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サツキ公国編
第126話 どーも、ネイレス母です
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前書き
前回のあらすじ
主人公 狂人であることを再確認する
本文
どーも、狂っていると自覚したオッサンです。
身体能力向上スキルと隠密スキルの効果が切れる頃には、王宮の門の手前まで辿り着く。
「あれ?門の前に来たけど警備兵がいないみたいだね。まさか、逃げたのか?」
「あぁ、それは有り得そうです。兄レストはそういう男だと今思い出しました…はぁ、先程の群れは、私たちの足止めで送られた兵たちだったのですか」
「なにそれ...王としての責務を投げ出したということ?」
ネイレスさんとユリさんが呆れて仮面の上からであるが額を抑えている。
「ツヴァイ、ここは正面の門だよね?他の門はあるの?」
「ありますよ。どの門から侵入しても同じですけど...ゼロ、どうしますか?」
「ここで時間を浪費しても無駄だし、とりあえず情報収集...いや、罠があるのを承知の上で先に進むのもアリかも。ツヴァイの部屋で寝泊まり出来るし、うん?」
門の内側から、足音が聞こえる。
俺たちは、門から少し離れ、隠密スキルを使用して近くの建物の屋根に移動し警戒する。
ギィィという音とともに門が開かれ、青い髪をしたネイレスさんに似ている女性が現れる。
よく観察すると妙齢な女性で、気品があるように見える。
「先代の妃、私の母ですね。久しぶりに見ました。ゼロ、そんなに見なくていいですから。性格の悪い腹黒女、私の嫌いな人間の1人。何しに来たのでしょうか?」
門の外で周りを見渡しているネイレス母。どうやら俺たちを探しているようだけど、わざわざ出向く必要はない。
「ゼロ、あの女焦っているわよ」
「傍から見ると周りを見渡しているように見えるけど、アインスにはそう見えるのか...ツヴァイはどう見える?」
「私も焦っているように見えます。まるで縋りたい気持ちを押し隠して待ち人を待っているような...あんな母を見るのは初めてです。ふふ、いい気味。ずっと見ていられる光景ですね、くふふふ」
クリーンと魔法を唱え、ローブの血を落とす。
この血って、どこに消えたのか謎であるが今考えるべきことはネイレスさんの母について。
ユリさんとネイレスさんも血を落とし、呑気にサンドイッチを食べている。
「もう、ご飯を食べる時間か...時間過ぎるの早いな。さっさとレスト王を痛めつけないと先に進まないし、ネイレスさんの母親も何してんのか分からん。ホント、イタチごっこみたい」
俺は、おにぎりを1つ食べ、ライフルを取り出し弾を装填する。ユリさんの魔力が付与されている弾。属性は、風。効果は、恐らく貫通力と何かあるはず。試して居ないから分からないけど、丁度いい的がある。
「ユリさん程の腕はないけど、スマホでピントを合わせてライフルを固定させてーの、狙いを定めて撃つ。狙いは左足かな。ツヴァイ...撃っていい?」
「え?あ、はい。大丈夫です」
「仮面の半分が取り外し可能とはいえ、アインスとツヴァイはご飯食べる以外、取り外し禁止ね。表情が分かりやすい」
サンドイッチを食べながら嗤っているネイレスさん。多分だけど、カンナ王朝ことエルフの国でも起きうると想像して嗤っているユリさん。
「え?そんなに分かりやすい表情していましたか?」
「してたよ。アインスもね。もうちょい口角を下げて。いや、そのままでも良いか。俺しか見ないし、その表情も素敵だしね。それじゃあ撃つよ」
「ちょ、ちょっと!待ちなさい、ゼロ。いきなり褒めるなんて卑怯よ。嬉しくなるじゃない!」
ユリさん、声が大きいわ!
「そ、そ、そうですよ。何言っているんですか。もう。嬉しいですからもっと言ってください。なんなら、耳元で愛してるネイレスと...過激に耳を噛んで舐めてから囁いてくれると夜が捗ります!」
「おいおい、声が大きい...あっ。ネイレス母に気づかれたかも。スマホで鑑定しつつ、今だ!」
鑑定結果:公国先代妃イリス
発砲された弾は、ネイレス母に向かって通常の弾の速度より早く着弾する。
「あ、外れ...あれ?追尾して太ももに弾が打ち込まれた?さすがユリさんの魔力だね。俺のストーカーでもあるユリさんらしい効果で素晴らしい弾だ」
狙撃ポイントから移動して、屋根から別の屋根に移動して平坦な屋根の上からスマホでネイレス母を観察する。
魔力付与弾(風)の効果は、弾の速度、貫通力、追跡能力、貫通した後の着弾後の風爆の発生。様々な効果を持っている弾に今後の戦闘に幅が広がり期待出来る。
「えへへ。ゼロ、すごいでしょ?私に抱きついて頭なでなでして?ダメぇ?ねぇ、お願い」
「今は、ダメ。ネイレス母の様子を見るから離れて!」
俺に抱きついて来たユリさんを剥がす。
「ぐほっ!な、何するのよ!ツヴァイ!」
ユリさんの横腹にボディブローをかますネイレスさん。
良いパンチ。腰の捻りだけで鋭いパンチを打てるとは...
