どーも、反逆のオッサンです

わか

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サツキ公国編

第113話 どーも、女の戦いです

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前回のあらすじ

主人公 守護者にビビる


本文


どーも、ネイレスさんには肩から腰にかけてマッサージしてもらっていて、ユリさんからは足裏をマッサージしてもらっているオッサンです。
お風呂のお湯を沸かし終わったユリさんがマッサージを受けている俺を発見。
私もやる!と言い出して、足裏のツボを思いっきり押し込んできた。喧嘩が起きなくて良かった。
でもね、痛すぎて涙が溢れて止まらないんだ。
俺の背中の上にネイレスさんが乗っていて、身体の自由を奪われている。

「ケンさん、この辺りどうですか?気持ちいいですか?」

「痛い、痛い痛い痛い!ネイレスさん、ユリさんを何とかして!」

「えー、無理ですよ。だって私がここから退いたらユリが占領しますから。気合いで乗り切ってください、ケンさん。ふふ、ケンさんの肌すべすべですね。ずっと触っていたいです」

「くっ!痛いって!!ユリさん!お願い、やめてくれ!」

「イヤよ。なんでネイレスの提案を受けたの?私だってモミモミしたい。この、この、この」

「ギャーっ!も、モミモミのレベルじゃねーから!もう2人とも退いてくれ!一緒に寝るから!ね?」

「はーい」
「分かったわ」

え?
えっ?

なんで、さっきまで何言っても退かなかったのに。
コイツら、俺が根を上げて代わりの条件を出すのを待っていたのか?

「酷い目にあった。もう、2度と頼まない。この家に防音の魔法の道具を置いていなかったら、通報されていたくらい泣き叫んだよ。全く、加減を知りなさい。ユリさんとネイレスさん、ちょ、聞いてる?あ、待って!着替え持って風呂場に行くなよ!俺の話を聞けよ!」

起き上がるまで2人を見ていなかったが、会話の途中から彼女たちを見たらマジックバッグから寝巻きと布を取り出して風呂場に向かっていた。
完全に俺の話を聞いていない。無視ですよ、これ!

「あ、ケンさん。どうしたの?」

「ユリさん...どうしたの?じゃねーから!はぁ、もういいや。さっさと風呂入っておいで」

追い払うように手を振る。
俺は、起きた後の朝食のスープとサラダを作るためにキッチンに向かう。

「ったく、マジで足裏が痛い。どんだけ力を込めたんだよ。食糧の備蓄は腐るほどあるし、明日...もう今日か。外でなくていいんじゃね?馬車の受け取りだけして、まったり過ごすのもアリだな。まだ、未読の本が大量にあるし。それか、魔力付与弾の準備でもいいな。やることが沢山...いや、そんなにのんびりしていられないか」

独り言をブツブツ話しながら野菜を刻んでいく。
ついでに天ぷらの用意もしておき、今日の昼、もしくは夜に揚げて食べられるようにしておく。

「コンソメスープばかりだと嫌だな。何か野菜と合うスープあったか?あっ、ポトフ。ポトフなら腹も膨れるしいいかも。それとお肉も用意してと...サラダはいつも通りで。オニオンを薄く刻んだものもサラダに入れてみよ。ピリッとしたアクセントが美味いんだよな、これ」

料理に熱中になっていた俺は、ユリさんとネイレスさんに気付かずに料理が終わるまで永遠と独り言を言っていた。

「ケンさん、料理に現実逃避しちゃダメよ?とっても美味しそうな料理だけど、キサラ法国との戦いはいずれあるわ」

「...。せっかく忘れようとしたのに!あーあーあー、守護者を軽く捻られるくらい強くならないとイケナイ。気が遠くなるわい!」

「ケンさんがそこまで言うなんて。守護者との差はそれほどまでに違うのですか?」

ネイレスさんの質問に、俺は神妙な面持ちで答える。

「一見、大した敵じゃないように見えて気づかず殺される。俺たちに立ち向かってくる騎士や兵たちと同じ。俺たちは起こさない方がいい龍を起こしてしまった訳。絶望的な差はないけど、戦って勝てるか正直分からん」

「光の神官長、えっと...名前忘れたわ。あの粘着男くらいなら倒せるのよね?」

「ユリさん、戦いにも相性があると思う。あの光の神官長は、ただ速いだけで攻撃力は全くなかった。海龍との戦いは、俺が持っているゴウケツの特性が良かったから勝てた。勝てるイメージが、あの守護者たちには浮かばない」

