どーも、反逆のオッサンです

わか

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サツキ公国編

第110話 どーも、駆除です

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前書き

前回のあらすじ

主人公に冤罪の魔の手が!!?


本文


どーも、冤罪をかけられたオッサンです。
ユリさんとネイレスさん以外の人間が俺の事を指さして変態だの、クズだの、最低野郎など言っている。
この状況に、さすがの2人も申し訳なさそうな顔をしているが、起きてしまっては仕方がない。
うるさいハエ(野次馬)どもを蹴散らして、とっとこの場から退散しよう。
フードを被っているおかげで顔をみられていないなら、いくらでもやりようはある。

「ユリさんとネイレスさんは隠密スキルを使って俺の援護を頼む。騎士と戦闘になったら、魔法使いもしくは神殿勢力の神官を先に始末してくれ。俺は、この仮面をつけてこの場を収集する」

「ごめん、ケンさん。少し熱くなりすぎたわ...」

「私から言い出した事です。本当にごめんなさい」

謝る2人に対して俺は、手を振り、気にしていないことを伝える。
左目に被さっている布を外し、仮面を装着した後、俺たちは行動を開始する。
俺はフードを取り、ハエ(野次馬)どもに向かって声を掛ける。せっかく向こうから騎士が来るんだ。この状況を利用しようじゃないか。

「よう。何も知らない愚民ども。この俺を知らないとは、愚かな奴らだ。後悔して死ね」

わずわらしい騒音を発するハエ(野次馬)達に向かって魔法を放つ。


『蒼炎』


青い炎がハエ(野次馬)どもに当たり、悲鳴と共に恐怖が広がる。
人間が燃えると異臭がするということを散々経験してきた。しかし、今まで平和に暮らしていた公国民は知らない。現に、ただ悲痛な叫びを叫んで逃げているだけで、誰も俺の方へ立ち向かって来ない。

「今思ったんだが、別にサツキ公国とキサラ法国を対立させなくても良くね?俺たちが反乱分子、または人類の敵になれば、わざわざ隠れて行動しなくても良い訳だし。ユリさん、ネイレスさん。俺の声が聞こえたら街に何らかの攻撃魔法を放って?」

俺の声をしっかり聞いていた2人は、それぞれ威力の高い攻撃魔法を放つ。


『電光天雷』


『氷弾爆散』


雷の魔法はユリさん、氷の魔法はネイレスさん。
確かに攻撃魔法を放つように指示を出てたが...えっ?なんでこんな強力な魔法放ってるの?攻撃魔法と言っても、牽制程度の威力で良かったんだけど。
隠密スキルを解除し、俺の横にくる2人。もちろん仮面を装着している。

「ケンさん、この世界の人類の敵になるのね。ふふふ、いいわね。ゾクゾクしちゃう。いきなりそんな事言うなんて...もしかして私たちを喜ばすために?」

え?なんのこと?ってか、俺の言葉を拡大解釈し過ぎじゃね?

「ふふ、いい気味です。悲鳴が心地良い。人類の敵...私、ケンさんをしっかりサポートします。実は、こんな醜い国滅びれば良いと思っていたんです。ふふ、キサラ法国もまとめて潰してやりましょう?」

ネイレスさんの言葉に一瞬思考が追いつかず固まってしまったが、少し間を置いて考え、2人に告げる。

「恐怖は住民に。兵や騎士には絶望を与えようか。手始めに、目の前の騎士を殺せ」

ユリさんが魔力付与をし弓の矢を放つ。狭い路地が矢の魔力で建物や地面がえぐれ被害をもたらす。
目の前まで来ていた騎士数十人を巻き込んで、最後に魔法使いと思われる人間に突き刺さる矢。