「手が滑りました。ごめんなさい、アインス」
「へぇ、見事なパンチだと思ったわ。ふふ、私も足が滑りそうだわ!」
空気を切り放たれた足は、ネイレスさんの顔の付近を通過する。躊躇なく、顔を狙うところは流石ユリさん。
デンジャラスな女だ。
「そこまでにして2人とも。ネイレス母が喚いてるから敵の出方を伺いながら、このまま近くに寄るぞ」
さぁ、ネイレス母とのこ対面だ。
後書き
次回 母との決別
前回のあらすじ
主人公 狂人であることを再確認する
本文
どーも、狂っていると自覚したオッサンです。
身体能力向上スキルと隠密スキルの効果が切れる頃には、王宮の門の手前まで辿り着く。
「あれ?門の前に来たけど警備兵がいないみたいだね。まさか、逃げたのか?」
「あぁ、それは有り得そうです。兄レストはそういう男だと今思い出しました…はぁ、先程の群れは、私たちの足止めで送られた兵たちだったのですか」
「なにそれ...王としての責務を投げ出したということ?」
ネイレスさんとユリさんが呆れて仮面の上からであるが額を抑えている。
「ツヴァイ、ここは正面の門だよね?他の門はあるの?」
「ありますよ。どの門から侵入しても同じですけど...ゼロ、どうしますか?」
「ここで時間を浪費しても無駄だし、とりあえず情報収集...いや、罠があるのを承知の上で先に進むのもアリかも。ツヴァイの部屋で寝泊まり出来るし、うん?」
門の内側から、足音が聞こえる。
俺たちは、門から少し離れ、隠密スキルを使用して近くの建物の屋根に移動し警戒する。
ギィィという音とともに門が開かれ、青い髪をしたネイレスさんに似ている女性が現れる。
よく観察すると妙齢な女性で、気品があるように見える。
「先代の妃、私の母ですね。久しぶりに見ました。ゼロ、そんなに見なくていいですから。性格の悪い腹黒女、私の嫌いな人間の1人。何しに来たのでしょうか?」
門の外で周りを見渡しているネイレス母。どうやら俺たちを探しているようだけど、わざわざ出向く必要はない。
「ゼロ、あの女焦っているわよ」
「傍から見ると周りを見渡しているように見えるけど、アインスにはそう見えるのか...ツヴァイはどう見える?」
「私も焦っているように見えます。まるで縋りたい気持ちを押し隠して待ち人を待っているような...あんな母を見るのは初めてです。ふふ、いい気味。ずっと見ていられる光景ですね、くふふふ」
クリーンと魔法を唱え、ローブの血を落とす。
この血って、どこに消えたのか謎であるが今考えるべきことはネイレスさんの母について。
ユリさんとネイレスさんも血を落とし、呑気にサンドイッチを食べている。
「もう、ご飯を食べる時間か...時間過ぎるの早いな。さっさとレスト王を痛めつけないと先に進まないし、ネイレスさんの母親も何してんのか分からん。ホント、イタチごっこみたい」
俺は、おにぎりを1つ食べ、ライフルを取り出し弾を装填する。ユリさんの魔力が付与されている弾。属性は、風。効果は、恐らく貫通力と何かあるはず。試して居ないから分からないけど、丁度いい的がある。
「ユリさん程の腕はないけど、スマホでピントを合わせてライフルを固定させてーの、狙いを定めて撃つ。狙いは左足かな。ツヴァイ...撃っていい?」
「え?あ、はい。大丈夫です」
「仮面の半分が取り外し可能とはいえ、アインスとツヴァイはご飯食べる以外、取り外し禁止ね。表情が分かりやすい」
サンドイッチを食べながら嗤っているネイレスさん。多分だけど、カンナ王朝ことエルフの国でも起きうると想像して嗤っているユリさん。
「え?そんなに分かりやすい表情していましたか?」
「してたよ。アインスもね。もうちょい口角を下げて。いや、そのままでも良いか。俺しか見ないし、その表情も素敵だしね。それじゃあ撃つよ」
「ちょ、ちょっと!待ちなさい、ゼロ。いきなり褒めるなんて卑怯よ。嬉しくなるじゃない!」
ユリさん、声が大きいわ!
「そ、そ、そうですよ。何言っているんですか。もう。嬉しいですからもっと言ってください。なんなら、耳元で愛してるネイレスと...過激に耳を噛んで舐めてから囁いてくれると夜が捗ります!」
「おいおい、声が大きい...あっ。ネイレス母に気づかれたかも。スマホで鑑定しつつ、今だ!」
鑑定結果:公国先代妃イリス
発砲された弾は、ネイレス母に向かって通常の弾の速度より早く着弾する。
「あ、外れ...あれ?追尾して太ももに弾が打ち込まれた?さすがユリさんの魔力だね。俺のストーカーでもあるユリさんらしい効果で素晴らしい弾だ」
狙撃ポイントから移動して、屋根から別の屋根に移動して平坦な屋根の上からスマホでネイレス母を観察する。
魔力付与弾(風)の効果は、弾の速度、貫通力、追跡能力、貫通した後の着弾後の風爆の発生。様々な効果を持っている弾に今後の戦闘に幅が広がり期待出来る。
「えへへ。ゼロ、すごいでしょ?私に抱きついて頭なでなでして?ダメぇ?ねぇ、お願い」
「今は、ダメ。ネイレス母の様子を見るから離れて!」
俺に抱きついて来たユリさんを剥がす。
「ぐほっ!な、何するのよ!ツヴァイ!」
ユリさんの横腹にボディブローをかますネイレスさん。
良いパンチ。腰の捻りだけで鋭いパンチを打てるとは...
「手が滑りました。ごめんなさい、アインス」
「へぇ、見事なパンチだと思ったわ。ふふ、私も足が滑りそうだわ!」
空気を切り放たれた足は、ネイレスさんの顔の付近を通過する。躊躇なく、顔を狙うところは流石ユリさん。
デンジャラスな女だ。
「そこまでにして2人とも。ネイレス母が喚いてるから敵の出方を伺いながら、このまま近くに寄るぞ」
さぁ、ネイレス母とのこ対面だ。
後書き
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