「エプロン姿で真剣な話をするケンさん。何か対策はないのですか?」

「今は、思いつかない。うーん、アイツらが言っていた魔人族と戦ってレベル上げて経験を積むしかないのかも」

「ケンさん、最悪を想定し過ぎよ。ほら、料理終わったでしょ?お風呂に入ってスッキリして来なさい」

ユリさんに諭されるとは...俺もヤキがまわったな。
ネガティブ思考に陥っている。自分のマインドコントロールが上手くいっていない証拠だ。

「そうするよ。ありがとう、ユリさん、ネイレスさん」

俺は、エプロンを畳み、風呂場へ行く。



※ユリ視点

「あんなケンさん初めて見たわ。そんなに守護者たちとの力の差があるのかしら?」

ケンさんがリビングを出て行くのを確認したあと、ネイレスに話しかける。

「そこまで恐れる程ではないと思います。ただ、ケンさんが得意としていたコッケンによる攻撃が効かなかったには驚きました」

「そうね。あの魔力暴走による攻撃を受けて平然と立っていられる人間がいるとは思わなかったわ。自慢の一撃を放っても倒れない敵を前にしたのは初めての経験だったのかもしれない。ケンさんと出会ってから、猛牛鬼の支配者ミノタウロスロード以外の敵は葬ってきた。だからこそ、自信にもなったし、頑張れた。ケンさんは、きっと初めて挫折したんだわ」

「ユリ...ケンさん大丈夫ですよね?」

「あら、心配なの?」

私は心配していない。ケンさんなら生き残るために足掻いて這い上がってくる。いつもそうだったし、今回もそう。そういえば、あの目。海龍との戦いではしていたのかしら?

「ユリ、何笑っているのですか?私は、心配というより不安なのです」

「不安?何が?ケンさんが居なくならない限り不安なんてないわよ?」

「はぁ、時々、ユリが馬鹿に思えます」

ムカッ!
何よ、そのケンさんのことは私の方がよく知っているみたいな顔。

「私が馬鹿?有り得ないわ。ケンさんに対しては馬鹿になるけど、これでも優秀よ。それにその顔やめて。ムカつく」

「ふふ。ケンさんの事を1番に理解出来ているのは私」

イラッ!
煽ってくるわね、コイツ。

「顔を見て出直しなさい、ネイレス」

ミケにシワを寄せて、怒るネイレス。
ケンさんに関してで言えば、私と同じくらい沸点が低くなる女。

「私の方が綺麗です。これでも傾国の美女と呼ばれていました」

「ふーん、そう。氷の女王様」

「ふふふふ、氷漬けにしてやっても良いのですよ?」

冷気を放ち、腰を落として戦闘モードになるネイレス見て、私も応戦する。

「いいわ。馬鹿と言ったこと後悔させてあげる。それと、ケンさんのことを理解しているのは私の方よ」

足に魔力を込め、いつでも蹴りが出来るよう隙を伺う。

「おーい。こっちまでビリビリした魔力が流れてきているんだけどー!何してんのさー?」

お風呂場からケンさんの声が聞こえ、私はネイレスに向かって舌を出してからケンさんの方へ向かう。

「oh、ハダカ。目の保養になるわね。ふふ」

「ちょーい!いきなり入ってきてなんなのさ!」

布を股間に当て隠すケンさん。可愛い。
遅れてネイレスが来て、同じくケンさんをガン見している。

「ふふ。いいものが見れました。ユリ、先程は言い過ぎました。ごめんなさい。私の幸せは、ケンさんとユリが居ないとダメみたいです...」

「そうね。私もケンさんとネイレスが居ないと死んでしまうわ...」

「なに?なんの話し?というか、さっさと出ていけ。ガン見すんなよ!」

「無理。ケンさん、早く着替えないと風邪引くわよ」

「そうです。早く着替えないといけませんよ!なんなら私が下着履かせましょうか?アイタっ!?ケンさんのゲンコツ痛気持ちいいです!はぁはぁ」

「もう、さっきまで悩んでいたのがバカバカしく思えてきたわ。はぁ、やるしかないなら最善を尽くすしかないか...あーあ、ネイレスさんの鼻血が俺についたじゃねーか。全くもう」

「ふふ、いつものケンさんに戻って良かったわ。ネイレス、そろそろ離れるわよ。本当にケンさんが風邪引いてしまうわ」

一瞬見えたあの目。
ふふっ、もう大丈夫。ケンさんなら簡単に障害を乗り越えるわ。
ネイレスの首元を掴み引きづってリビングに戻る。

「ネイレス、そろそろ鼻血止めなさい。床が汚れるわ。それとありがとう。ケンさんの気が晴れたのは貴女のおかげかもしれないわ。ネイレス?」

「見ちゃった、ケンさんの息子。ぐふふふふ。溜まりません。今日、ユリに教えてもらった行為のネタに使えそうてす...」

...馬鹿はネイレスの方ね。
前言撤回。ケンさんに相応しいのは私。
こんな変態女に渡してたまるか!



後書き

次回 将来の話
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