちが主役なの。頑張ってなの。」
仲間からの応援は、力が湧く。みんな、それぞれの役目をしっかり果たしている。私たちもさっさと奴隷を解放させて、目的のアデス2世を殺す。
奴隷の詰所の前に、ミィたちの部隊がちらほらいる。工作部隊として、カーラお手製爆弾の取り付けを手伝ってくれた。頼もしい仲間。
「やっときたーっ!遅いよー、待ちくたびれたよー。ミィたちを待たせるなんて偉くなったなー!」
「時間通りっす!なんで、ミィがいるんすか?」
ニコニコして、同性の自分から見ても可愛いミィ。でも、わがまま。年が近いから、よくつるむ子。
「それは、親友の復讐を見届けるためだよ?良いでしょ?見てみたいの、貴女の顔。殺して、殺して、殺し尽くして優越に満ちた顔を。」
「相変わらず、悪趣味っすね。別にいいっすけど。邪魔だけはしないで欲しいっす。」
ミィたちから武器の入った袋を受け取り、奴隷の詰所に入る。とても酷い匂い。おえっ。気持ち悪い。
エリたちが詰所に入ってすぐ、鍵を放る。ついでに武器が入った袋も。
「自分らは、とある高貴の御方から頼まれ、あなた方を解放しに参りました。今、放った鍵で奴隷から解放されます。試してみてください。」
恐る恐る一人の奴隷が鍵を掴み、首輪を解除する。解放され、とても嬉しそうに声を上げている。
「それと、高貴の御方から、武器を頂いています。それを持って、今まで苦しめてきた人間を襲え。と、言伝を預かっています。どうするかはあなた方次第。ですが、今がチャンスでもあります。一生のうち、1度あるかないかの機会です。思う存分暴れてくれることを期待しています。それでは。」
役目は終えた。詰所から出て、首を捻り、音を鳴らす。
「あー、堅苦しい言葉遣いは、疲れるっす。」
「姉上、どうして、口調を変えたでありますか?」
不思議そうな顔で見つめる妹の頭を撫でながら、質問の答えを言う。
「自分らの素性がバレたくないからっす。なにかのキッカケで自分らの存在を知られるのは得策ではないっす。カーラも気をつけるっすよ。」
奴隷の詰所から離れ、様子を伺う。思ったより早い決断っすね。武器をもって、走り出す元奴隷。グールに、奴隷の暴動。この混乱をどう対処するか、見物っすね。
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