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開拓
第5話 衣
しおりを挟む食事を済ませたあとは、食休みにひと休憩入れてから、清潔作戦を決行する。
やましい気持ちはないぞ!決してありませぬ。
ともかく、清潔にしないと病気になる可能が高くなる。こちらの世界で風邪を引いたら、どう対処していいか分からない。市販の薬が効けばいいけど、予防は大事だと思う。
「えっと、アリエスさんとエマさんたちは、替えの服持っている?」
2人とも顔を横に振り、今着ている服しか持っていないと教えてくれた。
次は、衣食住の衣だな!っと思いつつ、服を大量に用意するのは簡単ではない。男性物なら何とかなるが...女性の服となると全然分からん。下着とかどうするのさ。
「服については、何でも良ければ、私が用意するけど...その前に、タオルと石鹸、それとシャンプーにリンス。あと桶。これは1人1つずつ渡すから配って下さい。使い方は...そうだなぁ、あとで、ミィちゃんを借りるね。」
困惑している2人に、物だけ渡して配ってもらう。その間に汲んでもらった水をどう温めるか考える。素人な考えだとその日しのぎにしかならん。
「うーん、うーん。ダメだ、思いつかん。」
「どうしたの?ナイン様?」
ミィちゃんが心配そうな顔で覗き込んで聞いてくる。
「うーん、お風呂を作りたいんだけど、中々アイデアが浮かばなくてね。」
驚くミィちゃん。ミィちゃんの周りに集まる子供たちもお風呂と聞いて驚いた声を上げる。
「お風呂なんて、お金持ちしか入れないよー?皆、水浴びだよ!!」
水浴びが当たり前な世界なのか?それともこの世界の人たちは強靭な肉体を持つのか?分からん。全く分からん。
「ナイン様。子供たちからお風呂のお話を聞いたのですが...もしよろしければ、何かお手伝い出来るかもしれません。何なりとお命じ下さい。」
アリエスさんが、子供たちの声を聞き取ったのか、すぐ俺の近くに寄ってきた。何者なんだこの人。
「そう?それなら手伝ってもらおうかな。エマさん達もいいかな。」
「はい、もちろんです。」
この世知辛い世の中で笑顔になれるなんて凄い。少し羨ましいよ。
日本とこの世界では時間の流れが違うことは、さっき分かったから、安い服や下着になるけど大量注文しておこうかな。ついでに、スコップとかも買い足して...
「それじゃ、エマさんたちには、ゆっくりでいいからこの紐を木に巻き付けてもらってもいいかな。そして囲うように木と木を結んで欲しいんだ。外敵から身を守る為に、しっかり張って欲しい。」
はい、喜んで!っという返事と共に、作業に移るエマさんたち。アリエスさんには、大まかな種族と人数を教えてもらう。さり気なく、下着や服についても聞く。
「獣人60、その内20が子供。ハーフエルフが私含めて25、その内5名が子供です。下着は、その...つけていませんし、履いていません。も、もちろん、以前は履いておりました!ですが道中、直ぐに用を足すことが求められていたので...あのぅ。うぅ。恥ずかしいです。」
顔を真っ赤にしているアリエスさんに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「こちらこそ、ごめんなさい。でも、清潔を保ちたいから、どうしても聞きたかったんだ。下着や服のサイズが分かれば、何とかなるんだけど...とりあえず色々揃えてみるよ。また少し離れるけどいいかな?」
「あ...、はい、もちろんです。またすぐにお戻りになりますか?」
「心配しないで。ちゃんと戻って来るから。」
アリエスさんに手を振ってから日本に戻り、某ファッションアプリから下着や服を大量注文。金はまだあるけど、金策しないといけないかも。定番ではあるけど、日本の物を売って、向こうの世界の金に変える必要があるな。
「問題が山済みだな、こりゃ。とりあえず、着替えの服くらい、ションピングセンターに売ってるだろうし、買いにいくかー。あとは、ホースとか...また往復だな。頑張れ俺!」
自分にムチを打つ訳では無いが、気合いを入れ直し、ショッピングセンターやホームセンターに買い物に出掛けにいく。
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