13 / 59
開拓
第13話 情報
しおりを挟む支援部隊の一員として、走り回る俺の傍には、護衛する虎の獣人セレナさんと、ハーフエルフのフレアさんがいる。この2人は、護衛としての役目にしている理由がある。戦闘能力が最も優れている2人。どちらが強いか分からない。模擬戦では、未だに引き分け。勝敗がつかないほど実力が拮抗している。
ちなみに、虎の獣人セレナさんは、オレンジ色の髪をしており、勝気な性格で大雑把で男勝り。ハーフエルフのフレアさんは、金髪でポニーテールをしており、物静かな人だ。
「個人の最大戦力を俺の護衛にして、本当に大丈夫?」
戻ってきたノーラさんの部隊と斥候のリーダーのルイズさんへの支援を終え、アリエスさんのもとへ戻る。
「最大戦力だからこそ、御身を護るのです。本当は私がやりたい...やりたいですが...、フレア代わりませんか?」
アリエスさんがフレアさんへ近づき交渉を始める。
「いやよ。この場所は譲らないわ。絶対に。」
フレアさんから拒否されたアリエスさんは、セレナさんの方を見て口を開くが、その口に銃を突っ込まれる。
「アタイも嫌だね。それにこれは全員で決めたことだ。殺すぞっ?」
「お、落ち着いて、ねっ?セレナ。」
セレナの腕を掴み、懇願する俺。唯一、呼び捨てにしているセレナ。本人からそうしてくれと言われたから。その方が特別感があって気分が良いみたい。
「あー、ナイン様に言われたら辞めるけどよー、もうちょっと、こう、ぎゅっと抱き締めて欲しいんだが。」
俺はヒロインじゃねぇ!って言いたい。セレナの要求を飲むと、反感を買ってしまいかねない。事実、フレアさんが刀を抜き、セレナの首筋に当てている。
「いい加減、その口を閉じなよ。ナイン様に馴れ馴れしいのよ。セレナ...!」
「全くその通りです。もっとナイン様を、敬いなさい!」
「ちょーい、ちょい、ちょい。やめて、やめて。後でこっそりフレアにはシュークリームあげるから、刀下ろして。」
「それなら...仕方ないね。後で絶対シュークリームだからね。」
甘党のフレアさん。シュークリームという賄賂で機嫌がなおった。チョロいぜ!刀を首筋に当てられていたセレナは、避けられる自信があるのか、獰猛な笑みをしていた。
「ナイン様、エタンセルに帰ったらなんかご褒美くれよ。ここで暴れなかったんだから。」
「えーっ、嫌だ。どうせ身体が目的でしょ?」
「もちろんさ!」
「死ね!」
本当になんなのこの人。セレナに蹴りを入れてから、補給物資がある場所へ行く。シュークリームを取り行くついでに、ゲートの設置の様子の確認をし、支援部隊の副隊長、犬の獣人シェリーさんに声をかける。
「シェリーさん、お疲れ様。そろそろ、ミィちゃんの部隊が戻ってくると思うから、受け入れの準備をしよう。」
「かしこまりした。我が主。」
視力が悪くメガネをかけているシェリーさん。知的で正しく秘書って感じの人。ノートパソコンで、データー入力をしてくれている。日本から持ち込んだ物のひとつ。パソコンの使い方をマスターしてからというもの、手書きをやめて、全てデーターで保存している。
「シェリーさんは、使用した物資とその数を入力をお願い。他のみんなは、持っていく物資の名前と数をシェリーさんに報告してね。」
「了解しました!」
支援部隊が慌ただしくなってきた。これもまたいい経験になるに違いない。
支援部隊の構成は10名。内5名は犬の獣人。残り5名は、兎の獣人。兎の獣人は、見た目穏やかそうに見えるけど、力持ちで働き屋さん。
ミィちゃん達は、火の粉で汚れているだろうから、水の準備や、傷を負ってしまった場合の回復薬など、考えうる物を各一人ずつ支給出来るよう用意していく。
「おや、ミィたちの部隊が戻ってくるぞ?」
セレナの報告を受け、ミィちゃんの部隊を向かい入れる。
「たっだいまー!ナイン様っ!」
笑顔で手を振るミィちゃんに手を振り返し、報告を受けながら汚れを落とすのを手伝う。
ミィちゃんの部隊は、隊長がミィちゃん。副隊長は、ステラちゃんの計10名で構成されており、工作や陽動、救助などを行う特殊部隊である。
「なるほどね...。戦闘になったのは、ミィちゃんの部隊だったのか。エマさん達と会わなかった?」
「会ったよー。私たちの代わりに冒険者たちを殺していると思う。情報を先に本陣に持ち帰りなさいって言われたの。」
「そうか...。エマさんが、そう判断したのであれば、すぐ情報をすり合わせて、進軍しよう。」
「やったー!私たちも、もちろん参加していいよね?」
「もちろんさ。思う存分暴れて来るといいよ。」
ミィちゃんに着替えの服を渡して、少し休むよう指示。報告のあったおおよそ人口、戦力、地形、建物を、拷問された人間が話した内容と照らし合わせる。
「おおよそ、数500、戦力、冒険者30、地形、平ら、木造建築、重要人物、1番大きい建物、壁、土、白色。」
報告のすり合わせが完了し、アリエスさんに伝え、進軍の許可を出す。
さぁ、蹂躙の時間だァ!
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり

日本が危機に?第二次日露戦争
杏
歴史・時代
2023年2月24日ロシアのウクライナ侵攻の開始から一年たった。その日ロシアの極東地域で大きな動きがあった。それはロシア海軍太平洋艦隊が黒海艦隊の援助のために主力を引き連れてウラジオストクを離れた。それと同時に日本とアメリカを牽制する為にロシアは3つの種類の新しい極超音速ミサイルの発射実験を行った。そこで事故が起きた。それはこの事故によって発生した戦争の物語である。ただし3発も間違えた方向に飛ぶのは故意だと思われた。実際には事故だったがそもそも飛ばす場所をセッティングした将校は日本に向けて飛ばすようにセッティングをわざとしていた。これは太平洋艦隊の司令官の命令だ。司令官は黒海艦隊を支援するのが不服でこれを企んだのだ。ただ実際に戦争をするとは考えていなかったし過激な思想を持っていた為普通に海の上を進んでいた。
なろう、カクヨムでも連載しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる