どーも、反逆のオッサンです

わか

文字の大きさ
上 下
108 / 145
サツキ公国編

第108話 どーも、普通とはなんだ?です

しおりを挟む
前書き

前回のあらすじ

主人公 騎士を倒し情報を得る


本文


どーも、将来の話をしながら山に向かって歩いているオッサンです。

「ユリさんとネイレスさんは、どんな所に住みたい?」

「うーん。外敵に心配しなくて自然が多いところかしら」

エルフのユリさんは、自然を重要視するんだな。心の中に留めておこう。

「私は、人がいない所ですかね。買い出しは、たまに行けばいいですし...あとは、水が綺麗な所ですね」

ネイレスさんは、人との関わりを断ちたいんだな。これも心の中に留めておこう。

「2人の意見を汲み取るとしたら、自然が豊かで水が綺麗で人が居なくて、外敵を心配しないところ。うん、そんな場所があればいいね。俺は、安心して寝れれば何処でもいいよ」

「あら、ケンさん。無いなら作ればいいじゃない」

「簡単に言うなよ。自然が豊かで水が綺麗な所なんて選択肢限られているし、それに人がいない所なんてそもそもあるのか?」

「人が居ないところならあると思いますよ。例えば魔人族領とか。あとは...獣人族の国でしょうか」

俺は顔を横に振り、却下する。
外敵に成りうる場所なんて恐ろしくて安心して寝れない。

「やっぱり、旅して見つけるしかないな。先は長いし、何処か見つかるだろうよ。それにしても、まだ山まで距離があるのに焦げた匂いがここまで届くとは。相当燃やしているなこれ」

山菜は絶望的だな。レスト王も大胆なことをする。
山を焼いてから畑にするのにどれくらいかかると思っているのやら。

「ケンさん、そろそろ商店街を抜けるわ。警戒を怠らずに進みしょう」

「そうだね。ネイレスさん、念の為にフードを被っておいて。騎士たちが気付かなかったから隠密スキルを使用しなくていいよ」

「分かりました。元女王として気付かれないとは、少し複雑な気分ですね」

「ネイレス。私も、エルフの国では誰も見向きしなかったわ。王族なんて、住民からしてみれば実際どうでもいい存在なのかもしれない。騎士なんて、勝ち馬の方に乗るのは当たり前だし...」

「はぁー」
「はぁー」

「ちょいちょい。2人とも、そんなに落ち込まないでくれよ。そうだ、俺たちのパーティ名でも決めない?もちろん仮面を装着している時だけの名前だけど」

俯いていた2人が興味を持ったのか、俺の顔を見つめる。

「どんなパーティ名にするの?リーダーは?」

「リーダーは、ケンさんでいいのでは?」

「いや、仲間の復讐の加担をする時は、首謀者をリーダーにしよう。その方がその土地の知識や情報を解析しやすい。ということで、ネイレスさんが今回のパーティリーダー。よろしく頼むよリーダー」

俺は、ネイレスさんのお尻を軽く叩く。その効果は絶大であった。

「はぁ、はぁ。えへへ、ケンさんにお尻触られました。ゾクゾクしますね、これ。任されました!私が今回のパーティリーダーをします!ケンさん、1つお願いして良いですか?私のおしりをモミモミしてください」

「あっ、ずるい!私も触って欲しいわ!」

お願いをするネイレスさんが俺の目の前にくる。それに便乗してユリさんも近づいてくる。2人の目が怖い。

「触らない。ネイレスさんのお願いは却下。それより周囲の警戒を...」

ちっ。また騎士の巡回かよ。
俺たちがいく先に騎士が数名いるのを視界で捉える。
ユリさんとネイレスさんの口を手で塞ぎ、小声でその旨を伝える。

「一旦、路地に入るぞ。まだ、騎士たちは気づいていないはず」

「了解」
「はい」

俺たちは街路から細い路地に入り、警戒は緩めず小声で話しをする。

「流石に面倒だな。いちいち騎士を相手するのは避けたい。ネイレスさんに1つ確認したいんだけど、当初の目的のレスト王への復讐だけでいい?」

「うーん。悩ましいですね。兄レストへの復讐は、あの商人によってほぼ達成しています。ただ、私自身の手による復讐ではない。やはり、もう少し痛い目にあってもらいます」

ネイレスさんの決断に対して、俺たちからとやかく言うつもりはない。

「了解。確かに、プルトスさんの工作で公国に混乱が生じているけど、ネイレスさんもとい俺たちはまだレスト王に何もしていないな」

「そうね。スカッとざまぁをしたいわね。ほら、帝国の姫たちみたいに...あれは中々良かったわ。ふふ」

妖艶な笑みを浮かべるユリさんを見て、ネイレスさんがその話を聞きたがる。

「ユリさん、ネイレスさんに帝国でしたざまぁ作戦を詳しく教えてあげて。その間、俺は隠密スキルを使用して周囲の探索をしてくるよ」

「分かったわ。戦闘になるようだったら叫んで。私が必ず聞き取って2人で向かうから」

「あいよ。それじゃあ、また後で」

俺は、ユリさんとネイレスさんに手を振り、隠密スキルを発動させ路地から街道に出る。
久しぶりの1人行動に感じるのは何でだろう。

あれ?いつ以来だ?

この世界に来てから濃密の時間を過ごしている。
何度も死にかけたり...殺されそうになったり、色々あったな。

「なんか、普通の生活がしたいという夢が遠ざかっている気がする...何もせず、ただボーッと生活することは出来るけど、刺激がないといずれ飽きちゃうし。はぁ、具体性がなさすぎるだろ俺。そもそも、普通の生活とはなんだ?」

この世界の普通の基準って何?
うーん。この辺り、しっかり考えないといけないかも。

俺は顔を横に振り、今考えていることをリセットする。

「とりあえず、探索に集中しなきゃ。」

闇に紛れて、出来る限り音を立てず探索を開始する。



後書き

次回 未定
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

ダジャレおじさん、異世界へ行く

柿名栗
ファンタジー
スーパーで働く田寺谷麗一【だじやれいいち】はダジャレ好きの四十歳。 仕事帰りに異世界に引きずり込まれ、怪しい見た目の自称神様にダジャレがそのまま魔法になって出てくるスキル【ダジャレ魔法】を押し付けられる。 魔王を倒さないと元の世界には帰れないと言われ、渋々魔王討伐の旅に出ることに。 麗一が降り立った【レジャーダ大陸】は、獣人たちが住む世界。 猫型の獣人【チャト】。兎型の獣人【レキス】などの仲間と共に、様々な事件をダジャレで解決していく異世界冒険譚。 ※他サイト様でも掲載中です。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...