「いやー、何度見てもユリさんの弓での攻撃はカッコイイな。ネイレスさん、俺たちのことを姿を消して伺っている者を殺れる?」

「任せてください。数は6人程ですか...それなら」


『水の龍、顕現せよ』


ネイレスさんの魔法が発動され、水で出来た龍が5体現れる。
ネイレスさんは、顕現させた水の龍を姿を消している者の方に指をさして突撃させる。

「ほえー。中々エグいね、その魔法。あ、そうだ。ネイレスさん、この指輪あげるよ」

帝国の帝王ことタダノ・ヒトシが作成した魔法の属性を変えることが出来る指輪を渡す。本来己が持っている属性以外の魔法に変えるとMPの消費が激しいことを忠告しておく。

「ユリが身に付けている物と同じ...ふふふ。もっと頑張らなきゃいけませんね!ありがとうございます、ケンさん」

「どういたしまして。ユリさん、魔法の弓の使用は控えて。あれ、MPの消費が大きいでしょ?」

「そうね。いざという時以外控えるわ。あら、見覚えのある魔力を持つ人が来たわね。なんの用かしら?」

セレネ姫とアルテさんがこっちに向かってくるのを俺も察知する。

「こんばんは。ケン様、ユリ様、そちらの方は...ネイレス様ですか?」

真理の目を持つアルテさんに嘘は通じない。

「そうだよ。この前は、ありがとうね。姫さまとアルテさん、どうしてここに?」

アルテさんが額に手を当て、困った顔で俺の方を向く。

「はぁ、相変わらずやる事が大胆ですね。ネイレス様、ご挨拶が遅れて申し訳ありません。私は、アルテ。横のいるのはセレネと申します。やはり、生きて居られたのですね?」

「ご紹介ありがとうございます。ケンさんとユリさんのお陰で生きています。今は、ケンさんの女でもありペットでもあります。よろしくお願いします」

セレネ姫から冷たい目で見られる俺。
俺、悪くないよね!?

「女たらしですね、ケン様は。コホン。失礼しました。それで、ケン様たちは何をされるつもりですか?」

俺が答える前にネイレスさんが口を開き、セレネ姫の問に答える。

「ふふふ。セレネ姫、貴女たちと同じようにするのですよ。つまり、皆殺しです」

ネイレスさんが殺気が籠った声で返事をしたせいか、セレネ姫とアルテさんの身体が一瞬硬直するのを俺は見逃さなかった。

「そうですか...ふふ、その気持ち、痛いほど分かります。私たちに手伝えることはありますか?」

お淑やかなセレネ姫も、あのざまぁ作戦から大分変わったみたいだ。なんというか、俺たちの思考に近いような、危険の匂いがする。
とりあえず、聞いておかないといけないことがある。

「今の雇用主は?」

「今は、プルトスさんです。と言っても今日までですが。契約を結んでいる関係で詳細はお話出来ませんが、明日...もう今日ですかね。御協力出来ると思います」

俺は、ユリさんとネイレスさんに視線を移し判断を委ねる。
今回のリーダーであるネイレスさんがセレネ姫に近づき、マジックバッグから白金貨を1枚取り出し依頼をする。

「あの商人に預けている馬車を私たちが住んでいる家に持ってきて欲しいです。お願い出来ますか?」

「かしこまりました。その依頼引き受けます。時間の指定などの条件はありますか?」

「今日、日が落ちる頃にお願いします。あと、決して敵を引き連れないように。その場合、貴女たちを殺します」

「お任せください。これでもケン様に鍛えられたのです。抜かりなく実行します」

契約成立とばかりにセレネ姫とネイレスさんが握手をする。握手後、セレネ姫とアルテさんは隠密スキルを発動させ俺たちの前から去っていった。
まぁ、神龍眼で丸見えなんだけど。隠密スキルも万能ではないな。

「ケンさんにネイレス。沢山の足音が聞こえるわ。恐らく私たちの方に来ているわね。どうする?」

「一旦、家に戻りましょう。まだ、万全な体調ではありませんし。ふふ、恐怖と絶望は時間をかけて行います」

おー、こわ。
ユリさんもネイレスさんの意見に賛成なのか顔を頷き、声を出して嗤う。

「ふふ、楽しみね。ケンさんもそう思うでしょ?」

「うん、まぁ、そうだね。公国の騎士はともかく、キサラ法国の戦力が未知数だから注意しておいてよ、2人とも。さて、軍かは知らないがこの場から早く離れようか」

山の様子を見に行く予定が、公国潰しに変更になった。
まぁ、山菜が亡くなった以上、山に行っても仕方ないしね。山菜を販売してくれたおばあちゃんも、きっと喜ぶだろう、たぶん。



後書き

次回 守護者
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